金総書記訪中:韓米VS中朝の対決構図、再燃か(下)

 中国は、韓中首脳会談から3日後に予定されていた金総書記の訪中計画について李大統領に事前に知らせず、金総書記を歓待した。これにより、東北アジア情勢と南北関係に対する中国の立場が、改めて確認された。李明博政権は、「韓中自由貿易協定(FTA)を推進することで、FTAをためらう米国を圧迫する」という「経済外交の“てこ”」論まで持ち出した。しかし、天安事故という安保上の大事件が浮上したことで、東北アジアでは安保が最優先にならざるを得ない、という現実が明らかになっている。太陽政策を掲げた過去の政権下では、韓国は朝中と歩調を合わせることで警戒線が不透明になるという状態だったが、韓半島(朝鮮半島)を取り巻く東北アジアの秩序は、「韓米VS中朝」という同盟の構図を基本としているのだ。

 韓国政府は、天安事故に対する国際協力の期待を打ち砕いた「金総書記の訪中」に当惑しつつも、強固な韓米同盟を強く信じている、という雰囲気にある。大統領府(青瓦台)の高官は5日、「韓米間では、天安事故の調査が(6カ国協議より)優先だ、という立場を定めている」と強調した。

 しかし米国が、「天安が先、6カ国は後」という立場を最後まで固守するかどうかは不透明だ、という指摘も出ている。現在は、「友邦が喪に服している雰囲気」を意識しているだけで、米国にとって北朝鮮の核問題は最優先事項であり、北朝鮮が6カ国協議に復帰すると宣言した場合、米国はこれをむやみに振り払うことはしないだろう、と考えるのが合理的な見方だ。

 ヒラリー・クリントン国務長官は先月29日、戴秉国国務委員と電話で会談し、6カ国協議の再開について話し合った。これは、天安事故を優先課題とする現在の米国の立場が揺るがないとは限らない、ということを示唆している。天安の問題で北朝鮮を封鎖しようとした韓国が、北朝鮮が「6カ国協議攻勢」カードを持ち出すことにより、逆に包囲される状況にもなりかねない、というわけだ。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者

【ニュース特集】金総書記4年ぶり訪中

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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