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【Jリーグ】不調の中村俊輔は相手にとって怖い存在か〜ドイツ大会のいやな思い出

スポルティーバ5月 6日(木) 17時43分配信 / スポーツ - サッカー
 恐らく、最近の横浜の試合を見た人 なら、誰もが気づいていることだろう。

 中村俊輔の不調、である。

 確かに、依然として中村は攻撃の中心にいる。彼のところにはボールが集まり、時折彼らしいサイドチェンジを見せる。まったくチャンスを作っていないわけでもない。

 しかし、われわれが試合を見るとき、すべての選手に同じレベルのプレイを期待するわけではない。つまりトップレベルの選手に対しては、それ相応のクオリティを求めるわけだ。

 残念ながら、彼が実際に見せるプレイと、求められているものとの間には、大きな隔たりがあると言わざるをえない。

 それどころか、このところは相手チームに明らかな不調を見抜かれ、ボール狩りのターゲットにされているフシさえある。

 少なくとも、相手選手は中村を警戒はしても、怖がってはいない。誰もがみな、自信満々に中村に襲いかかる。

 エスパニョール在籍時から、中村のコンディション不良は伝えられていた。それに加えて清水戦で左足甲に打撲を負うなど、J復帰後も状態はさらに悪化している印象さえ受ける。当然、不調の原因をコンディションの悪さに求めることは可能だろう。

 だが、それにしても、あまりにプレイ内容が悪すぎる。本当にこれをコンディションの問題として片付けてしまっていいのか、疑わしいほどに。

 高原直泰という前例もある。3年前のアジアカップでは、明らかに他の日本人FWとは一段レベルの違うプレイを見せながら、J復帰後はまるで精彩を欠いている。浦和での起用法に問題があるのだとしても、その落ち込みぶりは目を覆うばかりである。

 果たして、中村は高原とは違うと、誰が言い切れるだろうか。

 年齢的な衰え、長年プレイし続けてきた蓄積疲労……。もちろん、ここで原因を究明できるはずもないが、ワールドカップまでまだ1カ月あるのだから、それまでにコンディションは上向くはず、と考えるのは、あまりに楽観的すぎるように思う。

 新聞紙上などでは、本人の「(ケガの)痛みはなくなった」などのポジティブな発言も見られるが、実際の試合を見る限り、とてもそれを鵜呑みにはできない。

 実際、本人が休みたがらないのも、単にコンディションやケガが原因とは思っていないからではないのだろうか。

 その一方で、小笠原満男や小野伸二といった、南アフリカのピッチに立つ可能性の低い選手たちが好調ぶりを示すという、あまりに皮肉な状況も生まれている。

 とはいえ、調子のいい選手の抜擢を声高に叫んだところで、今となってはむなしいだけ。岡田武史監督が中村をメンバーから外すことなど、とても考えられない以 上、あとは彼に頑張ってもらうしかないのだ。

 ところが、日本代表にしても、中村に休養を与えている余裕はない。

 誰が出ても同じ戦いができるわけではないことは、すでに指揮官も認めている。ベストメンバーで戦い、連携を高めていくこと以外に、もはや岡田には策がない。となれば、ワールドカップ本番前に用意されている3試合(対韓国、イングランド、コートジボワール)は、メンバーを固定して戦いたいというのが本音だろう。

 いずれの試合においても、中村の名が先発メンバーから消えるとは考えにくい。もちろん、ワールドカップ本番でも。

 4年前、中田英寿が死力を尽くして走り回っていた傍らで、発熱による体調不良を大義名分に、中村がボールから逃げ回っていたブラジル戦を思い出すと、背筋には冷たいものが走る。

 再び、同じことが繰り返されなければいいのだが。

浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

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  • 最終更新:5月 6日(木) 17時43分
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