金総書記訪中:決定的な時期に駐中大使が不在

休暇取得し米学会に出席、ソウルで講演も

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の訪中を目前に控えた先月末、柳佑益(リュ・ウイク)駐中国大使が個人的なスケジュールで訪米していたことについて、疑問の声が上がっている。

 柳大使は先月18日から21日までの四日間、勤務地の中国を離れ、米国ワシントンを訪問。4月23日にはソウル大で行われた講演で、「天安」沈没事故について「奇襲的な攻撃を受けたというのは、非常にあきれたこと」と語った。外交通商部は「国際地理学連合(IGU)の事務総長を務める柳大使は、ワシントンで開かれた同連合の会議に出席するために訪米した。政府の承認を得た上での個人的な休暇だった」と説明。出席が不可避な個人スケジュールだったとの釈明だ。

 考えてみれば、柳大使がワシントンとソウルに滞在していた期間は、韓中関係が緊迫しかけていた時期だった。4月30日には韓中首脳会談が予定されており、金総書記の訪中も間近と伝えられていた。駐中大使としては、「天安」沈没事故の調査が進行中であるため、事前に中国との緊密な関係を維持しながら、金総書記の訪中に関する情報収集に努め、国内に伝えることが常識的な任務だった。

 だが、柳大使が個人的なスケジュールで勤務地を離れている間、中国と北朝鮮は金総書記の訪中について具体的な調整を進め、韓国政府の中で金総書記の訪中計画を中国から通知された人物は、大統領を含め誰もいなかった。このため、対中外交の弱点を露呈する結果を招いた。一部では、大統領室の室長を務めていた柳大使が、「天安」沈没事故について米国と協議するために訪米を強行したのではないかとの見方も出ていたが、柳大使側はこれを否定した。

 昨年12月28日に駐中大使に着任した柳大使は、今年2月にはソウルで開かれた在外公館長会議に出席した後、1週間の休暇を取得し、旧正月をソウルで過ごした。このため、「駐中大使は勤務地を頻繁に離れる」との指摘の声も上がった。在中国韓国大使館は、「在外公館長会議があれば、1週間の休暇を取得するのは慣例」と釈明した。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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