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健康まさかわたしが?急増する新型・栄養失調の恐怖

2010年4月28日放送

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飽食の時代を迎えた日本。
しかし今、戦中戦後のように栄養失調になってしまう
人が増えているといいます。
「低栄養」です。
不景気が原因ではなく、
栄養に気を使っている人も、
3食きちんと食べている人も、
誰でも「低栄養」になってしまう危険があるのです。

平成の栄養失調とも言える「低栄養」は、
体型や食欲では判断できません。
なのに「貧血」「脳出血」「肺炎」「骨折」など
体のあちこちで怖い病気を引き起こしてしまう、
深刻な状態なのです。

いったい「低栄養」とは何なのか?
そして「低栄養」を引き起こす意外な原因とは?

そのメカニズムとわかりやすく紹介するとともに、
「低栄養」を予防・改善する
目からウロコ、超かんたんな食事法を紹介します!

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番組ディレクターからのひとこと

ちょっとせつない「低栄養」の話

以前から
「ちゃんと栄養がとれていない人がたくさんいる」
という話は専門家から聞いていました。
この時代にホントなの??
と思っていましたが、
今回取材してみて、とても意外な、でもなるほど、
というような”ある原因”で
簡単に低栄養になってしまう高齢者が
たくさんいらっしゃいました。

会う人、会う人が
ことごとく”同じ原因”で低栄養になっていたのです。
思わず、「自分の親は大丈夫だろうか?」
そして、「将来自分は大丈夫だろうか?」
考えてしまいました。

食とは?そして家族とは?
「低栄養」の背景にあった現代ならではの意外なテーマ
みなさんはどうお感じになりますか?

これが平成の栄養失調だ!

東京都に住むAさん(87)は数年前からよく転ぶようになりました。そして去年、階段から落ち、骨折
病院で調べたところ、低栄養がその背景にあることがわかりました。
でもAさんは食欲おうせいで3食きちんと食べていました。本人も「栄養が足りない」と指摘されたことに納得がいきません。

また、Bさん(84)は低栄養と同時に、結核になってしまいました。Bさんは糖尿病を患っていたため、人一倍栄養には気を使っていました。そのため、自分が低栄養になったことに納得がいきません。

ちゃんと食べていたはずの人が、なぜ低栄養(栄養失調)になってしまったのでしょうか?

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低栄養とはタンパク質不足!

実は低栄養かどうかは血液中の「アルブミン」という成分の量で判断されます。
(3.5g/dl以下で低栄養、3.8g/dl以下で低栄養予備群)

アルブミンとはタンパク質の一種で、血液を流れている血清タンパク質のおよそ6割を占めています。つまり低栄養とは「タンパク質不足」のことなのです。
タンパク質は体のさまざまな組織をつくる材料になります。そのため不足すると、
赤血球の材料が少ない→「貧血」
血管を作る材料が少ない→「脳出血」
免疫細胞を作る材料が少ない→「肺炎」「結核」
筋肉を作る材料が少ない→「転倒」→「骨折」
               などなど・・・・
低栄養はこのようにさまざまな病気につながってしまうのです。

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タンパク質の充実が長寿を作った!?

日本人の食事を振り返ってみると、戦後まもない頃までは伝統的な日本食、ごはん、みそ汁、漬け物、煮物、魚が中心でした。
しかし、これでは十分なタンパク質が摂取できていませんでした。当時は結核や肺炎、脳出血で亡くなる人が多かったのです。

そのため、栄養改善活動が始まります。肉や卵を油で調理するような「フライパン運動」や「キッチンカー」を使った洋食の紹介などが進められました。日本人の食卓に洋食が徐々に増えていきます。

こうした栄養改善の成果もあって、結核や肺炎・脳出血の死者は激減、日本は世界一の長寿国になっていきました。伝統的な日本食に肉や卵など少々の洋食が加わって、必要なタンパク質がとれるようになったのです。

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高齢者が低栄養になる意外な理由

低栄養になってしまったAさんの食事を見てみると魚は食べているものの、肉は1週間に一度も食べていませんでした。でもAさんは決して肉が嫌いなわけではありません。

ではなぜ食が偏ってしまったのか?

実はAさんも以前は肉や卵を食べていました。それは息子や夫のために栄養や好み考えて、毎日料理をした結果でした。

ところがひとり暮らしになってからは、自分の好きな物しか食べなくなりました
さらに、健康のため魚や野菜などを勧める健康情報もあふれるようになっていきます。
その結果、好きでも嫌いでもなかった肉や卵は食卓に並ばなくなってしまい、気がつかないうちにタンパク質不足になってしまったのです。
※肉や卵も偏食だとタンパク質不足になりやすくなります。

ある調査によると、低栄養だった124人中、112人がひとり暮らしか、高齢者世帯でした。高齢者の孤食が「低栄養」の危険を高くするのです。

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高齢者を元気にした食事法!

秋田県の旧南外村(大仙市)では14年前から、ある食事法を取り入れて高齢者の栄養改善を行ってきました。その結果、低栄養の人が1/3に、そして動脈硬化のなりやすさが減少、さらに以前は低かった村の平均寿命が急上昇、全国平均に追いつきました

その食事法とは、毎日食べるべき10品目を表にした一枚のシートに凝縮されています。これを使うと自然と必要なタンパク質をとれるようになり、低栄養が改善、病気になりにくくなって平均寿命も延びたのです。

※このシートを使うと、嫌いな物も食べようとするため、自然と食べ過ぎも抑制できると言われています。

<10品目シートの使い方>

  1. その食品群を食べたらを書き込み、の数で1日10点満点、毎日の食生活を点数化していきます。
  2. 量は少しでもOK!
    (例:のりを一枚でも食べたら、海藻は
  3. 牛乳は乳製品(ヨーグルト・チーズなど)も含みます。
  4. 表は10日で100点満点、なるべく満点を目指しましょう!

[ 10品目シートダウンロード(PDF) ]
(NPO法人国際生命科学研究機構 作成)