哨戒艦沈没:「北の仕業なら中国相手に静かな外交を」

英国際戦略問題研究所のジョン・チップマン所長インタビュー

 イギリスの国際戦略問題研究所(IISS)のジョン・チップマン所長は、「天安」沈没事件に対する北朝鮮の介入が明らかになった場合、効果的に対応するためには「中国を相手に静かな外交を推進し、韓中間の確固たる理解基盤を整えることが重要だ」と指摘した。

 チップマン所長は、6月初めにシンガポールで開かれるアジア太平洋国防相会議「シャングリラ・ダイアローグ」の準備を兼ねて訪韓した。同所長は3日、本紙とのインタビューに応じ、「北朝鮮が関与したという結論が出る可能性を考慮して、最も強調したい点は韓中関係だ」と述べた。

 チップマン所長は、「『天安』事件が北朝鮮の仕業であると立証された場合、韓国が報復攻撃を望むのは自然な本能といえるが、どのような対応が最も生産的かについては熟慮する必要がある」と語った。同所長は「もし、韓国が確実に北朝鮮の仕業だという結論を下しながらも報復を自制する姿を見せれば、国際社会での韓国の立場はさらに高まる」と指摘した。韓国が軍事的な報復を自制すれば、国際社会は韓国の対北朝鮮制裁への参加要求にさらに耳を傾ける可能性が高いというわけだ。

 同所長は、「韓国は『天安』の沈没原因を解明する多国籍の共同調査が終わるまで、稚拙な対応を自制する慎重な態度を見せており、国際社会はこれを高く評価している」と話した。一方で「韓国が懸念する点を国際社会にしっかりと理解させるために努力しなければならない」と指摘した。

 チップマン所長は、「最近韓国社会で議論されている国連安全保障理事会の制裁推進はかなり困難と予想される」と話した。その代わり、「各国が昨年通過した国連安保理決議1874号をより確実に実行することを求める方が効果的だ」と主張した。国連安保理決議1874号には北朝鮮の不審船に対する検査など、すでに強力な権限が付与されているため、この決議を確実に実行するだけでも高い効果が得られるというわけだ。

 同所長は「別途の国連制裁を求めれば、国際社会が納得するだけの確実な証拠が必要となる上、多国籍チームが参加する長い過程を経なければならない。中国を再び北朝鮮に対して圧力を加えるという苦しい立場に追いやるなど難関が多い」と指摘した。よって、韓国が行う外交努力に見合った効果は期待できないと見通した。具体的な制裁を決議するよりは北朝鮮を糾弾する声明水準にとどまる可能性が高いというものだ。

 チップマン所長は「韓国が『天安』危機のために萎縮し、再び韓半島(朝鮮半島)の問題だけに関心を向ける状態に戻らないことを望む」と話した。「韓半島とアジア太平洋を越える韓国の安保ビジョンが必要だ」ということだ。同所長はまた、「今まで韓国は“安保輸入国”だったが、今後は“安保輸出国”になるべきだ」とも主張した。

ジョン・チップマン国際戦略問題研究所(IISS)所長が3日、「天安」事件とその後の対応策について語っている。/写真=李鎮漢(イ・ジンハン)記者

姜仁仙(カン・インソン)記者

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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