【コラム】中国に「10のソウル」が生まれている(下)

 次に、「中国・シンガポール生態都市」に移動した。浜海新区の北側の海岸に位置する更地(30平方キロ)に、2022年までに人と自然が調和する「環境に優しい都市」を建設するというプロジェクトが計画されている。都市の完成予想図を見ると、中心部に全面積の3分の1に達する巨大な湖や生態系を再現する島が造られ、その周囲にはエネルギー節約型産業・ハイテク技術研究所・文化センター・展示館などが立ち並んでいる。住宅地と産業施設の間には森や小川がある。中国人の視線が、発展の量から質へと移り変わっていることを物語っていた。

 浜海新区は4年で目覚ましい成果を挙げた。外国企業約4000社が入居し、世界の500大企業からも、モトローラ・エアバス・サムスン電子など96社が入っている。仁川市松都自由区域に投資した外国資本が目標の1%に過ぎない状況とは比べものにならない。いくらその背景にある市場規模に違いがあるとしても、あまりにも対照的だ。

 関係者は、「2009年の浜海新区の総生産額は560億ドル(約5兆2674億円)で、天津市の総生産額1099億ドル(約10兆3372億円)の半分以上になる」と説明した。天津市の経済規模は、地理的な位置がほぼ同じ仁川市(2008年に433億ドル=約4兆728億円)の2倍を上回り、ソウル市(2850億ドル=約26兆8071億円)の40%に迫っている。中国には天津市のほかにも、広州・深セン・重慶・成都・長沙・武漢・瀋陽などが躍進している。これらの都市に行けば、「目覚ましい発展」という言葉は決して誇張でも何でもない。今、中国には「10以上のソウル」が生まれているのだ。

池海範(チ・ヘボム)北東アジア研究所長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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