【コラム】「デジタル遺産」の処分を考える(上)
4月20日、米国ウィスコンシン州に、「Entrusted」という小さなインターネット会社が発足した。インターネットユーザーが突然の死を迎えた場合、インターネット上にある各種資料や電子メール、時には金融資産まで、どのように処分し、また誰に自分の電子メール・ボックスへのアクセスを許可するのかをあらかじめ決めておき、パスワードと共に管理を委託するというサイトだ。わたしが最近スマートフォン(PDA〈携帯情報端末〉機能付き携帯電話)にダウンロードした、ドイツで開発されたアプリケーション「DataInherit」も、用途は同じだ。
「デジタル遺産」をどのように譲渡、あるいは削除するかに関する情報を管理するこうしたサイトが誕生したのは、5年前の2005年4月、米国ミシガン州の法廷で下された、ある判決が契機となっている。04年11月にイラクで戦死した海兵隊員ジャスティン・エルスワース氏の父親は、息子がイラクで過ごした生涯最後の瞬間を知ろうと、息子がポータルサイト「ヤフー(Yahoo!)」に開設していた電子メール・ボックスへのアクセス権を求めた。息子を追悼するるため、オンライン上に掲載していた動画や写真を集め、スクラップブックを作ろうと思ったのだ。
しかしヤフー側は、息子だけでなく、息子と電子メールをやりとりしていた第三者のプライバシー保護を理由に挙げ、この要求を拒否。その後、父親が息子の電子メールのパスワードを確保するまで、半年かかった。
これを契機として、米国の一部の州やスイスなどでは、デジタル遺産の相続に関する法規を制定する必要性が言及されるようになった。米国やヨーロッパに限った話ではない。昨年9月に韓国インターネット振興院が実施したインターネット利用実態調査によると、韓国の満6歳以上の人口のうち、3574万人がインターネットを利用している。これは、全人口の77%に当たる数字だ。50代だけでも52.3%がインターネットを使っている。また、インターネットユーザーの85.2%が、電子メールを利用している。2大ポータルサイトのネイバーとダウムが明らかにした電子メールの開設件数だけでも、それぞれ3400万件、3800万件に達する。また、インターネットユーザー全体のおよそ半数(44.6%)が、自分のブログを持っている。さらに全ユーザーの20.2%は、「最近1週間以内に」自分のブログを更新したと答えた。リネージュのようなオンラインゲームや、サイワールドのような交流・交際サイトにインターネットユーザーが投資した金額は、既に2兆ウォン(約1707億円)に上ると推定されている。
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