金総書記訪中:中国が知らせなかったワケ(下)

専門家による分析

 金総書記の訪中を韓国側に事前に通知しなかったことについて、パク・ビョングァン博士は「まさに、中国が韓半島をはかりに掛けているため」と表現した。北朝鮮に対しては「われわれ(中国)は特別な待遇をしている。警護の面でも最大限に配慮している」というメッセージにより、韓国に対しては「経済的に関係が近づいているが、さらに近づくべき」というサインにより、韓半島への影響力を強めようとしていると見ている。

「『天安』沈没と北朝鮮問題を切り離す」

 しかし、北朝鮮が「天安」沈没に介入したという証拠が明らかになれば、中国も対北朝鮮制裁に賛同、もしくは経済支援に少なくとも慎重になるだろう、と専門家は見ている。

 中国は2006年の北朝鮮による核実験以降、核問題と北朝鮮問題を切り離して対応する姿勢を示している。北朝鮮情勢が不安定になることは望んでいないが、1回目と2回目の核実験で国連安保理の対北朝鮮制裁を承認した。「天安」沈没の場合も、確実な証拠が出れば「核実験時のように北朝鮮問題と切り離して対応するだろう」(キム・フンギュ教授)という見方が多い。北朝鮮とは特殊な関係にある一方で、世界の政治・経済で米国と1、2位を争う超大国としてのイメージも重要だからだ。

 だが、韓国外国語大学のオ・スンリョル教授は、「『天安』沈没は現場の証拠がはっきりしないため、韓米が『北朝鮮の仕業だ』と結論付けても、中国の反応は鈍い可能性が高い。中国としては『十分な注意』『鋭意注視』などと明言を避けようとするだろう」と話す。

 同大学中国研究所のカン・ジュニョン所長は「今、中国が北朝鮮を見捨てる理由はない」と言い切った。今後、米朝間による北朝鮮の核問題交渉や韓半島平和体制論議で、韓米同盟の弱体化、在韓米軍撤退、韓半島の非核化などが現実となれば、「他人の力で」中国の目的を果たせるためだ。カン所長は「韓国は口では『中国は重要』と言っているが、実際に(中国のために)大義を成したことはない。そのため、『韓国は決定的な瞬間では韓米日同盟に頼るばかり』と中国側は不満を募らせている」と話している。

アン・ヨンヒョン記者

李竜洙(イ・ヨンス)記者

【ニュース特集】金総書記4年ぶり訪中

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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