選挙控え民主に悲鳴、社民「連立離脱」浮上も
鳩山首相が4日、沖縄県を訪問し、米軍普天間飛行場の移設問題を巡り、衆院選前に「最低でも県外移設」と明言した自らの発言に反する形で、「県内移設」を進める意向を表明したことに対し、政府・民主党内から首相を擁護する発言が相次いだ。
しかし、5月末の問題決着が絶望的な状況は変わりなく、夏の参院選を控えて首相が窮地に陥る可能性もある。
首相に近い仙谷国家戦略相は4日、ハノイ市内での同行記者団との懇談で、5月末までに普天間問題が決着しなかった場合の対応について、「普天間が片が付かないからといって、政治責任を取らないといけないというせせこましい話ではない」と述べ、首相退陣には直結しないと強調した。
民主党の輿石東参院議員会長も「誠意をしっかり示し、沖縄の理解を得ようとしたもので評価できる」と語った。
民主党内では、首相が示した県内移設方針について、地元の同意は得ることは難しく、首相が掲げる「5月末決着」の期限を先送りせざるを得ないとの見方が強い。党幹部は4日、「誠心誠意謝り、政権へのダメージを最小限にとどめる以外にない」と述べ、軟着陸を模索する考えを示した。
ただ、首相を取り巻く政治状況は厳しさを増している。
社民党党首の福島消費者相は4日、記者団に、「首相は、県内移設をやめてほしいという沖縄の強い思いを受け止めて政治をやっていくべきだ」と注文をつけた。首相が県内移設で決着しようとすれば、社民党内で連立離脱論が浮上するのは確実で、沖縄選出の照屋寛徳・社民党国会対策委員長は「『最低でも県外』と言った公約をかなぐり捨て、国外・県外移設の可能性を具体的に検討した根拠も示していない」と首相を批判した。
読売新聞社の4月の世論調査で、内閣支持率は33%に下落した。政府・与党内では「普天間問題の影響でさらに落ち込みかねない」と懸念する声が強い。
民主党内では、参院選で改選を迎える議員から「選挙は戦えない」との声が上がり始めた。「普天間問題で、首相は問題を解決できないという印象が定着した。首相の資質が問われるようになったら政権はおしまいだ」との指摘も出ている。
これに対し、野党は、首相の退陣を求める構えだ。自民党の谷垣総裁は4日、党本部で記者会見し、「『最低でも県外』と言って沖縄県民の期待をあおってきたことからすれば、明確な約束違反だ」と批判した。
公明党の山口代表は「前言を翻して県外全面移設断念を明言したことは、厳しい非難を免れない」との談話を発表した。
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