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【首相訪沖】「周回遅れ」ようやく気づいた「現実」 (2/2ページ)
そもそも、なぜ「県外」なのか。首相は4日夕、記者団に「学べば学ぶほど、(海兵隊が)連携し抑止力を維持していることが分かった。(考えが)浅かったと言われればその通りかもしれない」と述べた。とすると、「最低でも県外」と発言した当時は、その基本認識すらなかったことになる。あまりにも遅すぎる自省の念だ。
もはや自業自得の迷走としか言いようがないが、この間、鳩山政権は多くのものを失った。
政権発足時に7割近くあった内閣支持率が20%台に急落したのは、それこそ自業自得だ。より深刻なのは、各方面から政権そのものに「不信」の2文字を突きつけられていることだ。
「ちゃんと公約を守ってくれよ」「大変、遺憾だ」
県会議長との会談で、沖縄に加え一部を鹿児島・徳之島に移設するプランを示した首相に、同席した県議たちの怒声が飛んだ。首相は何も答えず、頭を下げて立ち去るしかなかった。
普天間問題のもう一方の当事者である米国からも、明確な「ノー」を突きつけられた。4月の核安全保障サミットでは、オバマ大統領との正式な首脳会談すら開けず、米紙には「最大の敗者」と酷評された。
いくつもの信を失うことで、ようやく現実を直視し始めた鳩山首相。だが、首相が言い出した「5月末の決着」まで、残り1カ月を切った。普天間問題の解決に「職を賭す」と宣言した首相に残された時間は少ない。(船津寛)