◆中日6−2阪神
8回途中まで2失点と好投し、5勝目を挙げた吉見=ナゴヤドームで(谷沢昇司撮影)
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勝っただけで100%満足するレベルではない。8回、先頭の代打桧山に右前打、続く鳥谷に大きな右飛を打たれるとベンチは交代を決断。吉見は帽子を取って天を仰いだ。「きょうは最後までいくつもりでした。浅尾にも『休んでていいぞ』って言っていたんです。せめて8回は投げきりたかった」。勝者のコメントに、少しだけ悔しさが入り交じった。
9連戦の8試合目。リリーフ陣には疲れがある。加えて、この試合を投げ終えれば次は12日の交流戦開幕まで中7日以上登板間隔が空く見通し。中心投手として「完投」にこだわっていた。
意図通りの省エネピッチングはできた。「真っすぐがよくなってきた」と吉見は言う。力のある速球で内角をグイグイ攻め、虎の主軸を次々に詰まらせた。7イニング1/3を93球で2失点。完投はできなくても、エースの役割は十分に果たした。
ヒーローインタビューでお立ち台に登ると、スタンドの妻・聡子さんと昨年8月に生まれた長男・嶺(りょう)君に手を振った。5日には愛息とともに初めて「端午の節句」を迎える。「家にはこいのぼりとかぶとが用意してあるんです。ボクが組み立てました」と笑顔。パパの勝利が最高の前祝いになった。
これで5連勝。ハーラーダービートップに並んだ。吉見は「まだまだ向上心を持ってやっていく。勝てるピッチングをしていきたい」と力を込める。白星街道を突き進む吉見に、大黒柱の風格が漂ってきた。 (木村尚公)
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