北陸の経済ニュース 【4月23日03時09分更新】

富山、上市信金が合併 来年2月めど、預金量で富山最大に 
 富山信用金庫と上市信用金庫は22日、来年2月をめどに合併することで基本合意した 。富山信金が存続し、事実上、赤字続きの上市信金を吸収した形だ。合併により、富山信 金は預金量で高岡信金を抜き、富山県内最大となる。地域経済の悪化で信金の経営環境は 厳しく、金融機関の数が多い同県内で業界再編の引き金になる可能性がある。

 「取引先の商圏が富山市に導線として来ている。富山信金の方が取引先や住民にとって ベターな相手と判断した」。上市信金の加納善信理事長は、富山市の富山信金本店で行わ れた会見で、富山信金を選んだ理由をこう説明した。

 上市信金はかつて新川水橋信金、滑川信金と合併協議を進め、両信金が合併して誕生し た「にいかわ信金」に加わる計画もあった。しかし、推進派の理事長が急逝し、「内部体 制の問題もあって見送った」(加納氏)経緯がある。

 上市信金は2009年3月期に過去最大の赤字を計上するなど厳しい経営が続いていた が、一昨年12月には男性職員による預かり金の流用事件が発覚し、「不祥事などのゴタ ゴタが合併を遅らせた」(関係者)との見方もある。

 富山信金にすれば、主要な地盤である県都・富山市内で金融機関の競争が激化する中、 上市信金が牙城とする「立山、大山、上市はうちの取引の密度が薄い」(山地清理事長) という事情から、営業エリアを拡充できるメリットがある。

 富山市内では上市信金の店舗と営業エリアが重なる部分もあるが、こうした店舗を統廃 合することで、合併後のコスト削減にもつながる。山地氏は「地銀が世界を視野に入れる 中、信金も、ある程度の規模がないと職員の教育すらできない」と規模のメリットを強調 した。

●富山信用金庫 1902(明治35)年富山売薬信用組合として設立し、51年富山信 用金庫に改組、改称。2003年射水信用金庫と合併。09年9月末の役職員数307人 、自己資本比率20・81%。店舗数は28店舗。

●上市信用金庫 1924(大正13)年有限責任上市信用組合として設立し、51年上 市信用金庫に改組。09年9月末の役職員数100人、自己資本比率6・90%。10年 3月末の店舗数は7店舗。


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