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奨学金の返済額、10年は半額OK 学生支援機構が新制度

2010年5月3日

 大学生の約3割に奨学金を貸している独立行政法人「日本学生支援機構」が、経済的な理由で返還が難しくなった人に対して、10年間の月々の返済額を2分の1にできる新制度を年内に創設することを決めた。これまで失業や低賃金などで返済に困った場合、期限を先送りする猶予制度しかなかったが、少額でも返せるようになる。

 対象になるのは、収入の目安が300万円以下で、経済的な理由で返済が難しい人。ただし、延滞している人には適用されない。機構には、これまで失業や経済的に困窮した人には、1年ごとに最長5年間、返済の猶予制度があった。ただ、「返済額全額は難しいが、少しずつなら返せる」という声も多かった。

 機構は2004年に設立され、無利息の「第1種」と利息付きの「第2種」の奨学金を貸している。08年度の新規貸与者は40万人で、第1種は11万人、第2種は29万人。大学生の3人に1人が利用しているという。奨学金は卒業後に返還するのが原則だが、返還状況は芳しくない。08年度は3558億円が返還予定だったが、未返還は2割の723億円にのぼる。3カ月以上滞っている人も年々増えて20万人になった。

 機構が08年暮れに行った延滞に関する調査では、6カ月以上延滞している人(回答6517人、回答率6%)の場合、年収300万円未満が85%を占めていた。職業は、アルバイト36%、正社員31%、無職17%、主婦9%の順だった。延滞の理由(二つまで回答)は「本人の低所得」40%、「親の経済困難」36%など、経済的な理由が並んだ。

 機構は「返還金は次世代の奨学金の原資になる。返還意欲のある人には少しずつでも返してほしい」と利用を呼びかける。

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