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愛嬌だけじゃないタランティーノの才能とは!?
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『キル・ビル』
丸の内ピカデリー1ほかにて公開中
クエンティン・タランティーノ監督が6年ぶりに手がけた最新作。愛する者たちを殺された元殺し屋の復讐劇。 |
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――『ラスト サムライ』と全然タイプの違うチャンバラが、『キル・ビル』ですよね。『ラスト サムライ』が日本文化への敬意とするならば、『キル・ビル』はタランティーノの日本映画に対する偏愛がつまった映画。おふたりは『キル・ビル』をご覧になられてどう思われました?
渡辺 『キル・ビル』は本当にいろんな映画をコラージュしていて、日本映画と香港映画のパッチワークよね。「あそこで見たな、ここで見たな」っていうのが多かったけど、見ていてイヤじゃなかった。こういう映画があってもいいんじゃないかな。自分が愛した対象への愛があふれてるもの。
宇田川 タランティーノは偉いですよね。ハリウッドって外国のものを何でもとり入れちゃうけど、みんなハリウッド流の味つけにしてしまうでしょ。影響の痕跡をのこさない。でも、タランティーノは自分が見たものをそのまま入れちゃうところが、ハリウッドに反抗していて偉いなと思った。だからハリウッドのお偉方がこれを見たら、すごくイヤな映画に見えるかもしれない。「こんな下品なことをやりやがって!」ってね(笑)。
渡辺 なんだかんだ言ってもタランティーノは才能があるのよね。やっていることに愛嬌があるし(笑)。
宇田川 ぼくは、タランティーノって、いわば「100円ショップのジャン=リュック・ゴダール」みたいだなと思うんですよ。ゴダールは『勝手にしやがれ』('59)でB級ギャング映画ばかりをつくっていた「モノグラム社に捧げる」ってクレジットを出しているけど、タランティーノも「深作欣ニに捧げる」とか、“ショウ・ブラザース”のマークを出してたりしてますよね。そういうところが昔のゴダールぽいと思った。まぁ、扱い方が全然違いますけどね(笑)。
渡辺 ゴダールはインテリだけど、タランティーノは体育会系のオタク(笑)。
宇田川 ただのあんちゃんがつくっている感じですよね(笑)。でも、リュック・ベッソンなんかのアメリカ映画のとり入れ方よりかは全然いいんですよ。
渡辺 リュック・ベッソンはアメリカ人になりたい人なのよ。「どうしてぼくはフランスに生まれちゃったんだろう…」って思っているタイプよね。タランティーノは「ぼくはアメリカ人でアメリカを愛しているけど、アジアの映画が大好き!」とはっきりいっているから好感がもてる。
宇田川 タランティーノの映画は、アクション自体も、チャンバラだけの技術でいうと、そんなにとび抜けているわけじゃないんですよね。ただ、最後の青葉屋での大立ち回りはハデでおもしろかったなぁ、あと、ユマ・サーマンとルーシー・リューとの決闘シーンも、アクションのレベルとしては、そんなに高くはないけど見せ方はおもしろいですよね。ししおどしの音が妙に間抜けで気になったけど(笑)。
渡辺 突然、雪が降ってきたのにも驚いたけどね(笑)。あれは加藤泰(監督)の見すぎよ!
宇田川 続篇ではあと3人殺すわけですよね。ぼくとしては、ユマ・サーマンとダリル・ハンナの戦いがたのしみだな。
渡辺 まっとうな戦いになるとはおもえないけど…。
宇田川 でも、こういう映画をスティーブン・ソダーバーグ監督がつくったら許せないものになると思うんですよね(笑)。
渡辺 タランティーノだから許せるのよ。愛嬌があるのは顔だけじゃなかったのね、イイ性格してるわよ(笑)。
日本人は自分たちの文化を知らなさすぎる!?
――『ラスト サムライ』にしろ、『キル・ビル』にしろ、日本人よりもむしろ外国人のほうがサムライやチャンバラの世界に憧れている人が多いのかも知れないですね。
渡辺 ジム・ジャームッシュ監督の『ゴースト・ドッグ』('99)もそうよね。一匹狼の殺し屋が主人公なんだけど、彼は武士道に憧れていて「葉隠」を愛読しているという設定。
宇田川 日本人でも「葉隠」を読んだことのある人ってほとんどいないのに。
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『サムライ』
巨匠ジャン=ピエール・メルヴィル監督によるサスペンス。孤独な殺し屋がピアノ弾きの女と出会ったことから運命を狂わせていく。
発売:ヘラルド
¥4700(税別) |
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渡辺 日本人は日本文化を外国から教えられることってすごく多いじゃない。武士道に関してはとくにね。ジャン=ピエール・メルヴィル監督の『サムライ』('67)もそうだけど、武士道と「葉隠」は外国人が好きな日本文化のひとつね。
――本来、自分たちの文化を外国から教えてもらって知るなんて、なんとも情けない話ですね。
渡辺 とはいえ、外国の日本に対するイメージは変わってきたよね。『ラスト サムライ』や『キル・ビル』には、日本人が見て屈辱的なシーンってないじゃない。昔の日本人の描写は本当にひどかったもの。『ティファニーに朝食を』('61)なんて、あんなにおしゃれな映画なのに、出てくる日本人は出っ歯で眼鏡よ! ひどすぎるわ。
宇田川 ショーン・コネリー主演の『ライジング・サン』('93)なんて、女体盛りですもんね(笑)。女体盛りって本当にあるのかなぁ。香港のエイミー・イップって巨乳女優が来日したとき、女体盛りにつれてけって言って、アテンドの人がこまったという話を聞いたけど(笑)。
渡辺 シアトルかどこかにそれを売り物にしている店があるそうよ。最近、テレビかなんかで見たわ。
宇田川 シアトルってイチローがいるところですよね。イチローが女体盛りとか行ってたらイヤだなぁ(笑)。
――確かにそういった屈辱的なものは、『ラスト サムライ』や『キル・ビル』にはなかったですよね。まぁ、『キル・ビル』に関しては、まったく別ものって感じもしますけど(笑)。
宇田川 ぼく的には、『ラスト サムライ』は、エキストラに古い顔の日本人を使っていたのがよかったな。子役だけは現代的な顔をしていて、昔はあんな小ざっぱりした顔の子供なんていないよと思ったけど。
渡辺 そうね。小雪もちゃんときれいな日本語を使っていたし、よかったわ。
宇田川 小雪のようなタイプはアメリカ人にウケますかね?
渡辺 私は、『RONIN』('98)なんかに出ていたナターシャ・マケルホーンに雰囲気がちょっと似ているなと思った。ハリウッドの人にはエキゾチック・ビューティーなんじゃないかなあ。あと、『ラスト サムライ』の関係者が言ってたんだけど、藤原紀香みたいな人はハリウッドにもたくさんいるけど、小雪のような人はいないんですって。
宇田川 『キル・ビル』なら藤原紀香もいけそうだけど(笑)。『SPY-N』('00)でもちゃんとアクションをこなしていたし、ユマ・サーマンとの対決なんてどうかなぁ。
渡辺 そういえば、『キル・ビル』の栗山千明が使っていた鎖玉は何なの?
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『片腕カンフー対空飛ぶギロチン』
12月20日より銀座シネオパトスにて公開
アクション・スター、ジミー・ウォングが監督&主演を務めた1975年製作のクンフー映画。 |
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――あれは、ジミー・ウォングが監督・主演を務めた『片腕カンフー対空飛ぶギロチン』('75)をモチーフにしているみたいですよ。
渡辺 そうなの。私は昔から日本にある鎖鎌(鎌に鎖がついている武器)かと思った。
宇田川 内田吐夢監督の遺作になった『真剣勝負』('71)で、宮本武蔵と宍戸梅軒が対決するときに出てきますね。あれは日本の武器としてはめずらしいものですよね。ぼくは『スケバン刑事』のヨーヨーとセーラー服を思い出しました。とはいえ、格闘技の映画って、その国のローカルな武器を使ったものがたくさんありますよね。『キル・ビル』のユマ・サーマンとビビカ・A・フォックスが戦うシーンでも使っていたけど、イランではアクションで包丁を使う映画が多いらしいですよ。ジャンルとしてもちゃんと成立しているらしい。
渡辺 包丁というより、青龍刀みたいな感じなんでしょう?
宇田川 ペルシャ(イラン)の剣はまっすぐだけど、アラブのほうはもっと残酷らしくて、剣の先が二つに割れていて、それを刺してからグルッと回すんだそうです(笑)。
渡辺 ぎゃあー、やめてぇ!! そんなの見せられら、「お願いだから『インディ・ジョーンズ』('81〜'89)のようにピストルでズドンと1発撃って終わりにして!」って言っちゃうわ! |
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