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 未来の「野菜工場」頓挫 奥州、LED水耕栽培

2007/07/12

 赤色発光ダイオード(LED)照射による野菜栽培を手掛け、岩手県や奥州市から補助金約5000万円を受けて2005年に立地した奥州市江刺区の「コスモファーム・フロンティア江刺」が今春、操業を突然停止していたことが11日、分かった。「先進技術の野菜工場」の触れ込みで操業してから、わずか1年5カ月で破たんした。市は原則5年の操業義務を前提に補助金を出しているほか、地元の出資者も多く、波紋が広がっている。

 関係者によると、同社は4月中旬、電気料の支払いが滞ったことを理由に送電が止められ、操業を停止したという。工場内部の設備はそのまま置かれ、閉鎖された状態。従業員約20人は操業停止直前に一方的に解雇を通知された。

 江刺も含め全国4カ所に同様の野菜栽培工場の設立を呼び掛け、技術提供元になった静岡県袋井市の農業用プラント会社「コスモプラント」は4月に経営破たんし、6月に破産手続きを開始した。和歌山県、千葉県、北海道にある3工場は06年7月から12月にかけて操業をやめており、江刺の操業停止も関連の動きとみられている。

 江刺の社長も務めるコスモプラントの社長は連絡が取れない状態で、地元の出資者の1人は「操業停止は突然で、コスモプラントからは相談も連絡もなかった。会社が今後どうなるのかも全く分からない」と困惑する。

 フロンティア江刺は合併前の江刺市の誘致企業として立地した。サニーレタスなどを首都圏などに月19トン出荷し、年間2億5000万円を売り上げる計画で、市の企業立地推進補助制度に基づき、設備投資補助金を申請。05年11月からの操業を確認した奥州市が06年4月、補助金約5000万円(半額は岩手県負担)を出した。

 補助金受給企業には原則5年間の操業義務があり、フロンティア江刺の操業停止は義務違反に当たる。奥州市は「誘致企業が突然操業停止するのは異例。給付にそぐわない条件がある場合は、補助金の返却を要求することができるが、市にも操業停止の説明は一切なく、社長とは連絡が取れない」と対応に苦慮している。

[コスモファーム・フロンティア江刺] 2004年5月、奥州市など岩手県内外の10数人が出資し設立。資本金6000万円。5億5000万円(土地代含む)を投じて、同市江刺区岩谷堂の工業団地・江刺フロンティアパークに鉄骨平屋730平方メートルの工場を建設、操業した。成長を促す波長とされるLEDの光を照射する野菜栽培は、天候に左右されず一定価格の野菜を出荷でき、野菜工場の先進技術とされた。フロンティア江刺では、室温20度前後に保たれた工場内で約200万個のLEDを使い、レタスなどを水耕栽培した。

7月12日6時12分配信 河北新報

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070712-00000004-khk-l03





奥州・野菜工場「実現不可能な操業計画」 出資者告訴も検討

 岩手県奥州市江刺区の野菜栽培工場「コスモファーム・フロンティア江刺」が操業を突然停止した問題で、同社は操業当初から計画の2割程度しか生産できず、工場建設を持ちかけた静岡県袋井市の農業プラント会社「コスモプラント」(4月に経営破たん)と出資者との間で、出資金をめぐってトラブルがあったことが12日、関係者の証言で分かった。

 地元出資者の関係者は「操業計画はもともと実現不可能だった」として、コスモプラントの関係者を相手に損害賠償請求の準備に入っており、詐欺罪での刑事告訴も検討している。実現不可能な計画で操業開始したとなると、誘致企業として設備投資補助金約5000万円(半分は岩手県負担)を拠出した奥州市の責任問題も浮上しそうだ。

 関係者によると、同社はサニーレタスなど月産19トンを生産する計画で2005年11月に操業を開始したが、半年後の06年5月の時点でも、月平均の生産は計画比の2割弱の約3.5トンにとどまったという。

 計画とあまりにかけ離れた実態に出資者は不信を募らせ、06年5月の株主総会で、大口出資者でもある奥州市内の当時の社長らが、コスモプラントに株の買い取りと経営交代を要求。コスモプラントの社長が社長職を引き受け、株の買い取りにも合意して手形を振り出したが、最終的な支払期限とされた今年4月にコスモプラントは破産。手形は不渡りとなった。

 フロンティア江刺はその直後に操業停止になり、コスモプラントの社長とは連絡が取れない状況が続いている。200万―300万円を出資した岩手県内外の十数人の出資者の間では「だまされた」との声が上がっている。

 前社長は操業停止後の5月末、奥州市内で交通事故死した。フロンティア江刺の工場長だった前社長の長男は「野菜はコスモプラントが一括して買い取る計画だったのに、操業直前になって野菜の仕入れ先も決まっていないことも分かった」と指摘。「どう工夫しても計画通りの生産量は最初から無理だった。だまされたに等しい。訴訟準備中で、刑事告訴も検討する」と話している。

7月13日6時12分配信 河北新報

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070713-00000002-khk-l03