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ペン先字幅の特殊な呼称

 最近のペン先は、F・M・Bなどの表記になっております。
 しかし、かつてのパイロットのペン先には、かなり特殊な表記がされていたものがあることを、昭和30-40年代のペン先をもとに、ご紹介したいと思います。

現在の字幅呼称

 まず、ポスティング(P)、これは現在でもありますが、現在のEFに相当するものをポスティングと呼んでいました。
posting.jpg


 スクリプト(ST)、これは、現在のFに相当するものです。
script.jpg


 ソフト(SF)、これは、現在のSFに相当するものですが、書き味は結構硬いです。このペン先に限らず、昭和30-40年代のパイロットのものは、「パイロットのハード志向」と呼ばれ、硬いものが多かったです。
soft.jpg


 フォルカン、これは現在でもありますが、現在のものほど軟らかくはなく、通常のペン先と同じ感覚で使えます。
falcon.jpg


 マニフォールド(MF)、これは現在のMに相当するものです。
manif-new.jpg

 ちなみに、以下は、昭和7年のマニフォールドペン先です。
 この時代のマニフォールドはMとは違って特殊な仕様でした。炭酸紙(カーボン紙のようなもの)を用いた複写用で、弾力が硬いペン先でした。弾力の硬さからくる独特の書き味の良さ、耐久性が良いことなどから、当時一般用として盛んに使われました。当時は硬いペン先でしたが、現在のペン先と比べるとそれほど硬いと言う印象は持ちません。
 この、昔のマニフォールドは、後のパイロットのハード志向の礎となったようなペン先です。
manif-old.jpg


 コース(C)、これも現在でもありますね。紙面に当たる一角を平らに削り落としてあるのが特徴です。
coarse.jpg


 シグネチャ、これは名前の通り署名用と言えるべきもので、太く書き味の良い伝統的ペン先です。
signature.jpg


 ミュージック(MS)、これは現在でもある写譜ペンです
music.jpg


 上記の各呼称は現在ではあまりなじみがありませんが、すべて伝統的な呼称です。昭和30-40年代は「エリート呼称」と呼んでいたようです。
 名称は特殊ですが、本文中に書いたように、単なるFやMと読み替えて頂いて問題ありません。従って、エリートのマニフォールドが、炭酸紙用ということはありません。

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2件のコメント

[C77]

masahiro様、うーーーん、ペン先ひとつとっても実に奥深いものなのですね^0^;
いつも勉強になります、、、でも、難しくてわからないことも多々^^:少しでも理解できれば見っけもんです!

[C78]

kaoru様、いつもコメントありがとうございます。
私もFやMなど以外のペン先の表記について、初めて知ったときは驚いたものです。
いつも難しい内容で本当にすみません。むやみに難しい専門的なことをご紹介するというよりも、あまり語られていないことでとても大切な基本的な視点をご紹介したく続けておりますので、今後ともよろしくお願いします。
少しでも理解出来ればみっけもんとおっしゃっていただいてとてもうれしいです。ありがとうございます。

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