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絶滅!ヨウスコウカワイルカ

2006/12/15 02:15

 

13日の中国南方都市報にヨウスコウカワイルカ、絶滅との記事が出ています。何でも、哺乳類・クジラ目では人類史上始まって以来の絶滅だそうです。
 





http://www.nanfangdaily.com.cn/southnews/pdf/ds/20061213/A17.pdf

 

記事によると、先月16日から38日間にわたって中国、アメリカイギリスドイツスイス、日本の6カ国合同調査団合計25名によって、長江(揚子江)の宣昌から上海までの3336キロの流域で「ヨウスコウカワイルカ」の生息調査を行ったが、今回は遂に一頭も発見できず、調査団は絶滅宣言をしたとのことです。

googleで検索してみたら、

中国の発展を先頭で牽引する街・上海にABCが支局を設置したのは、1992年春でした。支局開設前を含め、これまで15年間、中国各地のニュースや現状を報道し続けてきた、初代上海支局長の安田卓生による中国取材記です。

との下記コラムが見つかりましたので、興味深いので全文転載します(太字は筆者)。



絶滅の危機に瀕するヨウスコウカワイルカ ~湖北省1992年~ 

イルカは海にいる生き物と思われがちだが、アジアや南米の大河には、川に生きるイルカがいる。中国でも揚子江に「ヨウスコウカワイルカ」が生息している。しかし、そのカワイルカが今、絶滅の危機に瀕している。そんなヨウスコウカワイルカの保護活動を取材するため、1992年8月、湖北省武漢市を訪ねた。

 武漢市にある中国科学院水生生物研究所では一頭のカワイルカが飼育されていた。円形の深いプールを上から見下ろすと、カワイルカが一頭、プールの壁面に沿って、泳ぎ回っていた。時折、水面から出す顔をまさにイルカそのものだ。愛称を「チーチー」と名づけられたこのオスのカワイルカは1980年に捕獲され、生態調査のため飼育されてきた。カワイルカは人工飼育に馴れにくく、ほかにも2頭が飼育されていたが、すぐに死んでしまったという。

 ヨウスコウカワイルカは体長2メートルあまり、体重200キロ前後。中国名で「白鰭豚」と呼ばれ、その名の通り、白っぽい色をしているのが特徴だ。3000万年前から揚子江に生息してきたと言われる。 


      「くちばしが長いのが特徴」     「チーチーは1980年に捕獲された」

揚子江にはカワイルカの天敵はいない。にもかかわらず、1986年の調査で300頭が確認されたカワイルカは、92年当時は推定200頭に減少した。50年前は四川省近くの上流まで広い範囲にいたらしいが、現在の生息地は中流のごく一部に限られる。中国ではジャイアントパンダと同様に「第1級保護動物」に指定され、レッドデータブックにも記載されている。

 生息数が激減した原因はやはり環境汚染だ。経済発展とともに揚子江沿岸でも工場が増え、船の往来も盛んになった。船のスクリューに巻き込まれて傷つけられる例も多いという。沿岸の人々の生活が向上するにつれて、ゴミも増え、川が汚染された。また、拝金主義のもと、魚が乱獲され、カワイルカの餌が減少。さらに追い討ちをかけるように、上流では巨大な三峡ダムが建設され、魚の減少に拍車をかけたと言われている。 



         「湖北省武漢市」             「武漢市内の揚子江」    

 カワイルカの研究を続けている、中国科学院水生生物研究所の劉仁俊さんはこう話していた。「ヨウスコウカワイルカは世界の財産です。世界中の人々の力でなんとか保護したい。」

 劉さんの説明によると、カワイルカは2年に一度しか出産しない上、一度に一頭しか生まれない。成熟年齢は8歳で、成獣は全体の3割。つまり、生息数が200頭とすると、成獣は60頭で、雌雄のペアは30組。交尾の確率などを考慮すると、1年に8頭程度しか増えないと言う。ということは、それ以上のペースで減少が続けば、やがて絶滅する事になる。

 環境汚染が進み、個体数が減ると、自然下での自力再生は不可能だ。そのため、武漢市の200キロ上流の天鵝洲というところには、長さ21キロの保護区が設定された。保護区外で捕獲したカワイルカを保護区に移す試みも始まっていた。

 私が訪れた時、武漢市の水生生物研究所では日本の技術援助による新しい水槽施設の建設工事が進んでいた。ろ過装置を備えた飼育用プールの建設を香川県の水槽会社・日プラ海洋設備が担当し、イルカの飼育については神奈川県の江ノ島水族館が技術指導をしていた。その年(1992年)の11月に完成した新しい飼育プールでは人工繁殖も計画されていた。 



      「水生生物研究所(武漢市)」         「建設中の飼育プール」


 ところが、メスのカワイルカを迎えることなく、「チーチー」は2002年に死んでしまった。推定年齢25歳。人間なら70歳を超えていて、死因は老衰だったという。飼育されているヨウスコウカワイルカは一頭もいなくなってしまった。

 1992年当時の推定生息数は200頭。それが現在(2004年)は100頭以下になっているという。生息数の減少に歯止めはかかっていない。このままではヨウスコウカワイルカは今後10年以内に、絶滅してしまうだろう。 

(2004年8月13日)

http://webnews.asahi.co.jp/column/c-10.html


10年どころか、わずか2年で絶滅してしまうとは、中国の経済発展、環境破壊のスピードには驚かされます。もっと驚くのは、中国のこんな施設にまで日本が技術援助していたことです。いったい、この施設にいくらつぎ込んだのでしょう。

水墨画の風景などと言われて有名な長江(揚子江)の「三峡下り」も、観光客を一番驚かせるのは、その景観ではなく、飲み干したビール瓶をそのまま川に捨てる中国人だとか。まあ、三峡ダムが完成すればそれも見納めですが…。

いずれにしても、地球にきびしい国ですね。


◆関連エントリ: 
地球にきびしい国、中国の言い訳

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コメント(4)

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2006/12/15 05:54

Commented by hirotami さん

>中国の環境破壊のスピードには驚かされます。
これがまず第一に私も、そして国際協力援助は無かったのか?
あったとしても政府が蹴ったか?環境破壊の実態が世界に知れ渡る。その改善をしようとしない。絶滅するのを待っていた。
げすの勘ぐりを起こさせる共産党政府でした。

 
 

2006/12/15 11:08

Commented by sakuratou さん

hirotamiさん。いつもありがとうございます。
同じく、絶滅の危機にあるパンダも中共にとっては政治の道具。
毛沢東など、「人民が1億人死のうが核兵器を作る!」と宣言してましたし・・・。

 
 

2006/12/15 17:24

Commented by 丸山光三 さん

こういうシナを放置すればいずれ絶滅するのは全人類ではないでしょうか、ああやだやだ。

 
 

2006/12/15 18:09

Commented by sakuratou さん

マルコおいちゃんさま。
彼らには動物愛護の前に、人類愛護を叫ばなくてはなりませんね。

 
 
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