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【芸能・社会】名優肺炎で相次ぎ逝く 北林谷栄さん 佐藤慶さん2010年5月7日 紙面から ◆98歳日本一の“おばあさん役者”劇団民芸創立メンバーで、映画やテレビドラマのおばあさん役で親しまれた女優の北林谷栄(きたばやし・たにえ、本名安藤令子=あんどう・れいこ)さんが4月27日午後8時40分、肺炎のため東京都世田谷区の病院で死去した。98歳。東京都出身。葬儀は近親者のみで行った。後日お別れの会を開く。喪主は長男河原朝生(かわはら・あさお)氏。 東京・銀座生まれ。1935年に創作座に参加した後、新協劇団に移って滝沢修さんや宇野重吉さんらと共演、初舞台「どん底」で注目された。同劇団は解散させられ移動劇団で活動した。 戦後、民衆芸術劇場を経て50年に滝沢さん、宇野さんらと劇団民芸を創立、看板女優として活躍した。舞台の代表作に「泰山木の木の下で」「タナトロジー」「粉本楢山節考」など。脚色や演出も手掛けた。映画では「キクとイサム」「橋のない川」など今井正監督作品のほか、「ビルマの竪琴」「キューポラのある街」「赤い殺意」「大誘拐 Rainbow Kids」「阿弥陀堂だより」に出演。アニメ「となりのトトロ」ではおばあさん役を声で演じた。テレビは「前略おふくろ様」など。 作品の多くで老いた女性を演じ、着物や小道具を自分で収集したり、前歯を取るなど役作りに徹して“日本一のおばあさん役者”と呼ばれた。 2003年に再演された「泰山木の木の下で」が最後の舞台となった。1978年紫綬褒章。 ◆悪役で名演技、ニヒルな存在感81歳大島渚監督の映画などで存在感のある演技を見せた俳優の佐藤慶(さとう・けい、本名慶之助=けいのすけ)さんが2日午後4時19分、肺炎のため東京都世田谷区の病院で死去した。81歳。福島県出身。葬儀は近親者のみで行った。喪主は長男純(じゅん)氏。 福島県会津若松市役所に勤務しながら演劇に熱中し、1950年に上京。俳優座養成所で学び「人間の條件/第3・4部」(59年)の脱走兵役で映画デビューした。大島監督「青春残酷物語」(60年)への出演をきっかけに「日本の夜と霧」「絞死刑」「儀式」など同監督作品には欠かせない俳優となった。 残虐なやくざの親分や冷酷なエリートといった悪役で存在感を発揮。60〜70年代には黒木和雄監督「日本の悪霊」、新藤兼人監督「裸の十九才」「鬼婆」、今井正監督「武士道残酷物語」など名監督の作品や武智鉄二監督「白日夢」などの話題作にも多数出演した。 テレビでは、65年のNHK大河ドラマ「太閤記」をはじめ、数々のドラマに重要な脇役として登場。ドキュメンタリー映画「東京裁判」などナレーションの分野でも活躍。舞台「イーハトーボの劇列車」では紀伊国屋演劇賞を受賞した。
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