急峻(きゅうしゅん)な土壁を人馬一体となって駆け上がる三重県指定無形民俗文化財の「上げ馬神事」が4日、桑名市の多度大社で行われた。南北朝時代から続くとされる伝統の神事だが、動物虐待や未成年者の飲酒が指摘されたことから、文化財指定の適否を調査するため、県文化財保護審議会の委員が視察した。指摘を受け、神事を行う氏子組織「御厨(みくりや)」は今回初めて、7人の監視委員会を設け、竹やロープで馬をたたくなどの虐待行為に目を光らせたほか、馬の待機場を観客にも見える場所に移すなどの対策を講じた。
県文化財保護審議会の委員は、虐待などは確認されなかったといい、「問題はないようだ」と話した。
神事は若者の士気を高めるため始まったと伝えられ、約2メートルの土壁を駆け上がった馬の頭数で稲作の豊凶を占うようになった。この日は10万人(主催者発表)の観客が見守る中、地元の15~19歳の武者姿の乗り子6人が2回ずつ挑戦し、3回成功した。5日も午後2時から行われる。【沢木繁夫】
毎日新聞 2010年5月5日 2時17分(最終更新 5月5日 2時27分)