【社説】金総書記、中国経済特区100回見ても無駄

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記は、訪中三日目の5日、天津市郊外の新興産業地帯・浜海を視察した。金総書記は3日から4日にかけ、遼寧省大連市の経済技術開発特区などを視察している。金総書記は今回の訪中日程の前半を、中国北東部の主要産業施設視察に充てた。5日午後には北京に到着し、中国の胡錦濤国家主席との会談など、政治日程に入ったものとみられる。

 金総書記は2000年以降に行った5回の訪中のうち、01年と06年、そして今回の3回にわたり、中国の経済特区を訪問している。01年には上海を訪れ、「上海の天地は開けた。中国の大きな変化は、中国共産党の改革・開放政策が正しかったことを証明している」と述べた。06年には武漢の三峡ダム、広州・深センのハイテク産業団地やコンテナ港を視察した。金総書記は、こうした中国式の経済開発モデルを北朝鮮でも実現させようと、02年に「7・1経済改革」や新義州特区を推し進めたが、共に失敗に終わった。失敗の最大の原因は、世界で最も孤立し、閉鎖的な北朝鮮の体制はそのままに、一部地域だけを外貨稼ぎのために経済特区にしようとしたことだ。金総書記は中国経済特区の華やかな外面を見ただけで、資本主義国よりも資本主義的なやり方で改革・開放を率いた中国指導部の考えやビジョンまでは見ていなかったのだ。

 金総書記が今回視察した大連と天津は、北朝鮮が最近力を入れている中朝国境部の都市・新義州や咸鏡道の羅先(旧:羅津・先鋒)港開発と密接な関係がある。大連・天津とも北朝鮮に近いため、新義州・羅先港の開発モデルになるという。だが、今回も金総書記が経済改革・開放の門戸を開き、北朝鮮が生き残れるような道を選択する可能性は高くないだろう。

 北朝鮮は先月23日、金剛山地区の南北離散家族面会所など、韓国政府・公企業所有の不動産約3600億ウォン(約303億円)相当を没収すると発表した。北朝鮮軍兵士が08年に韓国人観光客を射殺した事件で金剛山観光が中断されると、韓国政府や企業が所有する不動産を、法を無視する形で没収すると言い出したのだ。これでは北朝鮮と貿易し、投資しようという国や企業は、世界中のどこを見ても見つからない。北朝鮮は中国にとっても魅力的な投資対象ではない。金総書記が北朝鮮の経済発展を心から望むなら、中国経済特区を視察するのは見当違いだ。世界史上、最短期間で最貧国から世界10位以内に入る経済大国に躍進した韓国と手を結び、北朝鮮を変革していくのが一番確実で、手軽な方法だ。

【ニュース特集】金総書記4年ぶり訪中

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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