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きょうのコラム「時鐘」 2010年5月5日
7カ月も練りに練った命がけの腹案とはこれだったのか。意外性も苦渋の決断の跡も見られない
「どうせそんなところだろう」と皆が思っていた通りの案を並べて沖縄へ再度負担のお願いである。怒り、落胆、失望などの言葉が飛び交っているが、普通の感覚の持ち主ならとてもできない対応だ。鳩山首相の不思議な思考回路を心配したくなるほどである 先日の基地県内移転反対集会を地元の女子高生たちが取材した。その後に感想を話していたのを放送で聞いた。県外移転をためらう女生徒の言葉が胸にしみた。同じ日本人として「人のいやがるものを押しつけるのは何だかいや」と 日本国内の米軍基地の7割強が沖縄に集中している。なぜ沖縄だけが犠牲を強いられるのかとの思いが基地移転の力となっている。その現実を十分知っていて、なお女生徒はそう言うのだった。戦後65年の沖縄の苦悩がここにある わずかでも「県外」の名がつけば公約違反にはならないと見る分析もある。だから徳之島の名を出すなら、これほど島民を愚弄(ぐろう)した話はない。「最低でも県外」の実態は「最低の県外案」である。 |