【社説】全軍指揮官会議を新安保体制スタートの場に

 全軍主要指揮官会議が4日、李明博(イ・ミョンバク)大統領主宰で開催される。この会議で李大統領は、軍の統帥権者として安全保障体制を改めてチェックし、国家の防衛に関連して重大な指示を行うという。陸海空軍の中将クラス以上の将校全員が出席する全軍指揮官会議を大統領が直接主宰するのは、62年前に韓国軍が創設されて以来、初めてのことだ。

 哨戒艦「天安」沈没事故は、大韓民国が安全保障面でいかなる状況に置かれているかを改めて示してくれた。国の安全保障体制が揺らげば、これまで韓国が数十年にわたり積み上げてきた経済的、政治的、文化的な成果が一瞬にして水の泡となる可能性もある。敵対勢力の潜水艦が西海(黄海)、南海(東シナ海)、東海(日本海)を自由に航行し、武装ゲリラがいつでも後方をかく乱でき、その上ソウルの空にはいつ砲弾が飛んでくるか分からず、常に戦々恐々としなければならないのであれば、このような国の経済が順調に発展することなどあり得ないし、また国民も、幸福な日常生活を送ることはできないだろう。国の安全保障とは、普段はその恩恵を実感することはできないが、それがなくては国も国民も存立できない酸素のような役割を果たしている。これは、今回の天安沈没事故を通じて改めて思い知らされた。

 大韓民国の経済力は北朝鮮の38倍に達するという。しかし、だからといって、軍事的な対決で圧倒的に有利になると考えてはならない。北朝鮮は常に戦時経済体制を維持してきた国だ。大韓民国の平時の経済力は、爆撃によって道路がマヒし、戦力や通信システムが崩壊し、機雷で船の航行が封鎖されてしまえば、その力を発揮することはできなくなる。

 イージス艦や精密誘導ミサイルなどのハイテク兵器だけで、南北の戦力を比較してはならない。北朝鮮は、奇襲的先制攻撃という韓国側が保有していない非対称戦力を整備している。有事の際、北朝鮮の特殊部隊18万人は予測も探知もできない方法で攻撃を仕掛けてくるだろう。海上での海軍戦力で韓国軍が朝鮮人民軍を上回っているのは確かだが、それでも彼らは70隻の潜水艦を保有し、密かに韓国の領海に入って数千トン級の艦艇を一発の魚雷で沈没させることができるのだ。

 韓国海軍がこれまで大洋海軍の建設を目指し、イージス艦や1万4000トン級以上の大型上陸艦などを保有するに至ったのは、当面する北朝鮮の脅威よりも、周辺国からの潜在的な脅威をより重視したためだろう。過去10年の二つの政権で韓国軍の主敵意識が弱まり、戦力や兵器の配備で優先順位に問題が生じているのであれば、これは直ちに修正しなければならない。

 国防は、数十年に1回、突発的な事態が発生したとしても、直ちに対応できるシステムを持ち続けなければならない。そのためには、さまざまなレベルの軍事挑発に備えたマニュアルを整備しておく必要があり、また軍関係者をはじめとする安保分野の従事者は、常に臨戦態勢を維持し続けるために、一瞬たりとも訓練を怠ってはならないのだ。

 大統領主宰の全軍指揮官会議は、政府と軍が何かしていることを見せるためのイベントとして終わってはならない。この会議は、天安事故後の韓国軍と国防体制が、事故以前とは完全に異なっていることを国民に確信させる対策を議論する場とすべきであり、同時にそれらを直ちに実行に移す契機としなければならない。

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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