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黄色は古代から天上の色〈ネット写真〉

黄色は皇帝の色?黄色と中国伝統文化はどういう関係?

文・戴東尼

 【大紀元日本3月16日】中国の最初の皇帝が「黄帝」であり、華夏(ファーシャ、中国の古称)文化の発祥地が「黄土高原」であり、中華民族のゆりかごの地が「黄河」であり、炎帝と黄帝(中華民族の先祖と言われる2人の帝王)の子孫の肌色は「黄色」であるなどなど、黄色の色は古くから中国伝統文化とは切り離せない縁がある。約5千年前の黄帝の時代に中国では単色を好んだが、のち、春秋末期時代の思想家兼教育家・孔子は「周礼」を守るために、黒・赤・青・白・黄を「正色」・「上色」に定め、五色を「仁・義・禮・智・信」に結合させ、礼儀作法に取り入れた。

 黄帝の後、秦と漢の時代になると、帝王たちは「陰陽五行」学説に基づき、水・火・木・金・土の順序に黒・赤・青・白・黄の五色に合わせ、それぞれの時代を代表する色彩を選んだ。中国の古人は、五行は自然万物を生成するための五種類の元素であり、全ての事柄の源がここに由来すると考えられていた。色彩も例外ではなく、天道の自然運行の五行法則と切り離すことのできない関係を持っている。古人はさらに、春夏秋冬の自然変化および五行学説に基づいて服飾の色の選択にも用いた。

 漢の時代の皇帝は、秦の時代を受け継ぎ、「土徳」に当たるべきだと考えたそうだ。五行学説の中では、土は水に勝るとしており、黄色であることから、衣服の色も黄色を重んじていた。当時、星の明暗・位置を観察する「星像学者」は五行学説を星占い術の五方観念と結び合わせて、黄色が土で中央を象徴し、青が木で東を象徴し、赤が火で南を象徴し、白が金で西を象徴し、黒が水で北を象徴することに定めた。また、黄色が五行の中央に位置することから、中和の色でもあり、諸色の最上、即ち最も尊い色として、天子の服の色に定めた。

 当時、執政の大臣は「金印紫綬(ジンイン・ツーソゥ)」、即ち、黄金色の印章また紫色の印綬であるが、これらを所有する者は皇帝の次に、万人の上にいる最高権力を象徴するもので、黄色および紫色が中国伝統文化の中で重要な位置を示すこととして定めたのがこの時だった。

 さらに唐代になると、黄色は中国伝統文化芸術の各方面に用いられた。中国3大石窟の1つである敦煌〈とんこう〉石窟の中に、1万以上の重要な壁画が保存されており、面積は5万平米に達している。異なる時期の壁画に使われる色彩も異なり、北魏時代では赤褐色に青と黒の配色がメインだったが、唐代からは黄色が多く用いられ、明るく煌びやかであるため、敦煌壁画の中で最も輝しい1ページを飾った。

 また、宋代の太祖である趙匡胤(ツァウ・クァンイン)が「陳橋兵変(チェンチァウ・ビンビェン、陳橋の乱)」の時に、諸将軍が趙匡胤に黄色の長衣(ながぎぬ、トーガ)を羽織らせて、一国の君として擁立したことを示したことから、当時、民衆の黄色への重視が伺える。

 明・清の時代になると、北京が首府になって、黄色はなお皇室専用の色となり、民衆が黄色の服を身につけることは禁止された。当時の皇帝は身につける服が「黄袍(ファンパウ)」といい、乗る車が「黄屋(ファンウー)」で、通過する道が「黄道(ファンダウ)」、巡回するときに「黄旗(ファンチー)」を使用し、黄色の織物で官印を包むなど、黄色が権力の象徴を示すものであった。また、皇族のみ、赤い塀と黄色の瓦の建物に生活することができ、民衆は青いレンガと青い瓦の建物にしか生活してはならなかった。北京の故宮を見ても建物の全てが黄色の瑠璃瓦でできている。

 実際、黄色は元々仏教に携わる者や僧侶が最もよく使用する色である。仏体は「金身(ジンシェン)」と呼ばれ、寺院で使用される黄色が「金刹(ジンチャ)」といい、僧侶の袈裟など装飾品の色も黄色が用いられる。仏像は黄金色に仕上げられており、黄色は古代から天上の色と見なされているからだ。中国伝統文化の中の「天」は高い次元の神々を代表し、皇帝が天下を得、天下を治めることができるのは、「天」から権力を授かったからである。

 故に、皇帝は一国の王として君臨するが「天子」に過ぎないのであり、皇帝の上には「天」がおり、「天」が皇帝を制約しているのだ。即ち、皇帝は道徳に制約されており、「王権」より「神権」が上にあることを意味するのである。皇帝は天意に従い人事を治め、即ち、「天に従う者は栄え、天に逆らう者は滅ぶ」の道理に沿い国を治める者が賢い君主であるということだ。黄色は歴代の帝王に用いられ、神から授かった権力を象徴する神聖且つ尊敬すべき色であり、中国の伝統文化は神から伝わった文化であることを歴史から知ることができる。

(編集翻訳・豊山)


 (10/03/16 05:00)  





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