カラスが電柱に巣を作ることにより、県内で毎年停電が発生していることをご存じだろうか。東北電力青森支店によると、カラスが営巣する電柱は平野部が多く、昨年は半数以上が五所川原営業所管内で発見、除去された。近年、巣の数は増加傾向にあり、同支店では「停電事故の未然防止のためにも、電柱に巣を発見したら連絡をしてほしい」と協力を呼び掛けている。
 同支店によると、カラスの営巣が県内で盛んになるのは例年3月から5月ごろ。カラスは巣の材料に木の枝のほか、針金製のハンガーなどの金属類も使う。この金属類が電線に接触したり、巣が水を含んで電気を通しやすくなったりした場合、停電が発生する可能性があるという。
 過去10年間の停電件数は2000年の10件をピークに、平均4・2件で推移しているものの、なかなかゼロにならないのが現状。同支店が除去した数は年間平均約1300個で推移しているが、08、09年は平年を上回る1800個台と増加傾向になった。今年も3月だけで約320個の巣が除去されている。
 09年に除去した巣は1813個で、このうち五所川原営業所管内は1041個と、実に6割近くを占める。津軽平野に位置し、周囲に山林が少ないことが、主な原因とみられている。
 同支店では巣を除去すると同時に、営巣させないための取り組みを進めている。カラスが羽を傷つけることを嫌がったり、安定した場所に営巣する習性を利用した機材の設置を進めている。また営巣時期には特別パトロールを実施し、早期発見に努めている。
 同時に停電を未然に防ぐため、巣を発見したら連絡するよう協力を求めている。連絡先は東北電力コールセンター(フリーダイヤル0120―175―366)で、24時間受け付けている。
【写真説明】青森営業所管内の電柱に作られたカラスの巣(東北電力青森支店提供)