「日本で3Dに夢中なのは家電業界だけ」

キネマ旬報映画総合研究所・掛尾良夫所長が語る

 「日本の映画界では、“3D(三次元)はハリウッドに任せておけばよい。われわれは米SF映画『アバター』と競うつもりはない”と言われています。また、映画館のオーナーは3D上映館をどの程度確保すべきか、いまだに決めかねています」

 全州国際映画祭に出席したキネマ旬報映画総合研究所の掛尾良夫所長(59)は、日本には(では)韓国のように、『アバター』をはじめとした3Dブームはないと話す。『アバター』は日本での収益のうち80%が3D映画館で出たもので、総売上額が152億円を超えたものの、『タイタニック』の記録(260億円)にははるか及ばなかった。3D映画館の数も、全体の10.3%に相当する351カ所に過ぎない。

 「日本の映画館では、高価なデジタルプロジェクターを導入して間もないうちに、さらに低価格で画像が鮮明なプロジェクターが登場しました。10年後にはパソコンで『スターウォーズ』のような映画が作れるようになるかもしれません。現在、日本で3Dに夢中なのは家電業界だけです」

 掛尾所長は3Dは監督の創意を低下させると話し、3D映画には懐疑的だった。「制約が多いほど、監督は想像力を発揮します。市川崑監督の白黒映画『ビルマの竪琴』(1956年)は、『ビルマの地は赤い』という字幕で始まります。この場面では、白黒画面から強力な赤い色が感じられます。無声映画からは音を感じさせ、白黒映画では色を、2D(二次元)映画からは深さを感じさせるのが、映画制作者の想像力です」。掛尾所長は最近の日本映画について、あまりに小さなテーマを中心に制作されていることが少し心配だとしながら、「間もなくロマンポルノ(ポルノ映画)が3Dで登場するだろう」と語った。

全州=韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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