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日本国憲法24条改正/悪問題
updated 2005/05/28
日本国憲法第24条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。 |
<第24条> 『家族』めぐる意見多様化 (東京/中日
2005/03/05朝刊)
結婚や家庭のあり方を定めた二四条。草案を書いたのは、オーストリア生まれで米国在住の女性ベアテ・シロタ・ゴードンさんだ。子どものころに約十年間を日本で過ごしたゴードンさんは、二十二歳になった一九四五年、連合国軍総司令部(GHQ)民政局のスタッフとして再来日した。
親が娘の嫁ぎ先を決めたり、長男しか遺産が相続されないことなど、日本の慣習をよく知っていたゴードンさんは、新しい憲法で日本の女性の地位を向上させようと尽力した。草案段階では、今の条文よりも、さらに女性を守ろうという意識が徹底していて、「親の強制でなく」「男性の支配ではなく」という表現もあった。
その二四条は今、「個人主義が強すぎる」と、批判にさらされている。
衆院憲法調査会では、自民党から「家庭の規定を設けるべきだ」(森岡正宏氏)などという主張が出た。
民主党の鳩山由紀夫元代表の試案も、「家族は社会の基礎的単位として尊重されなければならない」と明記した。ただ、同じ民主党内でも「個人主義は利己主義ではない。否定的に見る必要はない」(山花郁夫氏)と、今の条文を支持する声も根強い。
この論議をゴードンさんはどう受け止めているだろうか。二〇〇〇年、参院憲法調査会に参考人として招かれた時、「いい憲法なら守るべきではないか」と訴えた。「二四条の母」らしいひと言だ。
ちなみに、二四条に基づいた「(結婚時に)夫または妻の氏を称する」との民法規定に関し、国会の憲法調査会では夫婦別姓をめぐる民法改正問題も議論されている。 (原田悟)
男女平等と個人の尊厳を憲法から消させない!
映画「ベアテの贈りもの」 Movie "The
Gift from Beate"
小冊子 (PDF 12ページ)
goo映画
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福島 みずほ編 |
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1800円 |
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四六判 / 縦組 / 並製 / カバー |
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352頁 |
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2005.05 |
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4-7503-2110-9 |
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家族の中の個人の尊厳と男女平等をうたった憲法24条が、改悪の危機にある。学者・評論家・弁護士・NGO関係者の書き下ろしと、思いを綴った37本の公募原稿が、女性や子どもなどのマイノリティを支え続けた24条の意義と役割を証明する。 |
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明石書店ウェブサイトへ
中里見博「憲法24条+9条 なぜ男女平等がねらわれるのか」(かもがわブックレット151)(かもがわ出版2005年)より
ニッポン人脈記「女が働く」 (朝日: 2005/04/25〜
夕刊)
女性解放へ 今も熱く 憲法記念日 24条起草ベアテさん 意義訴え名古屋で講演 「押しつけ論」に反論
(朝日・名古屋版 2005/05/04朝刊)
「還暦」を迎えた戦後日本で、憲法が大きな節目を迎えている。国会の憲法調査会は、5年間の審議の末、最終報告書をまとめた。私たちの憲法はどうあるべきなのか。憲法記念日の3日、名古屋では、憲法草案にかかわった当事者の女性が自ら、改めて日本国憲法の魅力や意義を訴えた。
(原田朱美)
講演後、「ベアテさんを語る会」のメンバーに
サインするベアテさん(中央)=名古屋市で |
「日本の憲法は米国より素晴らしい。自分のものよりいいものを押しつけたとは言わないでしょう」。名古屋市内で3日あった「市民のつどい」。日本国憲法の草案作りにかかわった米国人、ベアテ・シロタ・ゴードンさん(81)は、「自主憲法」を求める動きに反論した。
男女平等をうたう24条の草案を書いた憲法の「生き証人」。今年も4月17日から全国11カ所で講演を続けてきた。憲法記念日当日、交流を続けてきた支援者が待つ名古屋で、今回の来日最後のメッセージを送った。
男性の三歩後ろ
ベアテさんは、父の仕事の関係で5〜15歳を日本で過ごした。いったん日本を離れ、米国の大学に進学したが、戦後に連合国軍総司令部(GHQ)のスタッフとして再来日し、憲法の女性の権利条項を担当した。
講演でベアテさんは、草案作りに奔走した日々を日本語で語った。「配偶者の選択から妊婦の保護まで、いろんな権利を具体的に含めたかったんです」。食事の席では給仕に徹して会話に参加しない日本女性。子ども時代に見た「男性の三歩後ろを歩く」女性たちを解放したかったという。
条文案をGHQ幹部に出した時、妊婦の保護など社会福祉の部分については民法に書くべきだと反対されたという。「官僚的な日本男性は絶対にこんな条文を民法に入れない」と泣きながら訴えたが、実らなかった。「(両性の本質的平等という)基本的な権利が入ったことで受け入れなければなりませんでした」
ベアテさんは約10年前から度々来日し、全国で講演を続けている。最近の日本女性について、「ずいぶん地位が上がりましたね。顔や動き方に自信が見えます」と目を細める。
スカーフ1万枚
講演後の控室では、「ベアテさんを語る会」のメンバーが駆け寄ってきた。会員は東海地方を中心にした教師、議員、弁護士ら約20人。ベアテさんの功績を広めるために映画を作ろうと活動を進めている。その資金集めのため、メンバーたちは24条の条文を6カ国語で書き込んだスカーフを販売中だ。中央にはベアテさんのサイン。98年の同会立ち上げ以来、約1万枚を売った。ベアテさんの言葉は、国内だけでなく、米国、フランス、インドなど外国の女性の胸元も飾る。
活動の原動力は、ベアテさんの今も変わらぬ女性解放への熱意だ。02年には、ベアテさんに背中を押される格好で、アフガニスタンの女子戦争孤児を支援する女性とも交流した。
衆参両院の憲法調査会は先月、最終報告書をまとめた。憲法をめぐる論議が一層熱を帯びてくるのは間違いない。だからこそ、同会は今年、ベアテさんの来日講演を増やしたいと考えている。
「また、会いましょうね」。ベアテさんは会員たちの手を固く握りしめ、会場を後にした。
憲法24条 家庭における個人の尊厳と男女平等を掲げ、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有する」などと規定している。相続や離婚をめぐり法を定める際も、両者が平等になるよう求めている。国会の憲法論議の中では、家庭や共同体を尊重する規定を設ける意見も出ている。 |
THE ZEIT GIST
Turning back clock on gender equality
Proposed LDP changes to the Constitution
could limit individual freedom and weaken
women's rights
By SATOKO KOGURE (Japan Times 2005/05/03)
THE ZEIT GIST
Japan's gender debate
Community Page readers respond to Satoko
Kogure's article on gender roles in Japan
(Japan Times 2005/05/10)
MEDIA MIX
'The Only Woman in the Room' who helped to
reshape Japan
By PHILIP BRASOR (Japan Times 2005/05/01)
In Japan, Women's Constitutional Rights in
Peril
By Catherine Makino (Women's eNews 2005/05/01)
憲法総点検 5年の歩み(中) 人権めぐる論点拡散
(朝日 2005/04/30朝刊)より
環境権など「新しい人権」を憲法に書くべきだ。家庭を保護する「責務」も盛り込もう―。基本的人権をめぐる衆参両院の憲法調査会の議論は、実に多岐なテーマにわたった。メディアへのアクセス権という、表現の自由との兼ね合いで論議を呼びそうな問題も出た。しかし、総じて論点は拡散し、議論を深めるまでには至らなかった。
(豊秀一)
政教分離・家族規定で対立
(中略)
■「価値観押しつけ」
家族,家庭や共同体の尊重のような規定を盛り込むかどうかをめぐっても、対立が際立った。
しばしばやり玉に挙がったのが、「個人の尊厳と両性の本質的平等」を定めた憲法24条だ。
「この規定が、行き過ぎた個人主義という風潮を生んでおり、憲法に家族のきずなの重要性を加える必要がある」(自民党の古屋圭司氏)
こうした発想が、家族の規定を憲法に書き込むべしとする議員の多くに共通して見られた。
2月衆院調査会では、こんなやりとりも。
枝野幸男氏(民主党)「家庭崩壊とか地域崩壊、モラルの低下など(の指摘)が自民党の皆さんから出てくることに、ものすごく違和感を感じている。家庭的価値の維持や地域社会をよりよくすることなどは、立法、行政の範囲の中で自由にできる」
中谷元氏(自民党)「子供を育てる環境もおかしくなり、人間自身の考え方もおかしくなってしまう。今の時期だからこそ、家庭とか家族を大切にする仕組み、精神をうたう必要がある」
自民党新憲法起草小委員会の要綱も、家庭などを保護する「責務」を憲法に明記せよ、としている。
「国民は夫婦の協力と責任により、自らの家庭を良好に維持しなければならない」「国民は相互の協力と参加により、地域社会の秩序を良好に維持しなければならない」といった具合だ。
こうした主張に対しては、価値観の押しつけだという批判のほか、「そもそも親孝行が減ったのを憲法のせいにするほど、憲法は人間の感情生活に影響を与えていない」(安念潤司・成蹊大教授)と皮肉をきかせた議論もあった。
竹橋シネコン:憲法を書いた女性と男女平等を考えよう 『ベアテの贈りもの』 藤原智子監督に聞く
(毎日 2005/04/29)
(写真)藤原智子監督
日本国憲法の草案に加わって男女平等と人権を書き記し、戦後日本女性の地位向上と権利の起点となったベアテ・シロタ・ゴードンさん。この女性の家族の劇的な人生と、戦後日本の女性史を、ベアテさんの父である世界的ピアニスト、レオ・シロタのピアノ演奏をバックに映像で綴った映画『ベアテの贈りもの』が4月30日から、東京・神保町の岩波ホールで公開される。戦後60年、憲法論議が活発化しつつある今、この映画が公開される意味はいっそう大きくなっている。藤原智子監督に製作の経緯やこの映画のメッセージなどを聞いた。【鈴木 隆】
−−企画のきっかけは。
02年の暮れのクリスマスパーティーで赤松良子さん(元労働相)や、高野悦子さん(岩波ホール総支配人)らの間で、男女平等の憲法24条を書いたべアテさんの業績を映画にしようという話になったそうです。その時、監督は藤原がいいということになって、暮れに、赤松さんから電話があった。
ただ、今から当時の人の証言を集めるのは、亡くなっている人も多いので無理。赤松さんや高野さんと相談して、ベアテさんが投げてくれた憲法24条というボールを、日本女性が戦後どう受け止めたか、ベアテさんが盛り込みたかったが削除された部分はどう法整備されたかに焦点を絞って戦後の女性史にしようと、映画の輪郭が出来た。
−−藤原監督自身はベアテさんを知っていた。
「1945年のクリスマス」というベアテさんの本は読んでいたし、ベアテさんの父で世界的に高名なピアニストであるレオ・シロタの日本の音楽への貢献は映画にしてもいいと思っていた。ですから、ベアテさんとレオ・シロタについては、調査もしていた。たまたま、岩手県の野村胡堂・あらえびす博物館でレコードコンサートをやっていると新聞に紹介されていたので、電話をした。そうしたら、レオ・シロタが日本に来るきっかけになった曲「ペトルーシュカ」のレコードが見つかった。ここでレコードコンサートをして、ベアテさんが講演するところを撮影しようと考えていた。
実は、個人的なことですが、レオ・シロタさんの弟子で、昨年亡くなったピアニストの園田高弘さんの夫人が私の友人。園田さんは、レオ・シロタの話もよくしていた。ベアテさんも小さいときの園田さんを知っていた。以前にアメリカに行った時に、園田夫人から、ジャパンソサエティにいるベアテさんに園田さんのレコードを渡してくれるよう頼まれたんです。当時は、憲法との関わりはよく知りませんでしたが、私はベアテさんに会っているんですね。
−−この映画は、ドラマチックなノンフィクションを観ているように展開するが。
レオ・シロタさんは日本が大好きで、ベアテさんも5歳から15歳まで戦前の日本にいました。その後、両親は日本で、ベアテさんは大学もあって米国にいて、日米で別に暮らしていた。戦後、ベアテさんは両親に会いたくて、軍属の資格を得て1945年暮れに日本にきて両親と再会した。その時、ベアテさんが日本語だけでなく6カ国語に通じていたこともあって、GHQの憲法の草案作りに起用され、女性問題を担当した。まさか、自分が日本の憲法にかかわるとは思っていなかったんですね。
つまり、ベアテさんがただ単にGHQの職員で条文を書いたわけではないんです。そこに、必然性があったんです。日本の女性の戦前の状況を目の当たりにしていたわけで。それが反映されるわけです。そのへんのことをつないでいかないと、この映画は面白くない。ただ戦後の女性史だけでは、非常に硬くなってしまう。作る以上は、レオ・シロタの来日から、しかも、レオ・シロタはユダヤ人ですからユダヤ人排斥と深く関わっている。20世紀の歴史とも関わってくる。こうした視点からとらえていきたかった。
−−見やすくするために構成にも配慮したようですね。
映画の導入部も、ベアテさんが野村胡堂・あらえびす記念館に電車行くところから始まり、そこで父親のレコードに会い、講演を始める。コンサートが始まり、ベアテさんの思いは父レオ・シロタさんが活躍したウィーンに飛ぶ。演奏旅行中にハルビンで山田耕筰に誘われ日本を訪れ、再度日本を訪問して、結果的に17年間滞在するんですが、写真がたくさん残っていたので映画の中でも一部使いました。
今思えば、私は女性問題に馬車馬のように突っ込んでいたわけでないので、戦後女性史というものに客観的に接することができたのかもしれません。映画を作る側としては、構成とか見どころを考えることはも必要だと思うんです。
−−その後、完成までに1年以上かかっていますが。
企画や構想はできたんですが、資金的なめどはなかなかたたなかった。ところが、03年11月の東京国際映画祭の女性映画祭のパーティーで、赤松さんの後輩の役人で今は厚生労働省を辞めた方なんですが、赤松さんが半ば冗談で「退職金を出さないか」と聞いたら、「(大金を)出します」と。そのあと、私も一緒だったんですが、役人臭が全くなくていい雰囲気の人だと思った。
この資金提供をきっかけに、募金を始めたら、役人のOBや企業関係者、女性運動の論客などから協力をいただいて製作費が集まった。大半が女性でした。
−−後半の戦後女性史の部分はとてもわかりやすく映像で表現されているが。
わたし自身は女性問題のエキスパートではない。ベアテさんが残した憲法24条と14条をどう具体的に自分たちのものにしていったか、証言で理解してもらおうとしたつもり。戦後女性史の本はたくさん出ているが、映画として体系的にまとめたものは初めてではないか。その人の顔を見て、声を聞くことは、情報量は本より少ないが、入口としてはいい方法だ。すでに、教育映画的ではない、という評価もある。資金のめどがついて本格的に撮影を始めたのは04年の春からで、その年の女性映画祭で上映したいということで、半年で完成させた。
−−男女平等は今、空気のように当たり前になっているが。
憲法問題がこれまでよりも活発に論議されるようになっています。ただ、9条はこれから問題になるとは思っていましたが、少し前まではまさか24条までは手がつかないと思っていた。この映画を企画する段階では、こんな状況になってくるとは考えてもいなかった。それが、自民党の中で24条も問題になっている、と聞いてこれは大変だと考えた。その意味では、この映画はタイムリー。世の中が良くない状況になってきたというのが実感です。
−−この映画の意味がより重要になってきた。
確かに男女平等は、若い人にとっては空気みたいになっているけど、もっと危機感を持ってほしい。無関心ではいけない、危ないと言いたい。日本もどんどん右傾化してきて、右傾化している米国べったりになっている。この映画は多くの人に観てほしいが、こういう時代だからこそ、若い人に特に観てほしいと思っています。
(『ベアテの贈りもの』は4月30日から東京・神保町の岩波ホールでロードショー公開、全国順次公開予定)
<藤原智子監督>
1932年、東京生まれ。東京大学美学・美術史学科卒業後、記録映画会社に入社。監督第1作『オランウータンの知恵』(1960年)以来、90本以上の作品を作る。最近は、『ルイズ
その旅立ち』『伝説の舞姫 崔承喜』『夢は時を越えて−津田梅子が紡いだ絆』など長編を次々と発表し、キネマ旬報文化映画部門ベスト1など数々の賞を受賞。日本を代表するドキュメンタリー映画作家の一人である。
*憲法24条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
公式サイト
http://www.geocities.jp/michocop/
Postwar60: Women's rights drafter urges Japanese
to value Constitution (Kyodo 2005/04/27)
An American woman who helped draft stipulations
on gender equality in Japan's postwar Constitution
has called on Japanese people to fully exercise
the supreme law and spread its philosophy
throughout the world, ahead of the release
on Saturday of a documentary film about her.
"For the sake of world peace, Articles
9 and 24 in the Constitution are extremely
needed. If other countries introduce stipulations
modeled after the Japanese ones, I believe
no war will happen," said Beate Sirota
Gordon in fluent Japanese at a recent meeting
of the Tokyo Bar Association attended by
some 800 people.
The 81-year-old is in Japan for a speaking
tour to mark the opening of the documentary
film "The Gift from Beate," directed
by Tomoko Fujiwara.
The war-renouncing Article 9 of the Japanese
Constitution bans use of force as a means
of settling international disputes, while
Article 24, which Gordon helped draft as
a civilian staff member of the General Headquarters
of the Allied Forces in 1946, lays down "the
essential equality of the sexes."
"I am not a legal expert, but I believe
the Japanese Constitution has not been amended
for nearly 60 years -- the longest in the
world -- because it is a good one,"
Gordon said.
"Japanese women have gained self-confidence
over the 60 years, but they have yet to fully
exercise constitutional rights in their daily
life. They have to fight every day,"
she said. "Japanese women also have
to spread the philosophy of their rights
to other countries, where no rights are bestowed
to women."
Born in 1923 to Russian pianist Leo Sirota
and his wife Augustine in Vienna, Gordon
came to Japan at the age of 5 as her father
was invited by Japanese composer Kosaku Yamada
to teach at a Japanese music academy.
She left for the United States at the age
of 15 to study at a college in California,
but returned to Japan in the winter of 1945
following the end of World War II to be reunited
with her parents.
As a civilian aide to the supreme commander
of the Allied Powers, Gen. Douglas MacArthur,
Gordon was engaged in a secret mission to
draft the Constitution together with about
20 staff members in 1946.
Gordon said she had observed Japanese women
who had "no social rights" in her
childhood. "Women always walked behind
their husbands and did not eat meals together,
nor join conversations."
"They did not have the right to marry
men they like, to get divorced nor to receive
properties," she said.
Gordon said she read constitutions of various
countries in helping draft the Japanese supreme
law and tried to incorporate a wider scope
of women's rights such as protection for
pregnant women and freedom to get divorced
on their own will.
"I thought if I did not include these
rights in the Constitution, bureaucratic
Japanese people would never respect those
ideas when they draft the Civil Code,"
she said. After all, much of her draft was
rejected by senior officials of the Allied
Forces as it was "too detailed,"
but her basic idea was retained in Article
24.
Gordon warned against growing voices to amend
the Constitution by some Japanese who claim
the supreme law was "foisted" on
them by the United States.
"Actually, the Japanese Constitution
contained better contents than U.S. Constitution.
Who would foist a superior thing on others?"
she asked.
Gordon said civil rights movements had occurred
in Japan before the war and the postwar Constitution
incorporated philosophies of progressive
Japanese as well.
The former GHQ staffer said she kept silence
on her role in drafting the Japanese Constitution
until 10 years ago because the mission was
secret and she thought those who aim to amend
the supreme law might question the law's
legitimacy if they found out about her age
at the time of drafting.
"I was 22 years old at that time, but
I believe I was not just a little girl,"
Gordon said, adding she was more mature than
people of the same age in today's world as
she was then able to speak six languages
and worked as an interpreter after finishing
college at age 19.
発信箱:憲法を考える二つの映画=高橋豊 (毎日
2005/04/26朝刊)
初めは、来週の憲法記念日に書こうと思った。けれど、そんな悠長なことは言っておれない。
衆参両院の憲法調査会が報告書を提出した。各紙の社説を見ると、身びいきでなく、毎日新聞の「腰の引けたような文言から緊急な改憲の必要性を訴える力は感じられない」の一文が、最も的確だと思う。だが、例えば読売新聞が「時代は『新憲法』へと動いている」の見出しを付けるなど、評価が大きく違う。
改めて憲法を考えるため、次の二つの映画に、ぜひ触れてほしい。
ジャン・ユンカーマン監督のドキュメンタリー「映画 日本国憲法」が完成、先週末、上映会とシンポジウムが開かれた。公開は先だが、製作のシグロ(03・5343・3101)はDVD・ビデオ、本の発売を行う。
日本の戦後史を描いた名著「敗北を抱きしめて」の米国の歴史学者、ジョン・W・ダワー氏ら世界の知識人12人に日本国憲法、特に第9条(戦争の放棄)についてインタビューした。パリ在住の社会学者、日高六郎氏が「憲法『改正』問題を国内問題にしちゃダメ。国際問題ですから」と指摘するように示唆に富む。
30日から東京・岩波ホールで上映される藤原智子監督「ベアテの贈りもの」は、憲法第24条(男女の平等)を通し戦後の女性史を描き出す。
ベアテ・シロタ・ゴードンさんは、GHQ民政局の一員となり来日、日本国憲法草案委員会のただ一人の女性委員として作成にかかわった。第14条(法の下の平等)と24条は、まさしく「ベアテの贈りもの」なのだ。
映画を通して、9条と24条が持つ深い意義を思う。(専門編集委員)
憲法テーマの映画次々 24条草案者のドキュメンタリーも
(読売 2005/04/25朝刊)
「男女平等」を規定した憲法24条の草案者を描いたドキュメンタリーなど、日本国憲法に関する映画上映会が、相次いで催されている。
憲法24条の起草者として知られるベアテ・シロタ・ゴードンさん(81)と、日本女性の地位向上を描いたドキュメンタリー映画「ベアテの贈りもの」(藤原智子監督、1時間32分)が、30日から東京都千代田区の岩波ホールで公開される。
24条は家族生活での個人の尊厳と両性の平等を定め、戦後の日本女性の地位向上や権利拡大の強い後ろ盾となってきた。ベアテさんは連合国軍総司令部(GHQ)のメンバーとして、憲法に男女平等思想を盛り込むよう提案、24条のほか14条の「法の下の平等」の草案作成にも尽力した。
4月上旬に来日したベアテさんは「男女平等が当たり前になった今だからこそ、この映画を見てその権利の大切さを見直して欲しい」と話している。映画だけでなく、東京都内や名古屋などでベアテさんの講演会も予定されている。講演会の事務局は、「青年劇場」(03・3352・6922)。
23日に東京都内で上映会が開かれた「映画日本国憲法」(ジャン・ユンカーマン監督、78分)は、平和憲法をテーマにしている。歴史学者のジョン・ダワー博士、言語学者のノーム・チョムスキー博士など各国の著名な学者が戦争の放棄をうたった憲法の前文や第9条をどのように考えるかをそれぞれの立場から語っている。
8月に東京都渋谷区のユーロスペースでの上映が予定されているほか、DVD(2800円)やビデオ(4500円)として販売され、上映のための貸し出しも受け付ける。問い合わせはシグロ(03・5343・3101)。
写真=「男女平等は男性の幸せにもつながります」と話すベアテさん(東京都内で)
「ベアテの贈りもの」を紫波町で特別上映 (朝日・岩手版
2005/04/25)
映画「ベアテの贈りもの」(藤原智子監督)の上映会が、憲法記念日の5月3日から3日間、ロケの舞台となった紫波町の野村胡堂・あらえびす記念館(野村晴一館長)である。日本国憲法に「男女平等」をうたった14、24条が織り込まれた経緯と、その精神が日本に根付いていった歴史を描いている。
記念館は昨年5月、映画のロケの舞台となった。映画は30日から東京・神田神保町の岩波ホールで公開されるが、映画製作委員会(赤松良子代表)は、記念館の撮影協力へのお返しとして、岩波ホール以外では、全国ではじめて記念館で上映する。
記念館は、新憲法の草案委員会にただ1人の女性として参加したベアテ・シロタ・ゴードンさん(米国在住、81歳)の父で、ピアニストのレオ・シロタが演奏したSPレコード「ペトルーシュカ」を所蔵。映画製作委員会の要請でレコードコンサートを開催。ベアテさんは講演をした。その模様は、この映画の冒頭で紹介されている。
入場券千円。先着順。問い合わせは記念館(019・676・6896)へ。
「ベアテの贈り物」上映に奔走赤松氏 (読売
2005/04/22朝刊)
春秋 (日本経済 2005/04/18朝刊)
この4月末に封切られるドキュメンタリー映画「ベアテの贈りもの」はGHQ職員として日本国憲法の草案づくりに加わった米国人女性ベアテ・シロタ・ゴードンさんの話だ。女性の人権や男女の平等などをうたった条文は、この人の尽力のたまものといえる。
▼父はロシア出身のピアニスト、レオ・シロタ。日本で教育・演奏活動を行う父と共に5歳で来日、東京で育った。戦後、憲法起草に携わったのは22歳の時だ。憲法の専門家ではなかったが、少女期に見聞きした妻妾(さいしょう)同居などの現実から、日本女性の地位向上の必要性は痛感していた。
▼そのベアテさんに話を聞いたことがある。特に歯ぎしりしていたのは、自ら書いた条文案の多くが「むしろ民法で規定すべし」とGHQ内で削除されたことだ。幻の一例が「嫡出でない子供は法的に差別を受けず、法的に認められた子供同様に…機会を与えられる」。
▼戦後60年の今、民法では依然、非嫡出子は相続で不利な状況を強いられる。戸籍の続き柄の記載が嫡出子と同じになったのは、やっと昨年のことだ。先週には、両親が法律上の夫婦かどうかで子供の国籍取得が区別される国籍法の規定を違憲とする判決が東京地裁であった。空気は変わりつつあるが、歩みは遅い。ベアテさんの歯ぎしりする姿が、よみがえる。
「哲学」なき報告書 24条は歴史的使命終えた 紙谷雅子・学習院大教授
(共同 2005/04/16)
衆院憲法調査会の最終報告書は、「憲法」とは何なのかの議論なしに、今の憲法を前提に検討されているのが、ある意味、特徴的。憲法の役割も、行動規範を規定すべきだなど情緒的な意見が出たのに対し、法律家は公権力を制限する話をしていて、水と油だ。
憲法の制定経過では、一九五〇年代の高柳(賢三)調査会で「押し付け論」が成り立たないことで一応決着しているのに、なぜもう一度やる必要があったのか。制定経過が間違っていたことを引き出したい、という前提があったのではないか。
何でも憲法に入れようという考えがあるようだ。憲法は詳細に書くほど賞味期限が短くなり、頻繁に改正が必要になる。報告書には憲法に入れる事柄かな、という話はたくさんある。各委員がお気に入りの話題を入れたかっただけで、憲法とはこういうものだ、という哲学が感じられない。
前文は、何のためにこの憲法をつくるのかを書くもので、憲法は統治機構についての規定であると、近代立憲主義のみならず、アリストテレスの時代から理解されている。報告書にある「歴史・伝統・文化」などは、そのような観点から、不適切であろう。
九条改正の方向が出ているが、日本が国連安全保障理事会の常任理事国になりたいなら、九条一項(戦争放棄)だけにしたり、もっと明確に軍備を持たない、と宣言した方がアジア諸国の支持を得られる。「軍備を放棄し、別の国際貢献をするから常任理事国になる」と言えばいい。九条改正の議論は軍隊や自衛権が欲しいという考えが先になっている。
基本的人権の「新しい人権」で取り上げられた環境権は、国家の環境保全義務とすべきだ。ただ自然環境だけでなく文化遺産まで含めるのかなど疑問もある。悪いことではないが、格好良さそうだというので、議論されているだけではないか。
プライバシー権はもっと問題がある。「プライバシー」はあいまいな言葉で、メディア被害からの保護などと考えられているが、ヨーロッパ人権条約では「私生活の保障」とされている。
これを憲法に規定すると、私生活に関する個人の決定が国家に干渉されない権利となる。例えば誰と結婚しようと自由だと主張できるとすれば、同性婚を国家が禁止できなくなるかもしれないと、委員は理解しているのか。プライバシー権がどういうものか、もっと議論が必要だ。
二四条(両性の平等)は今の憲法を作ったときには、戦前の家制度を否定するために重要だった。六十年近くたち、結婚は本人たちが決めることという理解は当たり前になった。二四条は歴史的使命を終えた。
憲法に結婚に関する条項があることが法律婚を重視し、非嫡出子を差別することになってはいないか。子どもがないことや、血のつながった子どもでなければならないという重圧が、産みたくても産めない人々を苦しめてはいないか。道徳的な価値を法律で押し付けるのは問題だ。
憲法の議論は、マスコミもどんどん取り上げてほしい。今の憲法制定時も民間案がたくさん出た。国会だけでなく、対案がたくさん出てきたらいい。(聞き手は共同通信編集委員 井原康宏)
× ×
かみや・まさこ 1952年生まれ。東大法学部卒。北大教授を経て92年から現職。専門は英米法。編著に「日本国憲法を読み直す」など。
Americans rediscover Japan's version of Susan
B. Anthony
By SHIRO YONEYAMA (Kyodo/Japan Times 2005/04/07)
ベアテ・シロタ・ゴードンさん描くドキュメンタリー
映画『ベアテの贈りもの』 (東京 2005/03/27朝刊)
憲法改正論議の中、四月に公開される映画「ベアテの贈りもの」(藤原智子監督)に注目が集まっている。現憲法の草案作成時に男女平等条項である二四条を書き加えたアメリカ人女性、ベアテ・シロタ・ゴードンさん(現在八十一歳)の生き方に迫ったドキュメンタリーだ。
(国保 良江)
映画の製作が決まったのは三年前。元文部大臣の赤松良子さんらが、憲法二四条が自分たちの暮らしにどう生かされてきたかを検証しようと、映画製作を発案した。一般人からの寄付で制作委員会をつくり、監督を藤原智子さんに依頼した。
映画は、ベアテさんの半生を描きながら、旧労働省や民間企業で働く女性の証言で、戦後日本女性の生き方を描いている。
ベアテさんはピアニストの父、レオ・シロタさんの長女。ベアテさんが五歳だった一九二九年に、一家でウィーンから来日。ベアテさんは十年間、日本で過ごした。
その後、太平洋戦争直前に単身でアメリカに留学した。戦後GHQ(連合国軍総司令部)の民政局員として再来日、日本をよく知っているということもあって、二十二歳で日本国憲法の草案作成のメンバーに加わった。
藤原監督は、映画製作にあたって本やビデオを調べ、夫が妻を尊敬し、夫婦が平等である、といったベアテさんの家庭状況を知った。「ベアテさんは長く日本に住んで、日本女性の地位がどんなに低いか、人権が無いかを知っていました。ベアテさんの家族状況や育った環境なども、男女平等条項をつくる大きな要因になったのではないでしょうか」と語る。
証言場面では、現憲法ができた当初、労働省初の婦人少年局長になった山川菊栄さんの一声で、全国の婦人少年室長をすべて女性にした話も出てくる。
その後、国連の世界女性会議を経て、男女雇用機会均等法が整備され、女性は各方面で活躍する時代に。男女差別裁判で闘う人、地域環境の運動にかかわる人や世界をまたに活躍する緒方貞子さんまでのおよそ六十年を、記録映像を交えて振り返っている。
映画はベアテさんの次の言葉で結んでいる。
「女性の権利全部を完全に行使するまでまだ時間がかかると思います。私が草案した権利が、毎日の生活で十分に生きる時がくることを願っております」
藤原監督は「戦後六十年たった今も、男性の意識はあまり変わっていません。法律は平等になっても、現実には女性差別はあります。映画を通して、若い人たちに、家族や雇用のあり方などさまざまな問題を考えてもらえたらいいですね」と話した。
上映は四月三十日から東京都千代田区の岩波ホールで。その後は、全国各地の女性会館などで上映される予定。
■憲法二四条【家族生活における個人の尊厳と両性の平等】
(1)婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
■米国にもない条項
憲法学者・樋口陽一さんの話
24条はベアテさんがいたからできた。日本国憲法はアメリカ民主主義が日本の支配層に「おしつけ」たのだが、アメリカ合衆国の憲法には、いまだに男女平等の条項は無い。ベアテさんは家族生活における両性の平等を憲法に書き「枠組みを作っておかないと、民法をつくるのは日本人なので形がい化する」と頑張った。だから24条は贈り物。この贈り物を自分たちのものにする努力があったからこそ民法も生活も変わったのでは。
働く女性にエール 元文相赤松良子氏(人間発見)(日本経済
2005/03/22〜25夕刊)
Film depicts Japan's gender equality strife
Written by American woman, Article 24 now
seen under LDP threat
By KEIJI HIRANO (Japan Times 2004/12/11)
BACKLASH: Revisionist thinking
By MIEKO TAKENOBU,The Asahi Shimbun (International Herald Tribune / Asahi 2004/11/11)
[論点・憲法]「家族」規定に賛否 (読売 2005/03/06朝刊・政治面)
◆自民、重要性を再確認/民主、多様性に配慮を
「我が国は家族、家庭を通じ地域社会で相互扶助、助け合いの精神を培ってきた。これが軽んじられているところに今日の社会秩序の乱れがある」――。2月24日、衆院憲法調査会の「前文に関する自由討議」で、家族の重要性を憲法に明記すべきだとする自民党委員の発言が論議を呼んだ。
枝野幸男氏(民主)「家庭崩壊とか、地域崩壊とかの話が(戦後政治をリードした)自民党から出てくることに違和感を感じる。あまりに自信喪失ではないか。家庭の価値の維持は立法行政の範囲でできる」
中谷元氏(自民)「社会の最小の単位は家庭だ。子育て、教育、親の面倒をみること。行政サービスには限りがあり、できない部分は家族や家庭でやるのが基本だ。離婚率が高く、少子化という現象もある。だからこそ、家庭や家族を大切にする精神が大事だ」
枝野氏「家族を大事にということ自体は否定しない。だが、子供を産みたくても産めない人、事故で家族をなくした人がいる。相当慎重な配慮が必要だ」
こんなやりとりに、家族に関する規定をめぐる問題点が、集約されている。
■海外では一般的
現憲法にはなぜ家族条項がないのか。連合国軍総司令部(GHQ)原案には「家族は人間社会の基礎」とあったが、「道徳的な規定や、将来の変化が予想されるような規定は遠慮する」として削除されたのだ。
自民党内では、現憲法が戦前の「家制度」への反省から「個人の権利を強調し過ぎて家族の連帯感喪失を招いた」との見方が多い。家族、家庭の大切さを新憲法の前文あるいは個人の尊厳と男女の平等を定めた24条に盛り込むことで、日本社会を再構築すべきだというわけだ。
これに対し、「家族や共同体の価値を重視する観点で24条を見直すのは、ひいては個人の尊厳、男女の平等を見直すことになる。家制度への郷愁が非常に強い。国のため個人の生活が規制されるという方向を目指すに違いないと危惧(きぐ)される」(土井たか子前社民党党首)といった懸念を唱える向きもある。
だが、今や国際人権規約をはじめ、外国の憲法の多くが家族に関する規定を有している。
自民党憲法調査会が昨年11月にまとめた改正草案大綱案は、「家族」ではなく、「家庭」という言葉を使った。「血族的な意味合いは家制度を連想させ、様々な形の家庭があることを容認する」との趣旨だった。
中曽根元首相の試案は、「国家による家族の保護」を明記しているが、国家の介入は、児童虐待や家庭内暴力などが見られる場合に限定するとしている。
■民主内にも両論
民主党では、枝野氏の発言に見られるような消極論が目立つ。昨年6月の党憲法調査会中間報告でも、「人間と人間の多様で自由な結びつきを重視」と表現し、家族という言葉を避けた。だが、鳩山由紀夫・元党代表の試案には家族条項がある。旧民社党系グループも家族の明記を求めた。
公明党憲法調査会の論点メモ(昨年6月)は家族条項には触れていない。
家族の位置付けは今後の論議の焦点の一つだ。それには日本社会が抱える家族の問題をどう考えるかといった視点が欠かせない。
◇家族に関する主な改正案と海外の例(一部抜粋)=表略
[まつりごと豆知識]家制度
戸主権や家督相続を根幹とする家族のあり方を定めた戦前の制度。明治31年(1898年)に施行された旧民法は、一家の長である「戸主」に家族に対する大きな支配権を与え、家代々の財産の独占も認めた。戸主の地位は、親の扶養に責任を負う長男が継ぐのが基本だった。旧民法は「妻ハ婚姻ニ因リテ夫ノ家ニ入ル」とも定めた。戦後、1947年の民法改正で廃止された。
[憲法・国会調査会]参院・中央公聴会 参院には政策検証機能
(読売 2005/03/04朝刊)
◆住民投票、抑制的運用で
参院憲法調査会(関谷勝嗣会長)は2月21日、「今後の日本と憲法について」をテーマに中央公聴会を開いた。公述人は公募で選ばれた学者や地方議員、学生ら8人。
公聴会で、憲法改正に前向きな姿勢を示した公述人に共通するのは、社会情勢が制定時と大きく異なり、現憲法では十分対応できなくなっているとの思いだ。
PHP総研第二研究本部本部長の永久寿夫氏は、昨年11月に発表したPHPの憲法改正私案を紹介し、首相公選制を導入するとともに内閣は首相の専門家スタッフで固めるべきだと提案。「これは民間人の感覚だ。社長と重役が右を向いたり左を向いたり、全体としてどこを向いているかわからない状態は、企業経営ではありえない。今の内閣はどうしてもそう見える」と指摘した。
東大大学院生の高見康裕氏は戦力の不保持を明記した9条2項に関して、「日本は元寇と第2次大戦以外に侵略された経験がない。自分から侵略しなければ侵略されないという誤った教訓を導きがちだが、国際情勢を考えるとそのような考え方はとるべきではない」と主張した。
国立大学財務・経営センター教授の山本清氏は「参院は解散がなく、長期的な視点で審議する特性がある。政策の効果を検証し、予算に反映させるのは参院がふさわしい」と述べ、参院の存在意義を強調した。
岡山県議の小田春人氏は95条の地方自治体の住民投票について、「市町村合併の賛否を問うケースがあるが、混乱に拍車をかける場合もあり、直接民主主義は例外とすべきだ。住民投票は極力抑制的な運用が望ましい」と訴えた。
法政大教授の五十嵐敬喜氏は、9条改正を否定しながらも、「安楽死など、政党政治を超えて国民全体で議論すべきものは、国民投票にかけるべきだ。それに抵触する憲法の規定は訂正すべきだ」と述べた。
一方、日本民主法律家協会事務局長の沢藤統一郎氏は、護憲の立場から、憲法を「遅れた現実を批判する道具として極めて有効だ」と評した。9条については「占領軍から押しつけられた面は否定しないが、日本が自ら選び取り、守り抜くことで9条が国民のものとなる」との見解を示した。
女性の支援団体「ふぇみん婦人民主クラブ」の赤石千衣子氏は、「両性の平等と個人の尊厳を規定した24条を見直す論議に危機感を感じている。介護を社会で支える仕組みを弱体化させ、女性だけの責任にする制度になってしまうのではないか」と述べた。
第162回国会 参議院憲法調査会公聴会 第1号 会議録
(2005/02/21)
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日本国憲法24条改正/悪問題 (Amendment of
Art. 24 of Jap. Constitution) - TransNews