宮崎県で相次いでいる口蹄疫(こうていえき)の感染が28日、県境の同県えびの市でも確認され、人吉市の一部が移動制限区域に、人吉市の大部分と錦町、あさぎり町、相良村のそれぞれ一部が搬出制限区域になった。ウイルス侵入を食い止めるため主要道では車両用の消毒ポイントも設置され、県は被害拡大防止に努めている。
移動制限区域は家畜伝染病予防法に基づき県が設定する。区域では牛、豚などを農場から移動したり、死体、ふん尿などを区域外に出すことが禁止される。搬出制限区域では、家畜を生きたまま区域外に運ぶことや子牛など育成用の市場を開催できなくなる。制限期間は最終発生地での殺処分完了から21日間で、現時点で解除日は未定。
県畜産課によると、移動制限区域内の畜産農家は5戸、搬出制限区域内は263戸ある。生乳は安全確認後は出荷できるが、育成用の家畜が出荷できなくなるため、出荷までの餌代がかさんだり、育ちすぎで価格が下がる懸念があるという。区域指定を受け異常がないか、球磨家畜保健衛生所が電話による聞き取り調査をする。
蒲島郁夫知事は宮崎県の東国原英夫知事から27日に発生連絡があったことを明かし「非公式でも準備を早くから進められた」と情報交換と連携の重要性を強調。「県民にも正確な情報の提供を進めるので冷静に対応してほしい」と呼びかけた。【結城かほる】
毎日新聞 2010年4月29日 地方版