2010年4月30日

口蹄疫対策について重ねて強く政府へ申し入れ

平成22430日、口蹄疫対策について重ねて強く政府へ申し入れをしました。


 

 10年前の口蹄疫発症の際は、政府が多額の予算を確保し、現場の不安を取り除いた上で、迅速かつ的確に多角的な対処を行った結果、感染拡大を限定的に収束させることができました。ところが、今回はすでに、区域が70キロも離れた地域に飛び火した上に、牛のみならず豚にまで感染が拡大。今日現在12例目が確認されているのにもかかわらず、今なお、政府は危機意識に著しく欠けていると言わざるをえません。宮崎県や近隣諸県にとって基幹産業である畜産の浮沈の分かれ道であるばかりか、地域経済にとっても取り返しのつかないダメージを与えかねない状況で、現場の不安と緊張感は頂点に達しています。精神的にも追い詰められた生産者の皆さん、あるいは24時間体制で消毒活動などに尽力されている方々も、もはや限界に近い状況です。
 本日、谷垣総裁を本部長とする自由民主党・口蹄疫対策本部で「口蹄疫発生に伴う対策についての政府申し入れ(第二弾)」を取りまとめ、政府に対し申し入れを行いました。しかし、赤松農林水産大臣は予定通り、キューバ・メキシコ・コロンビアなどの「外遊」に出発してしまう有様で、危機管理の当事者としての不適切な対応に、ただただ驚き呆れるばかりです。農林水産省で面会に応じたのは舟山大臣政務官のみでしたが、「県の初動が悪かったせい」「十分対策をとっている」「自衛隊の協力は、国民に不安を与えかねないので、慎重に考えたい」などという回答を繰り返すばかり。この期に及んでなお、このような認識しか持てない政府に、怒りを禁じ得ません。国家の危機管理であるという認識が全く無いのです。
 本日、申し入れた文書は以下の通り。江藤拓議員が現場の声を丁寧に集めて、とりまとめてくれました。42項目についての回答を政府から頂くことになっていますので、このページにおいて報告をしたいと考えています。


口蹄疫発生に伴う対策についての政府申し入れ(第二段)

                      平成二十二年四月三十日

自由民主党 口蹄疫対策本部長

 総裁 谷垣 禎一

 宮崎県において発生している家畜伝染病である口蹄疫が拡がっていることに対し、四月二十二日の申し入れに引き続き、左記事項の実現について重ねて、強く申し入れる。
 尚、左記事項は、搬出制限区域内や発生都道府県の農家等はもとより、搬出制限区域等の影響を受ける他の都道府県及び自主的にセリ市場の開催を自粛している地域の農家等に対しても、同様に万全の措置を講じること。

                記

(共通事項)

一、 現場では心身共に極限状態にあり、心のケアが求められている。そのため、より具体的で安心感を与えうる国の姿勢を早急に示すこと。

二、 出荷停止により、収入が途絶える農家に対して、一時金の給付など生活支援策を講じるとともに、税金や公的機関への納付金などの支払い期日を猶予すること。

三、   出荷の延期等にともない経営継続に支障が生じないよう、日本政策金融公庫より、無利子の運転資金の融資を速やかに行うこと。

四、   発生農場の患畜及び擬似患畜の殺処分・埋却について、家畜伝染病予防法を改正し、全額国庫で行うこと。

五、   経営が再建されるまでの期間、休業補償を行うこと。

六、 現場では、埋却する土地の確保に極めて困難をきたしており、埋却・焼却にとらわれない処理の方策について早急に検討し実行すること

七、 口蹄疫発生の影響により出荷できない牛や豚にかかる飼料代を、全額国が補てんすること。

八、 搬出制限区域内において、子豚や子牛が施設の収容能力を超え、緊急的な簡易畜舎の設置をする場合、建設費用の全額を補助すること。また、その場合、農地法など許認可の規制緩和も緊急避難的に認めること。

九、 移動制限区域外の農家が、と畜場の閉鎖により遠方のと畜場に搬入する場合、輸送費を全額補助すること。

十、 発生都道府県にかかわらず、他の都道府県の購買者など全国の畜産関係
者に、正確な情報が速やかに発信できるシステムを早急に構築すること。

十一、再発を防止する上でも、国産稲わら100%の自給率を早期に確立すること。

(防疫関係) 

十二、汚染の拡大並びに海外からの侵入を阻止するための、畜舎・車両等に対する消毒や動物防疫措置など防疫対策を徹底すること。

十三、近隣のアジア諸国とも連携して、感染経路の解明、発生の防止対策に全力を尽くすこと。

十四、万一の蔓延防止のため、ワクチンの追加備蓄をすること。

十五、口蹄疫のウイルス性感染症を効果的に抑制する上で、有効な消毒薬の確保に務めること。※平成十二年時の口蹄疫発生の際に鹿児島県内に設けた消毒液の「ストック・ステーション」をさらに設置すること。

十六、既に現場では不足をきたしている、安全な稲わらの確保に努め、それに必要な充分な助成を行うこと。また速やかに、口蹄疫発生国からの稲わらの輸入は即時停止し、安全な粗飼料の確保に政府は努めること。

十七、これまでに例を見ない感染拡大の事態に対応すべく、災害救助法を適用して自衛隊の派遣を要請し、発生農家の支援をすること。

十八、国や発生都道府県以外から、家畜防疫員・獣医師の応援が速やかに行われる体制を整備すること。

十九、消毒や立入禁止を無視して無断で違法な取材活動をする報道関係者に対して、法的措置も含め厳格に対処すること。

(繁殖牛関係)
二十、 制限期間が更に延長された場合、肉用子牛補給金の交付要件である譲り受けに係る子牛の月齢要件を、「四月齢未満」から更に延長すること。
     
二十一、口蹄疫発生の影響により子牛せり市を延期し、子牛価格が下落した場合、再生産可能な水準である(四十万円)と販売価格の差額を全額補てんすること。
     
二十二、市場価格低迷時において農家が肉用子牛を自家保留した場合、助成措置を講じること。
     
二十三、農協等が地域内肥育等のために肉用子牛を導入した場合、助成措置を講じること。

(肥育牛関係)
     
二十四、市場閉鎖解除後に子牛を一括購入する場合、日本政策金融公庫より、無利子の融資を行うこと。
     
二十五、制限期間が更に延長された場合、肉用肥育経営安定対策事業の助成要件である「十六ヶ月齢未満の肥育もと牛の導入」の月齢要件を更に緩和すること。

(酪農関係)

二十六、移動制限のためやむを得ず自家保留する農家の、経産牛肥育(四ヶ月以上肥育)とヌレ子哺育(一ヶ月以上哺育)に対して奨励金を交付すること。

(養豚関係)
     
二十七、滞留する子豚の淘汰及び焼却・埋却への助成金9500円/頭を引き上げること。
     
二十八、出荷適期を超える肉豚の枝肉重量80`以上に引き下げるとともに、助成金1万1000円/頭を引き上げること。

(市場関係)

二十九、家畜市場再開時に市場のPR等を行う場合、助成措置を講じるこ   と。
     
三十、 家畜市場再開時には家畜市場から肉用子牛を購入した場合に、購買者に対し、輸送費の助成措置を講じること。

(関連産業)
     
三十一、影響を受ける中小の食肉処理業者、食肉販売業者、運送業者などに対し、日本政策金融公庫より、無利子の運転資金の融資を行うこと。
     
三十二、商店街など地域経済全体への影響を考慮し、他の産業へも国としてできる限りの支援策を講じること。

(風評被害対策)
     
三十三、疑似患畜の風評による被害等を最小限に留める対策として、消費者へ向けた広報活動を展開すること。
     
三十四、流通業者、小売業者に対して、現在流通している発生都道県産の食肉、牛乳等は、家畜衛生上及び食品衛生上安全性に問題ない旨を徹底するとともに、円滑な取引を行うよう指導すること。
     
三十五、消費者に対する発生都道府県産の畜産物等の安全性をPRするため、宮崎県等が行う新聞における意見広告の掲載、折り込みチラシの配布、小売店等に対するリーフレットの配布等に対する助成措置を講じること。

三十六、風評被害が発生しないよう、マスコミには正確な情報を提供すること。
     
三十七、発生都道府県の花の苗などが風評被害で返品された場合、全額国で補てんすること。

(その他重要対策)
     
三十八、都道府県及び市町村、農協などが独自の対策を講ずる場合、地域に裁量権を与えた上で、財政的な支援を制度化すること。
     
三十九、ウイルス名の決定に当たっては、発生地の地名が特定されないよう配慮すること。

四十、 家畜市場及びと畜場の経営に充分配慮し、支援策を講じること。
     
四十一、人工授精師の回転率の低下に係る経費の増加と収入源にも充分配慮すること。

四十二、酪農ヘルパー及び乳牛検定員の収入減に充分配慮すること。

以上