《最終月経は○月○日より○日間》《悪阻強く、何度も嘔吐》
「一二産科二二産科」というハンドルネームで、カルテの内容を「医師専用サイト」に流したのはあなたですか?
問いかけた瞬間、男性医師(62)の目が泳いだ。
4月初旬、奈良県の民間病院の診察室。
短い沈黙の後、医師は流出にかかわったと認めた。
男性医師が流したカルテは、2006年8月に亡くなった高崎実香さん(当時32)のものだった。
同県大淀町立大淀病院で出産中に脳出血が起きた。
大阪の病院に搬送されるまで約6時間がかかった。8日後に死亡した。
2カ月後、毎日新聞が朝刊1面で報じた。
見出しで、6時間を"放置"と記した。
主治医はネット上で《脳の検査もしなかったバカ医者》と批判された。
「自宅にも帰れない」。男性医師は大学で同期の主治医がそうごぼすのを聞いた。
カルテを入手し、報道から9日後に医療関係者のみが閲覧できるサイトに妊娠の経過と当日の処置を記した。
「ネット上にあふれる主治医への非難に、処置は適切だったとデータで反論するためだった」
「一二産科二二産科」は、実香さんの親族の元看護師が情報をマスコミに流し、騒動が仕組まれた可能性がある、
とも記した。
「患者もマスコミも、怒りを医師個人に向けていた。それが間違いだ」
■ ■
遺族とマスコミが結託して医師を陥れた。
こんな構図が、医療関係者らのブログに転載され、広まった。
07年3月、大淀病院は「産科」を休止した。同県中南部で数少ない分娩施設の一つだった。
《奈良だけでなく、日本中の産科医療が崩壊する》。
医師らの批判の矛先が、亡くなった実香さん本人や遺族、マスコミに向かった。
ネット上の書き込みには、実香さんが《妊婦健診を受けていなかった》《妊娠中毒症だった》など、明らかなうそも
混ざっていた。
この問題を追及していた毎日の女性記者も実名を挙げられ、《医師の敵》《転勤して大阪で出産予定》などと
書かれた。
カルテを流出させた男性医師は、奈良県警から事情聴取されたことを受け、08年7月、遺族を訪ね、謝罪した。
「人の心を痛めたのなら、道義的に申し訳ない」
だが今もこう言う。
「最終月経が公開されたくない個人情報と言われても、医者はピンと来ない」
「このハンドルネームで書き込んだのは、自分だけではない」
■ ■
3月1日、主治医に過失があったとして遺族側が損害賠償を求めた民事訴訟で、大阪地裁は請求を棄却した。
判決は「最善の策を取っていても助かる可能性は低かった」と結論づけた。
同時に「脳に対する検査や治療がされることなく搬送先が決まるのを待っていた原告の気持ち
は十二分に
理解できる」と遺族に配慮して言い添えた。
実香さんの夫、晋輔さん(28)は法廷で思いを述べた。
「虚偽の情報やそれに踊らされた人々のせいで、もう生きたくないと何度も思いました」
「さらなる苦しみを今も味わっています」
医師によるネット上の人権侵害は相次ぐ。
日本医師会の生命倫理懇談会は今年、「直接診療に関わっていない患者の診療記録を本人の許可なく
閲覧する行為は、それ自体がプライバシー侵害である」
「医師はプロフェッションの一員として、可能な限り発信を実名で行うことが望ましい」と警告した。
ネット上ではすぐに、《医師を守らない日本医師会》と反論が噴き出した。
*2010.5.1朝日新聞朝刊
「仕掛け人」と政党接近/朝日新聞「扇動社会」(5)
書き込み あの子かも/朝日新聞「扇動社会」(4)
意見も誤解も一斉拡散/朝日新聞「扇動社会」(2)
「島を占領」メール流布 外国人参政権に反対殺到/朝日新聞「扇動社会」(1)
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「一二産科二二産科」というハンドルネームで、カルテの内容を「医師専用サイト」に流したのはあなたですか?
問いかけた瞬間、男性医師(62)の目が泳いだ。
4月初旬、奈良県の民間病院の診察室。
短い沈黙の後、医師は流出にかかわったと認めた。
男性医師が流したカルテは、2006年8月に亡くなった高崎実香さん(当時32)のものだった。
同県大淀町立大淀病院で出産中に脳出血が起きた。
大阪の病院に搬送されるまで約6時間がかかった。8日後に死亡した。
2カ月後、毎日新聞が朝刊1面で報じた。
見出しで、6時間を"放置"と記した。
主治医はネット上で《脳の検査もしなかったバカ医者》と批判された。
「自宅にも帰れない」。男性医師は大学で同期の主治医がそうごぼすのを聞いた。
カルテを入手し、報道から9日後に医療関係者のみが閲覧できるサイトに妊娠の経過と当日の処置を記した。
「ネット上にあふれる主治医への非難に、処置は適切だったとデータで反論するためだった」
「一二産科二二産科」は、実香さんの親族の元看護師が情報をマスコミに流し、騒動が仕組まれた可能性がある、
とも記した。
「患者もマスコミも、怒りを医師個人に向けていた。それが間違いだ」
■ ■
遺族とマスコミが結託して医師を陥れた。
こんな構図が、医療関係者らのブログに転載され、広まった。
07年3月、大淀病院は「産科」を休止した。同県中南部で数少ない分娩施設の一つだった。
《奈良だけでなく、日本中の産科医療が崩壊する》。
医師らの批判の矛先が、亡くなった実香さん本人や遺族、マスコミに向かった。
ネット上の書き込みには、実香さんが《妊婦健診を受けていなかった》《妊娠中毒症だった》など、明らかなうそも
混ざっていた。
この問題を追及していた毎日の女性記者も実名を挙げられ、《医師の敵》《転勤して大阪で出産予定》などと
書かれた。
カルテを流出させた男性医師は、奈良県警から事情聴取されたことを受け、08年7月、遺族を訪ね、謝罪した。
「人の心を痛めたのなら、道義的に申し訳ない」
だが今もこう言う。
「最終月経が公開されたくない個人情報と言われても、医者はピンと来ない」
「このハンドルネームで書き込んだのは、自分だけではない」
■ ■
3月1日、主治医に過失があったとして遺族側が損害賠償を求めた民事訴訟で、大阪地裁は請求を棄却した。
判決は「最善の策を取っていても助かる可能性は低かった」と結論づけた。
同時に「脳に対する検査や治療がされることなく搬送先が決まるのを待っていた原告の気持ち
は十二分に
理解できる」と遺族に配慮して言い添えた。
実香さんの夫、晋輔さん(28)は法廷で思いを述べた。
「虚偽の情報やそれに踊らされた人々のせいで、もう生きたくないと何度も思いました」
「さらなる苦しみを今も味わっています」
医師によるネット上の人権侵害は相次ぐ。
日本医師会の生命倫理懇談会は今年、「直接診療に関わっていない患者の診療記録を本人の許可なく
閲覧する行為は、それ自体がプライバシー侵害である」
「医師はプロフェッションの一員として、可能な限り発信を実名で行うことが望ましい」と警告した。
ネット上ではすぐに、《医師を守らない日本医師会》と反論が噴き出した。
*2010.5.1朝日新聞朝刊
「仕掛け人」と政党接近/朝日新聞「扇動社会」(5)
書き込み あの子かも/朝日新聞「扇動社会」(4)
意見も誤解も一斉拡散/朝日新聞「扇動社会」(2)
「島を占領」メール流布 外国人参政権に反対殺到/朝日新聞「扇動社会」(1)
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【報道の手法が公正かどうか】つまり、患者・「被害者」サイドばかりでなく、医師・「加害者」サイドの意見もじゅうぶんに普段から報道しており、現に問題のその問題でも報道したかどうか、
の点が報道機関側に問われるのでしょうね。小沢資金問題にしろ、米軍基地移設問題にしろ、同根の問題は多いとおもいます。
そして、医療被害問題に関しては、医師は、報道機関側をあまり信用してないばかりか、敵視している、ということなのでしょう。なぜそうなのか、を自問する姿勢が、報道機関側に欲しいとおもいます。
日本医師会生命倫理懇談会の、医師は、「可能な限り発信を実名で行うことが望ましい」とのルールは重いですが、それは基本的には、医師本来の業務と、それに密接に関連した業務(健康相談など)に関して適用されるべきもので、医師のおこなうそれ以外の言論活動にまで厳密に適用されるべきかは、疑問があります。
むしろ、会社に守られながらリスクの低い言論活動をしている新聞社員こそが、すべて実名で報道すべきではないでしょうか。ネットの匿名がウンヌンされますが、匿名の元祖は、新聞記事です。
多少行間を読みすぎなのかもしれませんが、こういう記事を読むと、どうしても私は、新聞社の一種の驕りにおもいを致してしまうのですが、最近では、新聞社の中の人がそこに気づいていないらしいことに、滑稽さを感じるようになりました。
新聞を買ってまでは読まなくなって久しいのですが、そうなってみると、上のように新聞社の中の人が新聞に発表した記事と、このブログも含めてネット上などで個人が発信した記事や、そのほか書物や雑誌等や噂話までもふくめて見聞きするすべての情報とのあいだに、とくに本質的な差を感じなくなっています。すべてが一直線上にならび、情報としての優劣があるだけです。
>この件につき回答を強く求めます。
なんて笑えるね。
2010-05-02 10:24:35
新聞記事等をそのままブログに転載することは著作権法違反です。
マスコミの手先は死ね