金総書記訪中:中国が知らせなかったワケ(上)

専門家による分析

 中国の胡錦濤国家主席は先月30日、李明博(イ・ミョンバク)大統領に会った際、韓国海軍の哨戒艦「天安」沈没に対する慰めの言葉をかけたが、わずかその3日後には「唯一の容疑者」金正日(キム・ジョンイル)総書記の訪中を許可した。さらに今回の訪中について、韓国側には一言も言及しなかった。なぜ中国は事前に知らせなかったのか。そして、今後どのような対応していくつもりなのか。

中朝の特殊関係>韓中戦略的パートナー関係

 中国関連の専門家は「結果的に言えば、中国は北朝鮮との特殊関係(血盟関係)を韓国との戦略的パートナーシップよりも優先的に考えている」と話す。国家安保戦略研究所のパク・ビョングァン博士は、「中国は韓国にとって最大の貿易相手国だが、韓中関係は中朝の特殊な関係を越えられないというのが国際政治の現実」と語った。

 中国国営の新華社通信は、韓中首脳会談が行われた先月30日、胡主席の「天安」事故に関する発言は報道しなかったものの、同日の金泳南(キム・ヨンナム)北朝鮮最高人民会議常任委員長との中朝会談については比較的大きく報じた。

 韓半島(朝鮮半島)問題において、中国の最も大きな目標は「安定」と「現状維持」だと言われている。外交安保研究院のキム・フンギュ教授は、「中国は年に12万件以上の集団暴動やデモが起きているほど、経済的・社会的に不安定だ。これに加え、北朝鮮情勢まで揺らいでいるため、中国の不安定な状況が一層深刻化するのを最も警戒している」と見ている。こうした流れの中で、中国は北朝鮮が経済難や「天安」沈没に翻弄(ほんろう)され、座礁するのを黙ってみていられなかったという見方だ。

 慶煕大学のチュ・ジェウ教授は、「中国が韓国の期待を裏切り、金総書記を受け入れたのは、『天安』沈没が中国の安保問題として急浮上したため」と分析する。韓米日が協力して北朝鮮に強硬な圧力をかけ、国連安保理の追加制裁を推し進めれば、中国の安保問題にもかかわってくるというわけだ。「中国にとって経済関係(韓中)よりも、安保関係(中朝)のほうが先」という説明だ。

【ニュース特集】金総書記4年ぶり訪中

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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