【コラム】これを韓中の戦略的関係と呼べるのか(下)

 一方、中国は最近「ソフトパワー」を重視している。文化、メディア分野の裏付けがなければ、軍事力や経済力だけで世界の一流国家にはなれないと判断したのだ。昨年10月には約70カ国、170社のメディアの代表を招き、第1回世界メディアサミットも開いた。胡錦濤主席はその開幕式で、「中国政府は外国メディアによる取材に全面的な支援を惜しまない」と述べた。そんな中国が金総書記の訪中の事実確認すら拒み、金総書記が広さ227坪(約750平方メートル)の最高級ホテルのスイートルームに泊まり、最高級のベンツで移動する様子を遠くから取材することも規制している。中国は本当に世界の一流国家を目指しているのだろうか。

 だが中国は、そうした批判をあえて受ける覚悟のようだ。この時期に北朝鮮に手を差し伸べることが、国益にかなうと判断したとみられる。昨年11月には梁光烈国防相が平壌で北朝鮮の軍幹部と祝杯を挙げ、「血で結ばれた中朝間の親善関係」という中国の基本的な立場を変えなかった。

 それでも韓国と米国は、北朝鮮問題をめぐり、常に「中国の建設的役割に期待する」という姿勢で北京を見つめている。6カ国協議も同様だ。6カ国協議は中国の提案で03年8月に初会合が開かれたものの、北朝鮮の核問題の実質的解決局面の入り口で失敗を繰り返した。中国が6カ国協議の議長国であるにもかかわらず、北朝鮮は6カ国協議から脱退し、2度の核実験を実行した。中国はこうした北朝鮮を常にかばってきた後援者だ。

 結局中国は当面、いかなる代価を払おうとも、北朝鮮を支えていくという戦略的決定を下したと言える。一方、韓米はそんな中国を通じ、北朝鮮を変えようと外交的に総力を挙げてきたというわけだ。中国が北朝鮮問題で最も重要な不確定要素であることは明確だ。それならば、中国の不確定要素にいかに対応するかという戦略をまず立てておく必要がある。漠然とした期待感では何も達成できないというのが、最近の中国と北朝鮮の接近から読み取れるメッセージと言えよう。

朴斗植(パク・ドゥシク)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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