【コラム】テレビドラマの中の同性愛(上)

 「同性愛は精神病ではないのか」「同性愛は確かに現実に存在するもの。理解できないのなら、せめて非難することだけはやめるべきでは?」 

 人気脚本家で「言葉のマジシャン」と呼ばれるキム・スヒョン氏が2年ぶりに手掛けたドラマ『人生は美しい』(SBS)をめぐり、同性愛に関する議論が巻き起こっている。インターネットの視聴者掲示板では、寄せられた意見の8割が同性愛に関するものだ。SBSには連日、抗議の電話が殺到しているという。同ドラマでは、ソン・チャンイ(テソプ役)とイ・サンウ(ギョンス役)の男優二人が同性愛者を演じ、苦悩に満ちた生き様を真正面から描いている。テレビの連続ドラマで同性愛が本格的に取り上げられるのは今回が初めてだ。

 2000年代半ば以降、同性愛は映画のテーマとして注目された。『アンティーク~西洋骨董菓子店~』や『王の男』、『霜花店(サンファジョム)運命、その愛』 などが代表的だ。また、テレビCMにも同姓愛を連想させる設定がたびたび登場した。ある移動通信社のCMで使われた「かっこいい男にはガールフレンドがいて、完ぺきな男にはボーイフレンドがいる」というキャッチフレーズは、今でも鮮やかに記憶に残っている。

 だが、これらの映画やCMで、同性愛は現実性がかなり排除されたものだった。同性愛者が実際に現実社会で生きていく上で耐えなければならない苦痛や、彼らをどう受け入れるべきか分からずに戸惑う家族や周囲の人々の話は表に出てこなかった。そのため、同性愛を美化しているという批判が生まれた。現実ではまだ論争のさなかにある同性愛を扱った映画やドラマが商業的に成功した裏には、本質を無視したままタブーに対する好奇心だけを刺激するという戦略が隠されていたのだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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