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【北陸経済ニュース】富山、上市信金合併へ 高岡抜き県内最大2010年4月23日
来年2月めど 経営基盤を強化富山信用金庫(富山市)と上市信用金庫(富山県上市町)は二十二日、来年二月をメドに合併すると発表した。経営基盤を強化し、景気低迷で苦しむ中小零細企業への資金供給力や商品企画力を高める。預金積金残高は約三千四百億円となり、高岡信用金庫(同県高岡市)を抜き同県内でトップになる。(坂本正範) 北陸三県の信金の合併は、二〇〇五年十一月に富山県の新川水橋と滑川が合併して「にいかわ信金」(魚津市)が誕生して以来、約五年半ぶり。富山県内の信金は八から七に減る。 富山を存続金庫として上市は解散する。名称は「富山信用金庫」で、富山の山地清理事長が新金庫の理事長に就任。上市の加納善信理事長の処遇は未定。富山は上市の全店舗、全職員を引き継ぐ。今月内に合併準備委員会を設け、役員構成などを協議する。合併を決議する臨時総代会を十月に開く。 合併による規模拡大で収益力を向上させ、営業地区が重なる店舗を統廃合して効率性を高める。職員は減らさず、営業店舗に再配置して魅力ある商品、高度なサービスを提供するのが大きな狙いだ。合併は昨春から検討していた。 同日、富山信金本店で会見した山地理事長は「人材育成などを通じて信金のレベルを上げたい」、加納理事長は「取引先に対する合併効果は大きい」と語った。 富山信金は一九〇二年、富山売薬信用組合として発足。二〇〇九年九月末現在の預金積金残高は二千六百五十二億二千七百万円で県内二位。役職員は三百七人。二十八店舗。上市信金は一九二四年に上市信用組合として発足。預金積金残高は七百五十四億四千三百万円で同五位。役職員は百人。七店舗。
経営判断高く評価 北陸財務局長薗田俊和北陸財務局長は二十二日、「将来を見据えての経営判断を高く評価する。円滑な資金供給と利用者の利便向上を図り、地域経済の活性化にいっそう貢献することを期待している」との談話を発表した。 全県視野に再編加速か過剰状態で危機感も北陸の信用金庫業界が再び「再編」に動きだした。数年前の金融不安で破綻(はたん)や合併・統合が相次いだ後は落ち着いていたが、リーマン・ショック後の不況で取引先だけでなく、信金自体の経営環境も悪化。山地清富山信金理事長は「富山県は明日にでも一つになってもいいと思っている」とさえ言及。今後も出てくる可能性がある。 三県には十八信金あり、以前から「オーバーバンキング」(過剰状態)と言われている。石川、福井の各五と比べて八つが集まる富山県の動向が焦点となっていた。 金庫同士の競争に加え、近年は地銀が信金の領域である中小企業貸し出しに力を入れ、さらにゆうちょ銀行の存在もあって金融界の生き残り競争は厳しくなる一方。富山市は五金庫が店舗を出し「本当に多い」(山地理事長)。このままでは取引先に対して十分なサービスが提供できないという危機感が合併の動機の一つにある。 両金庫とも二〇〇九年九月末は黒字決算だったが、経営の健全性を示す自己資本比率は富山が20・8%、上市が6・9%。4%の国内基準を上回り健全経営だが、上市は低い。 富山と上市は以前から業界再編に前向き。山地理事長は「県内全体で交通整理が必要」と、全県を視野に入れた再編の必要性を強調。「自分から声をかけないが、待っている」と述べた。
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