哨戒艦沈没:海上訓練など「武力示威」を検討(下)

 こうした状況から、軍事制裁の中では高強度の武力示威が現実的な手段として検討されているという。ペンニョン島の北方限界線(NLL)付近など、西海(黄海)で爆雷投下、潜水艦攻撃用の軽魚雷発射、艦砲実弾射撃などを含む高強度の対潜水艦訓練などを韓国軍単独、もしくは韓米合同で実施するという作戦だ。空軍F15K戦闘機、P-3C海上哨戒機など、航空戦力を機動訓練に含めることもできる。

 一方、専門家の中には、1978年8月18日に板門店で起きたポプラ事件(板門店の共同警備区域でポプラの枝を切っていた米軍兵士二人が北朝鮮軍に殺害された事件)の際に韓米両国軍が取った措置を参考にすべきだという指摘も出ている。

 当時、米国は事件の発端となったポプラを伐採し、グアムと沖縄基地からB52爆撃機3機、F4「ファントム」24機を韓半島(朝鮮半島)上空に出動させて武力示威を行った。さらに、ポプラ伐採中に交戦となって事態が拡大した場合には、開城と延白平野まで進軍、占領するという作戦計画まで立てていた。結局、金日成(キム・イルソン)主席は事実上これに屈服し、初めて「遺憾声明」を発表した。

 同様の方法で、有事の際に核爆弾攻撃が可能な米軍B2ステルス爆撃機やB52爆撃機をグアム基地から韓半島上空に出動させ、武力示威を行うという内容だ。先月30日、国会国防委員会で金泰栄長官は、未来希望連帯のキム・ジョン議員による「(米国の)核(兵器搭載)爆撃機を出動もしくは配置するだけでも、(北朝鮮に)強力なシグナルを送ることができるのではないか」という質疑に対し、「良い武力示威の方法だと思う」と答弁した。

 軍当局は、北朝鮮商船の済州海峡通過禁止や、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時に撤去された最前線地域での北朝鮮向け電光板の設置、拡声器による放送の再開など、北朝鮮に対する心理戦を再開することも効果的な対北朝鮮制裁の手段の一つとして検討している。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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