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改正少年法:逆送は半数程度…8年間で 家裁慎重に運用

 故意に人を死なせた16歳以上の少年を、原則として家庭裁判所から検察官に送致(逆送)する改正少年法の施行(01年4月)から08年末までの逆送率が、殺人罪で58%、傷害致死罪が51%と半数程度にとどまっていることが最高裁の調べで分かった。改正少年法は少年の性格や成育環境を考慮して16歳以上でも逆送せず、家裁による保護処分の処遇も認めており、司法の現場が改正法を慎重に運用している実態が浮かんだ。

 最高裁によると、改正少年法施行以後の8年間に殺人罪が適用された16歳以上の少年は118人で、逆送されたのは68人(逆送率58%)。傷害致死罪は263人中133人(同51%)だった。強盗致死罪は79人中56人(同71%)と高い逆送率になった。

 一方、改正少年法が施行される前の10年間は、殺人罪(未遂を含む)が25%、傷害致死罪9%、強盗致死罪42%で、施行後の逆送率が大幅に上がったことも裏付けられた。

 逆送対象となった重大事件では、奈良県で16歳の高1男子が自宅に放火し、母子3人を焼死させた事件(06年/中等少年院送致)▽16歳の高1男子による山口県上関町の祖父母殺傷事件(07年/中等少年院送致)--などで、家裁が保護処分を選択している。

 殺人事件などに関与した少年を原則逆送し、刑事裁判を受けさせるとした少年法の改正を巡っては、少年の保護更生を理念とした少年法の理念に反し、更生にもつながらないとの意見が法曹界や専門家の間に根強かった。

 また、元東京家裁主任調査官の藤川洋子さんは「殺人は家族間が中心になることや、傷害致死は成人との共犯の場合も含まれることから、情状を考慮して保護処分を選ぶケースが多い」と、逆送率が半数程度にとどまる背景を分析する。

 改正少年法施行前の00年には西鉄バスジャック事件など「キレる17歳」の犯罪が相次ぎ、施行後の運用が注目されていた。【川名壮志】

毎日新聞 2010年5月4日 11時20分(最終更新 5月4日 12時04分)

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