【コラム】これを韓中の戦略的関係と呼べるのか(上)

 中国は当分、韓国の不満や非難を甘んじて受ける覚悟を固めたようだ。中国が北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記訪中で見せた一連の外交的欠礼の背景は、それ以外に説明できない。胡錦濤国家主席は先月30日、上海万博開幕式に出席するため訪中した李明博(イ・ミョンバク)大統領と面会し、哨戒艦「天安」沈没事故の犠牲者に対する慰めの意を表明した。この事故が北朝鮮の仕業である可能性が最も高いとの見方が固まりつつある中で、胡主席は李大統領に対し、3日後に金総書記が訪中する事実を全く知らせなかった。

 中国は2年前の2008年5月、李大統領の初訪中に際し、韓中関係を「戦略的協力パートナーシップ関係」へと格上げすることを宣言した。それまでの韓中関係は「全面的協力パートナーシップ関係」だった。字面の意味について、中国は自分たちの外交において、韓国の地位が日本よりも高く、インド、ロシアと同等のクラスに相当すると説明した。この説明を聞いた韓国大統領府(青瓦台)は、中国の外交において韓国がどの地位にあるのか、詳細に記者説明を行ったほどだ。そんな中国の国家主席が韓国の大統領と面会する一方で、金総書記の訪中計画に関しては、一言も触れなかったというのだ。中国の昔の皇帝でもあるまいし、韓国と北朝鮮の首脳を3日間隔で順に呼び付けたというのもどういうことか。

 青瓦台と外交通商部は、中国に対し激しい怒りを覚えている。しかし、腹を立てたところで、既に起きたことをどうすることもできない。中国の韓半島(朝鮮半島)政策に大きな変化はないにもかかわらず、韓国は増加する貿易量、観光客数、さまざまな交流を理由に、中国にとって韓国の戦略的価値が北朝鮮よりも高まったと早合点していたのかもしれない。

 中国がこの時期に金総書記を呼び寄せたのは、かなり冒険的で大きなギャンブルに出たと言える。北朝鮮は未だ国民を政治犯収容所に送り込む世界最悪の人権侵害国家であり、多くの住民が飢えに苦しんでいる。それにもかかわらず、亡き指導者の誕生日に花火を打ち上げるために60億ウォン(約5億円)を無駄遣いし、ときにはテロや挑発もためらわない集団だ。金総書記が安心して訪問できる国もほとんどない。金総書記は00年以降、中国を5回、ロシアを2回訪問したにすぎない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る