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【朝鮮半島ウオッチ】脱北者を救援、中国で獄中生活送った日本人 (3/3ページ)
「北朝鮮難民救援基金」に加わったのは8年前。旅行体験も買われて約1年で救出計画を任された。救出した脱北者は、元在日韓国・朝鮮人だけでなく北朝鮮住民もいた。事件は、2度目の「作戦」で起きた。
体験をまとめるのに数年を要した。中国での逮捕歴が帰国後の生活を一変させたからだった。5年間の中国入国禁止。就職への支障。生活の立て直しには時間がかかった。しかし書きあげたのは、思いがあってのこと。
「北朝鮮の中に、日本を祖国と思っている人たちがいて、その人たちを助けようという僕のような活動をしている日本人がいる。このことをもっと知ってほしかった。危険もある。難しいことも多いが、日本人として『知りませんよ』とはいえない」と話す。
現在、北朝鮮からの脱北者救出を行っているのは日韓の民間団体だけである。救出NGOの日韓連携はすでに成熟期に入っている。韓国の元脱北者はまもなく2万人。脱北者が内部情報を伝える情報ネットワークも北朝鮮当局を脅かす存在に育ちつつある。
しかし、中朝国境事情は悪化の一途だ。中国は昨年から在中国の日韓公館に保護している脱北者の出国を認めなくなった。滞留者は1年以上、韓国大使館や日本領事館に軟禁状態。一方で脱北者問題は日韓の外交テーマとはならず、脱北者は増え続けている。
「100年に一度の機会ではないかと思う。脱北者救済にいま日本が本気で取り組めば、日本の朝鮮半島への謝罪外交を転換できるのではないだろうか」
野口さんの情熱は冷めない。民主化された北朝鮮を元脱北者と旅するのが夢だと語った。