北京の外交筋によると、北朝鮮の金正日（キム・ジョンイル）総書記が乗った特別列車が3日早朝、中国の北朝鮮国境に位置する遼寧省の丹東駅を通過したことが確認された。

　特別列車は同日午前5時15分（韓国時間午前6時15分）に丹東駅に到着した。この時間帯には、北朝鮮と中国を結ぶ定期国際列車は運行されておらず、同外交筋は「到着した北朝鮮の旅客列車は金総書記の専用列車と確認された。列車は丹東駅で30－40分間停車した後、北京に向かうと承知している」と語った。

　中国と北朝鮮では鉄道の軌道幅が異なるため、列車は丹東駅で車輪の調整を行った。また、警備に当たる中国側関係者を乗せるため、列車後尾に1－2両が増結されたもようだ。

　一方、フジテレビは金総書記が乗った列車が丹東入りする映像を撮影した。丹東駅と鴨緑江鉄橋の周辺には午前4時半から警察官約200人が2－3メートル間隔で立ち、厳重な警戒態勢が取られた。また、丹東駅周辺では車の通行が禁止されたという。

　金総書記を乗せた特別列車は、大連市に向かったとの情報がある。丹東から大連へは列車で4時間の距離だ。金総書記は同日午前に大連入りし、視察や関係者との会談を行った後、別の目的地に向かうか、大連で1泊する可能性も指摘されている。

　大連は人口600万人の都市で、東北3省の物流の90％が集中する。港に鉄道や道路が直結され、2020年までに北東アジアの国際物流ハブを目指すとする計画が推進されている。

　今のところ、金総書記の大連での日程は判明していないが、大連は港湾都市で造船所などが多い点からみて、北朝鮮が東海（日本海）側に開発中の羅津港と何らかの関係があるとみられる。北朝鮮と中国は昨年、羅津港を保税と中継貿易の役割を持たせた国際物流拠点として開発することに合意している。金総書記は保税区や中継貿易拠点として規模が大きい大連を参考に、羅津港を開発する意向を持っている可能性がある。4月2－3日には、金総書記の先遣隊とみられる金永日（キム・ヨンイル）朝鮮労働党国際部長も大連を訪問している。

　また、大連は2008年に北朝鮮の羅津港1号ふ頭の独占使用権を獲得し、中国の「東海進出権」を握ることになった「創立集団」の本社があり、金総書記が関係者と会談する可能性もある。創立集団は昨年、2600万元を投資し、羅津港1号ふ頭の改良工事を進めているとされる。

　金総書記は大連訪問の後、北京に向かうと予想される。金総書記は訪問中に温家宝首相、呉邦国・全国人民代表大会常務委員長、習近平国家副主席、李克強副首相ら中国首脳部と会談するとみられる。

　今回の訪中に金総書記の三男で北朝鮮の権力後継者とされるジョンウン氏が同行しているかも注目されるが、現時点では確認されていない。ジョンウン氏が同行したとすれば、今回の訪中では北朝鮮の後継体制に関する協議も行われるとみられる。

　韓国で起きた哨戒艦「天安」沈没事故の背後に北朝鮮の存在が指摘される中、北朝鮮が安全保障上の懸念を解消するため、中国との関係を強化しようとしているとの見方もある。6カ国協議の当事国である韓国、米国、日本、ロシアは、金総書記の訪中で核問題がどのように扱われるかに注目している。しかし、「天安」沈没事故が発生した直後だけに、金総書記が6カ国協議に関する何らかの立場表明を行うのは困難な状況とみられる。

北京＝崔有植（チェ・ユシク）特派員

金正薫（キム・ジョンフン）記者

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