金総書記訪中:中国への抗議を突然やめた韓国政府

大統領府の意向を受け、方針転換か

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が中国を訪問して以降、外交経路を通じ、中国側に遺憾の意を伝えてきた外交通商部が5日、「韓中両国間に外交をめぐる対立はない」という内容の報道資料を発表した。今月3日、4日の両日、外交通商部のシン・ガクス第1次官と、玄仁沢(ヒョン・インテク)統一部長官が張金森駐韓中国大使と面会し、中国の「責任ある役割」を求めるとともに、中国が金総書記の訪中について事前に通告しなかったことに対し遺憾の意を伝えたのとは、態度が大きく変わったというわけだ。

 外交通商部はこの日、報道官の名で報道資料を発表し、「金総書記の訪中は、今年に入ってたびたび提案されており、韓国政府はこれに関する動向を注意深く見守ってきた。先月30日の韓中首脳会談の際、胡錦濤国家主席に対し、哨戒艦『天安』の沈没事故に対する韓国の姿勢についても十分に説明した」と述べた。

 一方、同部は、「政府は中国側と緊密な協議を行ってきた。韓中両国の間に、外交的な対立があるという話は、事実とは異なる」と主張した。韓国政府が中国に対し、金総書記の訪中について懸念を表明したにもかかわらず、中国が訪中を受け入れたことに対し遺憾の意を伝えたことから、「韓中両国の関係に問題が生じているのではないか」という指摘が出たため、政府がこれを否定したというわけだ。また、韓中首脳会談の際、中国側が金総書記の訪中を知らせなかったことについては、「事前に通告してくれれば良かったのだが、中国と北朝鮮の間には長年にわたる慣行があるとみられる」という、ある政府幹部の説明もあった。

 前日まで、駐韓中国大使を呼んで遺憾の意を表明していた同部と統一部が、突然方向転換したのは、大統領府内部の空気の変化と無関係ではないとみられる。政府のある幹部はこの日、「外国の大使を呼ぶという行為は通常、大統領府との調整があってこそ可能だ」と語った。外交通商部が、大統領府との意見を統一し、中国の大使を呼んで、中国と北朝鮮との外交に関する秘密主義や偏向ぶりに対し抗議したのに対し、「やりすぎだ」という大統領府の判断が伝わったことで急にボルテージを下げたというわけだ。

 張金森駐韓中国大使も、韓国政府の幹部による抗議が相次いだため、4日には「中国は責任ある大国として、責任ある役割を果たしている」と不快感を表わした。

 一方、政府の内部でも、「『天安』沈没事故の真相解明に向けて、国際的な協力がとりわけ重要な時期に、中国と対立しているかのような印象を与えることは、韓国にとってプラスにはならない」との指摘があったという。政府のある幹部はこの日、「政府は金総書記の訪中以降、中国によるフォローが行われることを、冷静な姿勢で見守っている。中国が北朝鮮との首脳会談の内容を、韓国側に説明することに期待している」と語った。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者

【ニュース特集】金総書記4年ぶり訪中

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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