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鳩山首相 沖縄“おわび”行脚 怒号「本当に総理か」 女性詰め寄る場面も

5月5日7時56分配信 産経新聞

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題をめぐり、就任後初めて沖縄を訪問した鳩山由紀夫首相。昨年の衆院選で移設先を「最低でも県外」と訴えながら、県内移設を示唆することになり、ひたすら低姿勢の“おわび行脚”に終始した。「本当に総理か」。地元からは首相の軽すぎる言葉に怒りが集まった。

 県庁で行われた仲井真弘多知事や高嶺善伸県議会議長らとの面談は歓迎ムードとはほど遠い雰囲気。花束を渡す際にも、司会者がわざわざ「慣例なので」と断りを入れて冷ややかな空気が流れた。

 普天間飛行場の早期返還と国外・県外移設などを求める要望書を手渡された首相は「新政権をつくらせていただく際、『最低でも県外』と申し上げたことは事実。言葉の重みはしっかりとかみしめなければならない」と“ざんげ”した。

 その後、宜野湾市のホテルでは周辺首長との懇談会が開かれ、那覇市の翁長雄志市長が「沖縄県民の心をもてあそぶことになるのか、沖縄の自立の礎を築いた政治家になるのか、今が正念場だ」と訴えた。

 普天間飛行場に隣接する普天間第二小学校の体育館に住民約100人を招いて開かれた対話集会でも怒りの声が相次いだ。PTA会長の女性は「保護者が願うことはただ一つ、住宅地に近接する世界一危険な基地をなくしてほしい」。首相は「北東アジアを考えたときに日米の安全保障を考えざるを得ない。沖縄の皆さんに負担をお願いせざるを得ないのが今の政府の考え方。できる限り負担が過重にならないよう努力したい」と低姿勢を貫いた。

 また普天間第二小学校教諭の下地律子さんは「騒音をどうにかして」など6年生10人が書いた手紙を直接手渡し“直談判”。首相が「ご負担をお願いしなければならないのは本当につらい。皆さんも本当につらいと思うが」と話すと、納得いかない様子の女性が首相に詰め寄り、制止される場面も。住民からは「しっかりしろ」「友愛政治はどこにいった」などとヤジも飛んだ。

 説明会に参加した会社員、宮城靖英さん(45)は「会場にくるまで実は県外移設案があるのではと期待していたが…。絶対に納得がいかない」と話していた。

                   ◇

 ≪政治評論家、森田実さんの話≫

 ■お坊ちゃん的処世術

 「今回の沖縄訪問自体が政治家の行動として非常にナンセンス。自分で繰り返し表明した5月末の決着まで日もないのに、具体的な移設案も示さず『一生懸命やっているけれど、国外、県外移設は難しい』と理解を求めただけ。首相としての自覚があるのかと問いたい。首相の『腹案』とは決着の先延ばしではないか。沖縄の人々や米政府などから『期限を延ばしてもよい』と言ってもらうのを待っている気がする。政治的な高度な戦略ではなく、もめ事を避けようとするお坊ちゃん的な処世術だ」

 ≪ノンフィクション作家の佐野眞一さんの話≫

 ■もはや犯罪行為に近い

 「米軍普天間飛行場の移設について『腹案がある』などと言って、沖縄県民の期待感を高めたのに落胆させたのはもはや犯罪行為に近い。日米同盟の重要案件を、場所探しに矮小(わいしょう)化したのは鳩山首相自身だ。『綸言(りんげん)汗のごとし』(君主の言葉は一度口にしたら取り消せない)という言葉があるが、首相は理解できないと思う。沖縄訪問は『この男に国を任せてよいのか』と国民に強い不安を感じさせたのではないか。政権の機能不全ぶりが表れている」

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最終更新:5月5日7時56分

産経新聞

 

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