女子72キロ級決勝で鈴木博恵(下)を攻める優勝した浜口京子=代々木第二体育館
「レスリング全日本選抜選手権兼世界選手権代表選考会最終日」(3日、代々木第二体育館)
男女計7階級とプレーオフ3階級を行い、女子72キロ級決勝は、浜口京子(ジャパンビバレッジ)が接戦を制し、13度目の世界選手権(9月・モスクワ)出場を決めた。同55キロ級は、吉田沙保里(綜合警備保障)が9連覇。同63キロ級は伊調馨(綜合警備保障)が、決勝で山本聖子(スポーツビズ)を下して優勝した。最優秀選手には、男子フリースタイル66キロ級の米満達弘(自衛隊)が選ばれた。
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試合終了の瞬間、浜口は自らの勝利を確かめるように周囲を見回した。「勝ったのは分かっていたけど、いつものクセで周りを見てしまって。(優勝は)奇跡としか言いようがない」。昨年の全日本に続く優勝に笑顔を振りまいた。
薄氷を踏むような勝利だった。10歳年下の鈴木博恵(立命館大)との決勝戦。第1ピリオドを失い、最終第3ピリオドも1‐1ながら、何とかラストポイントを取った。2年ぶりの世界選手権の切符に「また日本代表になれたことがうれしい」と素直に喜んだ。
32歳のベテランが達したのは「無」の境地だ。「17年やって、こんな気持ちになったのは初めて。やるべきことはやった」と振り返った。今後は年齢との闘いにもなるが「実績、経験を生かしながら、一日でも長くマットに立ちたい。まだまだ限界じゃない」‐。次なる目標は、もちろん「世界一」だ。
(2010年5月3日)