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【朝鮮半島ウオッチ】脱北者を救援、中国で獄中生活送った日本人 (2/3ページ)
「挫折感でした。計画が成功しなかったのは僕がプロではなかったから。中国語もできない、資金も不足していた。しかし僕は、日本人だからこうして帰ってこれた」
中越国境で、ベトナム人ブローカーに脱北者を託し、密輸業者の使う山道を密行させる。野口さんは、日本人として表玄関から堂々と越境する。強く感じたことをこう記している。
『私にとっての国境は、いつだって日本人であることに誇りを感じさせてくれる場所だった。ところが彼女たちは、いきなり北朝鮮人という身分に格下げされ出入りを許されない。自国民を餓死させ、恥をかかせるそんな祖国が押しつけてくる辛苦や屈辱から逃れようというのが脱北者だ…』
(同書から)
日本政府は元在日韓国・朝鮮人と確認された脱北者を約10年前から受け入れてきた。ただそれは、脱北者自らが出自を証明し、日本政府に嘆願した場合だ。脱北者が独力で嘆願することは無理である。それを助ける複数のNGO。「いまもコツコツと仕事をしている人たちがいる」
送還されてしまった2人への罪悪感はぬぐい切れないという。「十字架は一生背負います」と話した。
バックパッカーの夢
野口さんは、米国の大学を卒業して米企業に就職。20代で45カ国をバックパッカーとして旅した。そのなかで出会ったのが北朝鮮という独裁国家と脱北者という存在だった。
90年代半ばに北朝鮮にも行った。ちょうど脱北者が急増している時期だった。彼らを救出しているNGOがあるのを知り、「どうしても活動に加わりたい」と会社を辞めた。