DMB携帯電話で世界市場進出を図る韓国(下)

創刊90周年特集 「コリア・スタンダード」の世界普及

 現在世界的に競合しているモバイル放送技術は大きく分けて4つある。日本はこのうち「ワンセグ」という技術でブラジルやアルゼンチンなど南米市場を攻略している。中国も独自開発でアフリカ市場への参入を目指している。

 これらに対してDMBは他のモバイル放送受信技術に比べ運営費が低価格で、受信地域が広いため技術的な競争力は高いものの、国内と海外の通信技術の差などにより世界市場への参入が出遅れた。韓国政府は、未開拓国の東南アジアと中南米を中心に積極的に海外進出を進めている。

 DMBのベトナム進出は、放送通信委員会と韓国電子通信研究院(ETRI)が総力を挙げて取り組んだ賜物だ。昨年10月に李明博(イ・ミョンバク)大統領がベトナムを訪問した際、首脳会談の議題でDMB技術を含めたIT(情報・通信)分野の技術移転や協力について話し合われた。当時放送通信委員会のチェ・シジュン委員長がベトナム郵政通信省の長官と協議し、MOU(了解覚書)を締結、昨年12月にベトナム政府から周波数の割り当てを受けた。

モバイル「技術戦争」、次のターゲットは中南米

 韓国政府が次の進出地域とし狙っているのは中南米諸国だ。人口が多く、放送、通信など新技術に対する関心が高いため、DMB進出には最適とみられている。ETRIでDMBの海外進出を総括している同委員会のキム・デウン責任研究院は、「ドミニカ共和国をはじめ、メキシコなどに進出できれば日本と競争することができる。DMBの成功事例を拡大するため、放送通信委員会を中心に各省庁が総力を傾けて取り組んでいる」と話した。各国でDMBの成功事例を築くことができれば、追加技術をセールスする際にも大きなプラスになる。ただしDMBがより多くの国で標準として採用されるためには、意欲的な政府の支援が必要との指摘もある。例えば日本の場合、政府主導のコンソーシアムなどの支援を受け、ブラジルなど南米市場を攻略している。

DMB携帯電話でベトナム放送を視聴するハノイ市民。ベトナムでは8月ごろ、韓国の技術で開発されたDMBで6チャンネルのモバイルテレビ放送が開始される予定だ。/写真=李明元(イ・ミョンウォン)記者

ハノイ(ベトナム)=ソン・ジョンミン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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