9連戦のラストは3万人のため息とともに終わった。8回、松井雅、森野、ブランコが簡単に3者凡退。あと1イニングを残して大勢のファンがいっせいに席を立った。5月5日「こどもの日」。スタンドを埋めた少年少女たちに、ドラゴンズの強さを見せることはできなかった。
わずか1得点での大敗。責任を痛感していたのは、チームの先頭に立ってファンとの交流に努めている選手会長の森野だった。「こういう試合もあるんでしょうけど、この日だけはこんな試合はしたくなかった」。1回、1死二塁のチャンスでは左邪飛に倒れ、「上園? よくはなかった。大事にいきすぎてしまった」と残念がった。
そんな中、せめてもの一矢を放ったのが和田だった。2回、上園の直球をバックスクリーンへ豪快に運んだ。5月に入って早くも5発目。ラミレス(巨人)とともにホームランダービーのトップを走る11号だ。これで「こどもの日」の通算成績は35打数13安打で打率3割7分1厘、4本塁打。めっぽう強い。「これだけいっぱい入ってくれた。何とかしたいと思っていた」と語った。
和田はファンサービスに家族ぐるみで力を入れている。もともと「和田シート」を設けて定期的にファンをナゴヤドームへ招待しているが、今度は夫人が自らの誕生日にあたる5月12日のソフトバンク戦(ナゴヤドーム)に、同じ誕生日のファンを招待するプランを発案(詳細は和田一浩オフィシャルウェブサイトで)。プレーでもそれ以外でも、ファンの期待に応えようとしている。
チームは7日からヤクルトとの3連戦に臨み、この後、交流戦に突入する。森野は「(ヤクルト戦は)大事な試合になる。全部勝って交流戦に弾みをつけたい」ときっぱり。リーグ屈指の破壊力を誇る主軸が、ナゴヤドームに大歓声を呼び込んでくれるはずだ。 (木村尚公)
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