安曇野市豊科高家の羽多野嘉徳さん(75)宅と近くに止めてあった乗用車の焼け跡から計3人の遺体が見つかった1日夜の火災で、羽多野さん宅に住む妻好子さん、長男智義さん(48)の家族3人が、連絡がとれない状態になっていることが安曇野署の調べでわかった。乗用車も羽多野さんの所有だった。同署は2日、住宅と駐車場を現場検証して二つの火災の関連を調べるとともに、遺体は羽多野さん一家ではないかとみて身元の確認を急いでいる。
同署によると、羽多野さん宅は木造2階建て。1階の畳の部屋を焼き、遺体は焼け跡から見つかった。室内だけが燃えていたという。出火当時に駆け付けた近所の男性(73)は「玄関のドアが開かず、消防士が窓ガラスを割るともくもくと煙が出てきた」と話した。
乗用車が燃えたのは約1キロ南東の墓地、アルプス霊園の駐車場。捜査関係者によると、乗用車は羽多野さん宅の火災から約15分後に全焼し、2人の遺体は後部座席から見つかったという。霊園近くの住民は「ボンと大きな音が何度もしていた。近くにいくと、火柱が上がり、車が炎に包まれていた」と話した。また、灯油用のポリタンクが車付近に置いてあったという。
松本市広域消防局によると、智義さんは同消防局に勤務。4月に豊科消防署から同消防局総務課に配属されたが、最近は休職していたという。
近所の人の話によると、智義さんは妻と別の場所で暮らしていたが、最近実家に戻ってきている様子だった。また、好子さんは左手など体の一部が不自由だったが、嘉徳さんが介護していたという。
現場は、豊科インターチェンジ近くで、羽多野さん宅は、閑静な住宅地。霊園は人通りが少なく、住宅の点在する田園地帯。【大平明日香、大島英吾】
毎日新聞 2010年5月3日 地方版