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イーグルヒット 小出宏実の恐慌情報レポート速報版
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【恐慌アーカイブ】ゴールドマンの予測はなぜ当たる2010年5月 4日 20:27

※本記事は2010年4月2日に会員向けに提供された情報です。

 

 

将来を予測することは、誰もが困難に思うだろう。もし未来がわかれば、もっと楽に暮らせたり、場合によっては大儲けできると思うことなど一度や二度ではないはずだ。

だから、巷の書店でも、予測や予言の類が散見され、また宝くじや競馬などの予測やノウハウ本などの類も、廃れずにあるのだろう。逆にいえば、それだけ未来の予測が難しいということを意味している。なぜ、一般的に予測は難しいとされるのか。

 

不肖、私も「未来経済情報学」なるものをつくり、それを基に"予測"することはある。経済においては、統計や分析などの理論的な推計から経済予測をする手法が一般的である。それは確率である。過去の統計より将来のこうなる確率が高いということを示しているだけである。

 

0504riemanshock.jpgだが、よく考えていただきたい。リーマンショックをどの経済学者も専門家も予測できなかったのである。(金融危機を予測したルービニ教授は有名だが、これには裏がある)

 

私たち一般人も、日常の延長や過去の経験値から、ある確率(確信)をもって予測することはできるだろう。天気予報などはその典型である。それだけならば、私たちは将来について他の予測をあまり必要としないし、本なども売れないはずである。それでも予測を必要としているのは、思いも寄らない「想定外」のことが起きるからである。これが私たちの生活や人生に影響を与えることになりかねない重大事項だからだ。

 

経済予測もまさに「想定外」の事柄によって大きくはずれてしまうのである。極めて起きうる確率が低いからだ。(だから想定外なのだが)リーマンショックも想定外だったのだ。だから、パニックとなり、金融危機が生じたのである。市場が織り込んでいれば、これほどの危機に陥らなかったはずである。

 

0504gokldman.jpgしかし、である。このリーマンショックが起きることを知り得た人間たちがいるのも、また確かなのである。つまり、彼らにとっては「想定外」ではないのだ。想定内だから対処できることになる。

 

ここまで言えば、賢明な方ならおわかりになろう。

「ゴールドマン・サックスの予測はなぜ当たるのか」

この設問にすべての解答が隠されている。

つまり、自分たちで将来を予測し、その予測を実現させているからである。

 

0504wallgai.jpg全く逆も言える。嘘の予測をし、自分らは反対取引を行い、ボロ儲けしているのである。

市場の動きと正反対のことをすれば、大儲けできるというのが株などの世界の"常識"であるから、インサイダー取引が後を絶たないわけである。(いや、公言ははばかるが、インサイダー取引でしかこのバクチの世界は儲けることができない

 

このゴールドマンの手法が将来を最も確実に言い当て、さらに儲けることのできる方法ではある。

但し、これを行うには莫大な資金が必要となり、一般人には不可能に近い。従って、私たちができることは、ゴールドマン連中の動きを観察することである。さらにゴールドマンを動かしている国際金融資本家らの動向を見極めることである。

勿論、その手の情報は一般マスコミには流れない。資産運用などでコネクションをもつ資産家や市場の裏側に通じた人間であれば知り得ることであり、彼らの発信する情報を基にすることである。(無論、吟味は必要である。誘導の場合もある)

そのような意味でネットに溢れる玉石混淆の情報の中から、真に近い裏情報を収集することも有益であろう。

 

0504kinnyuuksennsou.jpg大局的にみれば経済はつくられており、計画に基づいて動いている。だから、これは予測ではなく、実行するか否か、どのタイミングで行うかどうかだけの判断である。

この観点から将来を"観測"し、来るべき危機に備えることも、一攫千金を狙うことも可能となるのである。少なくとも将来の起きうることから生活を守り、身を守ることさせもできるようになるであろう。

 

★ECBのギリシャ救済が招くモラルハザード2010年5月 4日 12:14

 

EU、IMFに続いて、ECBもギリシャ救済措置に動いたようだ。

 

ECB、ギリシャ国債の担保基準適用を停止

0504ECB2.jpg欧州中央銀行(ECB)は3日、金融機関に資金を供給する際に担保として受け入れる国債の適格基準について、ギリシャ国債については、今後通知するまで最低格付け基準を適用しないと発表した。ギリシャ政府が発行もしくは保証する新発・既発の国債が対象。

 今回の措置に伴い、格付け会社フィッチ・レーティングスとムーディーズ・インベスターズ・サービスが、スタンダード&プアーズ(S&P)に続きギリシャのソブリン格付けをジャンク(投機的)等級に引き下げたとしても、ギリシャ国債は引き続きECBの公開市場操作の担保として認められることになる。ECBが担保条件を変更するのは、今回が過去約2カ月で2度目となる。前日には、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が総額1100億ユーロ(1460億ドル)のギリシャ支援で合意したばかり。

 ECBは声明で「理事会は(ギリシャの債務削減)プログラムを精査し、適切であると判断した」とし「最低格付け基準を適用しないとの決定の根底にあるのは、こうした判断に加え、ギリシャ政府の同プログラム実施に向けた強いコミットメントがある。さらにリスク管理の面も勘案した」とした。同様の措置がポルトガル、スペイン、アイルランドなどに対しても実施されるかとの質問に対し、ECB理事会メンバーのオルファニデス・キプロス中銀総裁は記者会見で「この件に関して議論に上がったのはギリシャのみだった」と答えた。

 S&Pは前週、ギリシャのソブリン格付けを3段階引き下げ、ジャンク(投機的)等級となる「BBプラス」とした。ムーディーズも格付けを引き下げる可能性を示している。ECBが公開市場操作で担保として受け入れる最低格付け基準は通常「BBBマイナス」。【ロイター 5/3 23:24

 

 

EUやIMFに比べ、後手に回っているECBの救済措置は、モラルハザードを引き起こす可能性がある。つまり、いくら格付け会社が格下げを行っても、ギリシャ国債を保有する銀行にはECBから資金調達ができるということであり、記事中に<同様の措置がポルトガル、スペイン、アイルランドなどに対しても実施されるか>という質問があるように、他国においても同様な問題が生じれば、同じ措置が講じられる含みを持たせている。

いわば、格付け会社の格付け判断は意味をなさないことになる。

そして、今回の措置により、ギリシャ国債を売却した投資家らは損失を被ることになるわけである。

 

0504torisye.jpg裏を返せば、以前にも指摘したように、ユーロを危機に追い込もうとする格付け会社やヘッジファンドらへの対抗手段であり、ECBの抵抗とも言える。

 

いずれにしても、英米を中心とするユダヤ金融マフィアとユーロ防衛しようとする欧州貴族らの"金融戦争"がしばらく繰り広げられ、市場は一進一退、乱高下する相場となるので、素人投資家が手出しできる相場ではないことは言えるだろう。

彼らの抗争の果て、金融市場はもはや機能しないほど、信認が失われていくのである...。

 

★中国経済、9~12カ月以内にクラッシュ!2010年5月 3日 20:00

中国経済崩壊の予測である。

 

中国経済は9~12カ月以内に「クラッシュ」も-投資家ファーバー氏

0503faba.jpg投資ニュースレター「グルーム・ブーム・アンド・ドゥーム」を発行する著名投資家のマーク・ファーバー氏は、中国経済は減速し、今後9~12カ月以内に「クラッシュ」する可能性があるとの見通しを示した。ファーバー氏は、香港からブルームバーグテレビジョンのインタビューに答え、「さまざまなシグナルがある。大規模バブルのあらゆる兆候が見られている」と指摘。「いずれにせよ中国経済は減速する。そればかりでなく、今後9~12カ月以内にクラッシュする可能性もある」と語った。

中国株の指標、上海総合指数は、年初来騰落率がマイナス12と、ブルームバーグが集計する92の世界株価指数でワースト4位。府の不動産価格抑制措置や預金準備率引き上げがマイナス要因となっている。ファーバー氏は、政府の不動産投機規制を受けて投資家の資金は株式市場に向かうかもしれないが、株価には割高感があると指摘。その上で、国内投資家は金への投資を積極化する可能性があるとの見方を示した。(中略)同氏はさらに、1873年にウィーン万国博覧会が開催されたものの、1870年代が株安と不況に見舞われていたことを引き合いに出し、上海万博の開幕を「特に明るい前兆」とは言えないと指摘した。【ブルームバーグ 12:28

 

 

これまでも中国の資産バブル崩壊は幾度と無く取り沙汰されており、私も指摘してきているが、ファーバー氏が19世紀のウィーン万博を引き合い 0503wxinebanpaku.jpgに出しているのは興味深い。

日本が明治政府を樹立後、初めて参加した万博であり、当時のウィーンは証券市場の暴落やコレラの蔓延により入場者数が伸び悩んだという。ファーバー氏はそれと重ね合わせて中国市場をみているようだ。

 

上海万博が閉幕する10月以降、中国経済は失墜するという説もあるが、私にはもっと前倒しでくるだろうと思われる。無論、中国一国ではなく、世界の株式市場がそれまでもたないからである。

 

以前にも述べたように5月以降の金融市場は軟調となり、6月から7月にかけて大きなネガティブ・イベントが起きてくるだろう。現在進行中のゴールドマン問題や欧州危機がその前触れに過ぎず、本格的な世界恐慌へと突入 0503bannpakuhanabi.jpgしていくことを意味している。

 

上海万博は、世界経済失墜前の最後のあだ花であることが鮮明になってくるだろう...。

★金総書記訪中の意味...2010年5月 3日 15:03

かねてから取り沙汰されていた金総書記の訪中が実現したようだ。

 

金総書記、大連に到着か 特別列車が中国入り

0503kita2.jpg北朝鮮の特別列車が3日早朝、中朝国境沿いの新義州市から中国の遼寧省丹東市に到着した。北朝鮮の金正日総書記が使用する特別列車とみられ、金総書記が訪中した可能性がある。この後、要人を乗せたとみられる車両が丹東を出発、大連に到着した。訪中した場合は2006年1月以来、約4年ぶり。胡錦濤国家主席らと会談し、北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の再開や経済支援を巡り協議するとみられる。

 特別列車は午前5時過ぎ(日本時間同6時過ぎ)、中朝国境の鴨緑江を渡る鉄橋をゆっくりと通過。特別列車は濃い緑色で、過去に金総書記が訪中の際に使用した列車と同じものとみられる。鉄橋近くのホテルや丹東駅周辺などでは厳重な警備態勢が取られた。この後、丹東から車両で出発、昼前に大連に到着したもようだ。

 訪中が確認されれば、08年に健康不安説が浮上してから初の外国訪問になる。北朝鮮にとっては中国から経済支援を引き出したい思惑があるとともに、3月の韓国艦艇沈没を巡る「北朝鮮関与説」に関して自らの立場を中国首脳に直接説明するとみられる。金総書記の三男で後継者との観測もある金ジョンウン氏が同行しているかも注目される。

 金総書記はこれまで00年5月、01年1月、04年4月、06年1月にも訪中。06年は中国で改革・開放が進む広東省の電力、港湾、通信など社会基盤の関連施設を多く視察し、経済改革の参考にしたとされる。大連には、北朝鮮北東部の経済特区羅先市の羅津港整備などに投資している中国企業があり、こうした企業を視察する可能性がある。【日経新聞 12:59

 

 

0503kita-kinei.jpg現在、上海万博が開幕し、北朝鮮も初めてパビリオンを展示しており、すでに北の№2、金永南最高人民会議常任委員長が開幕式典にも参列している。

金総書記の訪中のポイントは、2つあるだろう。

 

一つは、最近来、北朝鮮が推進している海外投資誘致である。破綻している経済状況にあって、海外からの投資を受け入れるべく投資誘致機関をこの1月に開設している。記事にもあるように中国はもっとも投資誘致が期待できる相手である。

 

もう一つは、韓国艦艇沈没を巡る問題であり、北朝鮮関与は疑いないが、今後の半島有事に絡んだ密談が行われる可能性がある。

無論、表向きは韓国艦艇撃墜の犯行を否認し、国連安保理にかけられても強硬姿勢を崩さず、韓国及び米国との対決姿勢を強めていくだろう。

 

実は、米国の対北強硬派は、対日強硬派と同列であり、普天間米軍基地問題と絡んだ動きを見せている。日本側の決断を待つ前に、有事が想定されており、米軍基地問題が実質なし崩し的に先送りされる可能性も出てきているのだ。

 

少なくとも、5月中にも北朝鮮が示威行動としてミサイルを日本海側へ発射する動きもある。再び、半島情勢を緊張させることで、米国経済の危機的状況を先延ばしにすることが彼らの主眼であり、オバマ政権も中間選挙の戦略を加味し、それで手を打つことが充分ありえる。

 

有事や戦争というものが一国の事情や国同士の利害対立という表向きの理由で引き起こされるものではなく、世界戦略の一環として遂行される手段であって、戦後の体制をどうするかが本当の目的である。

そのような意味からも、金総書記もオバマも胡錦濤も"ゲームの駒"にしか過ぎない。

そして、鳩山政権もゲームをお膳立てする"脇役"に過ぎないのは言うまでもない。

 

0503apribanpaku.png今回の上海万博ではサルコジ仏大統領が開幕式典の参加した国家元首であるが、奇しくも1937年に行われたパリ万博以降、大戦のため1958年まで一般博覧会は行われなかった。

2012年開催予定の韓国の「麗水国際博覧会」は、実現できるかどうかは怪しく、中国の"マスゲーム"は将来を暗示しているかのようである...。

 

【恐慌コラム】トヨタの巨利はどこへ消えたのか?2010年5月 2日 22:10

 

リーマン・ショック直後から、自動車産業は大ダメージを受けたが、特にトヨタの失速は日本の実体経済の悪化を象徴するかのように生産の縮小から下請け企業へ甚大な影響を与え、雇用問題に引き起こした。

この辺の事情について自動車評論家の両角岳彦氏の興味深い記事があったので、その一部をお伝えしておこう。

 

◇ ◇

「トヨタの巨大な利益はどこに消えたのか」

 

0502toyota.jpg自動車メーカーが過剰在庫にあわて、生産を極度に絞ることで起こることは、誰の目にも明らかだ。サプライヤー、さらにその下請けと、製造業のハシゴの下方(ものを生み出すプロセスでは「上流」)にいくほど、突然の生産調整、それも「いつまでになるかも分からない」ような生産停止への対処は難しくなる。特に今の日本の製造業の仕組みの中では。それは、こういうことだ。

 

製品の最終組み立てを行う自動車メーカーは、ものの何日かのリードタイムで各日の製造予定と部品発注を確定させ、それぞれの製品が組立ラインを「流れる」タイミングに合わせて、部品がライン脇に着いていることを要求する。トヨタの場合、この製造予定と部品発注の確定は、実に「1日半前」だという。

  0502koujourain.jpgそれに対して、部品を作り、納入する側は、これだけの短い時間の中で素材から生産段取りまでを用意できるわけではない。1日半といえば、発注を受けて即、製造に取りかかり、輸送して要求されている現場に着くだけでもぎりぎりだ。しかも、前にも書いたように、自然災害や交通事情などによる生産や輸送の遅れについても、責任は納入側に預けられている。

 となれば、どこかにバッファー(緩衝帯)を設けなければならない。サプライヤー側が、半年、あるいは1年を通した計画として製品メーカーが提示した大筋の数量に、独自の予測を加味して、何があっても間に合わせるだけの「在庫」を持つことで対応しているのである。

 

 さらにその前段階で、細かな部品類を作る小企業ともなれば、製品メーカーから部品メーカーへと伝わってきた確定発注を待って、素材や段取りを準備したのではまったく間に合わない。

 例えばちょっとした鋼板の板金部品1つを、1日に何千個と作る小さな工場があったとしよう。彼らも彼らなりに在庫を持ったり、発注量によっては早朝から働き詰めで予定数が仕上がるまで残業する、といった日々を送る。

  0502jastin.jpgしかし、その素材、かなりの量の鋼板は、即日手に入るわけではない。むしろ零細だからこそ、何カ月も前からおよその分量を予約して、手形や現金での日々の支払いを滞らせないようにする以外にない。

 ということは、製品メーカーが半年前に予告していた生産計画を突然変更し、工場を止めるまでの減産に入れば、3次、4次・・・と連なる零細な「下請け」企業はその場で資金繰りが行き詰まる可能性に直面する。もちろん1次、2次のサプライヤーだって楽ではない。(中略)

 

世界バブル崩壊の中で、トヨタは自分たちの在庫を減らし、急減速した需要に対応した生産量に落ち着かせるべく、工場の稼働停止を含む強烈な生産調整に走った。それだけである。他の自動車メーカーも同じだったが、製造業の上流側に対しては「緊急事態なので、皆さん、それぞれに何とかしてください」に終始した。

0502tyotademo.jpg しかし、トヨタは、最低でもそれまで数年にわたって巨額の利益を上げ続けてきていた。少なく見積もっても10兆円は手元に残せているはず。ならば、それを背景に、特にサプライチェーンの末端に至る中小企業の資金繰りに協力することができたはず。例えばトヨタが低金利融資の保証をする程度のことからでも手をつけ、関係企業の相談を受けるだけでも、末端に至る企業や労働者の混乱はずいぶん小さくなったはずなのだ。かつてのトヨタならば、こういう事態に備えていたはずだった。しかしトヨタの経営陣は、自社を守ることに走っただけだった。(中略)

 

その実態は、決算資料をざっと見渡すだけでも垣間見えてくる。

2007(平成19)年3月期の決算では純利益が16440億円。その背後では、投資系の資産が7354億円、有形固定資産として8600億円となっていた。20083月期決算になると、純利益が17179億円に対して、投資系の資産はほぼ66000億円、有形固定資産は78000億円ほど。

 ところがリーマン・ショックを挟んだ20093月期決算では、純利益は4369億円の赤字に落ち込んだ。これは大きく報道されている。それよりも注目すべきは、投資系資産の損失額が18800億円に達し、有形固定資産も4100億円マイナス、資産全体の損失はおよそ34000億円、総資産の1割を失っていることだ。

 

これは、決算報告要旨に記載されている大まかな、そして対外的に公開している数値にすぎないわけで、トヨタの「金庫」の中身がさらに厳しい状況に陥ったことは容易に想像できる。別の見方をすれば、トヨタはバブルの中で手にした巨額の利益の多く、2008年時点で言えば総資産の4分の1かそれ以上を、バブルそのものであった投資市場に注ぎ込んでいた、と見ていい。それが一瞬にして「溶ける」状況に直面したのだから、2008年秋のあの時期に、経営陣がパニックのような反応を見せたことは分からなくもない。(中略)

 

それにしても、ここに記した数字は、ホームページなどでも公開されている決算報告要旨から抜粋したものであり、誰でも閲覧できる。それにもかかわらずメディアは、そしてアナリストなども、この資産の喪失にはほとんど言及していない。このご時世、投機に資金を注ぎ 0502toyotaakio.jpg込み、バブルが弾けてそれが「溶けて」消えるのは珍しくもない、ということか。

 しかし、ほんの一世代前までのトヨタの企業像が頭に残る人間としては、投資で資産を膨らまそうとすること、自分たちの製造活動を支える根にまでの目配りが薄れたこと、そしていざという時に腰が据わらないこと・・・。もはや「かつての」トヨタではなくなった、と思ってしまうのである。(後略)

/30 JBpressより】

◇ ◇

 

生産下請けシステムの詳細と、トヨタの危機の真相が描かれており、示唆深い内容である。"ジャストインタイムシステム"など完璧なまでの生産下請けシステムによって高品質と生産性を誇り、世界で栄華を極めていたトヨタの失速が、単に金融危機にあるのではなく、稼いだ莫大な利益を金融市場に投資していた経営陣の失策が根本にあるということだ。

その後のリコール問題なども含め、それまで精巧(成功)を極めていたトヨタの"歯車"が狂いだしているのは、もはや否定できぬ存亡の危機を生んでいるのである...。

 

★ギリシャ15兆円協調融資決定!2010年5月 2日 18:27

 

ギリシャがEUとIMFから正式に協調融資を受けることに決まった。

 

ギリシャに15兆円支援 欧州連合と国際通貨基金

0502girisya-papa.jpgギリシャ政府と欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)は2日までに、ギリシャによる最大240億ユーロ(約3兆円)の追加緊縮策と引き換えに、3年間で1200億ユーロ(約15兆円)規模の協調融資を実施する計画に合意した。パパンドレウ同国首相が2日の閣議で明らかにした。1999年の欧州単一通貨ユーロ発足後、ユーロ導入国への協調融資が行われるのは初めて。

 パパンドレウ内閣は閣議で緊縮策を了承。ユーロ圏(16カ国)財務相も同日、ブリュッセルで融資計画を協議。ユーロ圏首脳会議とIMF理事会の正式決定を経て第1弾の支援が実行される見通し。ギリシャはEUとIMFの共同管理下で、危機に陥った財政の再建に取り組むことになり、ユーロの信認は大きく傷ついた。【共同通信17:50

 

 

約3兆円の追加緊縮策の具体的なことは記事から明らかではないが、IMFの管理下にはいることには変わりなく、IMFの厳しい条件が突きつけられるようだ。

ここまで報じられているギリシャの緊縮策を挙げておこう。

 

◆公務員の賃金カットにより年間14億ユーロを節減する。

◆付加価値税の上限を21%から2324%への引き上げる。

◆高所得者への年金給付額の引き下げ。

(WSJより)

0502girisyademo.jpgこれで、国内では公務員や労働組合が反発し、ストライキやデモ、抗議活動が激化している

金融市場は、この緊縮策と支援により落ち着きを取り戻しつつあるが、一過性の可能性がある。国内政情不安だ。ストライキやデモなどが全国的に広がっており、暴動や破壊活動が勃発し、政府による弾圧や場合によっては政権が崩壊する可能性もあるだろう。

むろんこれらが金融市場を不安定化させることは言うまでもない。

 

ユーロはまだギリシャという爆弾を抱えていることには変わりないのである...。

 

★金融改革は、大手銀を壊滅していく...2010年5月 1日 20:00

 

現在、米議会上院で審議されている金融規制改革案であるが、これまでも指摘したとおり、大手銀行は事業縮小される公算が高くなった。

 

米銀大手は事業縮小の必要も-上院議員らが金融改革法案で修正案検討

0501citi.jpgシティグループバンク・オブ・アメリカ(BOA)など米銀大手は、米上院での金融規制改革法案審議で浮上してきた修正案が実施されれば、事業の縮小や売却を余儀なくされる可能性がある。

 上院は肥大した金融機関の経営破たんで米経済が脅かされる事態を回避するため、銀行の預金や資産のシェアを制限したり、投資銀行機能を商業貸し付け事業から分離する修正案を準備している。

 バイロン・ドーガン上院議員(民主、ノースダコタ州)は「大き過ぎてつぶせない金融機関は、わたしの見地からすれば大き過ぎる」と述べ、これらの金融機関に一定の事業売却を義務付ける修正案を来週提案することを明らかにした。

 シェロッド・ブラウ上院議員(民主、オハイオ州)とテッド・カウフマン上院議員(民主、デラウェア州)は、銀行の預金以外の負債の上限を国内総生産(GDP)の2%(約2800億ドル=約26兆円)とする修正案を提出している。カウフマン議員の事務所が公表した提案概要によると、シティやBOA、JPモルガン・チェースなどを含む米銀行持ち株会社大手約9社は事業を4割縮小する必要が生ずるという。【ブルームバーグ 16:09

 

 

ゴールドマンショックの余勢を駆って金融規制改革法案が実現されていくだろうが、記事にもあるように、元のおとなしい商業銀行に戻されるということである。

単にリテール部門のみの商業銀行になるであればよいが、バンカメやJPモルガンなどは、投資証券部門で大きな利益をあげており、リテール部門ではほとんど 0501bankame.jpg利益がでないどころから、融資部門に置ける住宅不動産ローンや商業不動産ローンの焦げ付きが激しく、投資部門を分離されれば、バンカメ、JPモルガンは一気に破綻懸念が増大するだろう。(特にバンカメは危ない)

 

むしろ、ゴールドマンは商業銀行から元の投資銀行に"格下げ"になった方が喜ぶことになる。

 

そのように考えれば、今回のゴールドマンショックは、単にゴールドマン対SEC、あるいは国民世論を見方に付けた米政府対ウォール街という構図だけではな 0501goldman.jpgいことがおわかりになろう。

ゴールドマンは利用されつつ、自らを利用し、来るべき金融秩序の崩壊と新たな再構築のための起爆剤となっているのだ。

 

今後の金融動向の見方として、大局として上から眺める俯瞰と、現在進行形の局面を見極めながら、どのような方向へむかっているのか、あるいは、どんなサプライズが待っているのかを予期していくことが肝要であろう...。

 

★米銀破綻64行目!三菱UFJ買収戦略、功を奏するか・・・2010年5月 1日 13:19

 

0501FDIC.jpg昨日、米FDIC(連邦預金保険公社)が、ワシントン州のフロンティア銀行など7つの預金取扱金融機関が業務を停止したと発表し、今年に入り破綻した米銀は64行目となった。昨年は140行が破綻した昨年は4月末時点で29行だったことから、昨年を上回るペースで米銀破綻が加速している実態が浮き彫りになっている。

不動産市況の低迷が主因とされており、不動産価格が回復しない限り、破綻はさらに増大していくだろう。

 

 

今回破綻したフロンティア銀行に対して、三菱UFJが全額出資する米ユニオン・バンクが買収に乗り出したようだ。

 

三菱UFJ傘下の米銀、破綻米地銀を買収 ワシントン州 総資産約3000億円

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フォームの終わり0501UFJ.jpg菱UFJフィナンシャル・グループ/async/async.do/ae=P_LK_ILCORP;bg=0070182;dv=pc;sv=NX傘下の米地銀ユニオン・バンクは4月30日(日本時間1日)、米連邦預金保険公社(FDIC/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3EAE6E6E1E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX)が破綻認定したフロンティア銀行(ワシントン州)を買収する。米国の地銀は1年半で約200件が破綻している。ユニオン・バンクによる米銀の買収は4月に入って2件目で、今後も受け皿銀行として名乗りを上げるとみられる。

 フロンティアの総資産は32億ドル(約3000億円)で、日本の中堅地銀級。ユニオン・バンクは4月16日、タマルパイアス銀行(カリフォルニア州)を買収したが、総資産は6億ドル(約560億円)で信用金庫・信用組合クラスだった。買収額はいずれも非公表。

 FDICは4月30日の営業終了後、資産・負債/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3EAE5E3EAE2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXを引き受け、即座にユニオン・バンクに譲り渡す。フロンティアの支店は3日以降、ユニオン・バンクとして通常通り営業する。ユニオン・バンクはFDICとの間で、貸出資産から発生した二次ロスの多くをFDICが補償する契約を結んでおり、買収後の損失リスクを抑えることもできたようだ。

 三菱UFJは2009年9月、100%出資子会社のユニオン・バンクに対し、20億ドル(約1800億円)の追加出資を実施。不良債権/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E5E7E0E3E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXを処理し、米国でのM&A(合併・買収)も視野に体力を増強した。ユニオン・バンクの最近の業績は3四半期連続で増益で、買収に乗り出す素地が整っていた。ユニオン・バンクは総資産860億ドル(約8兆円)で、カリフォルニア州を中心に約350支店を抱える大手地銀。フロンティアはワシントン州やオレゴン州を地盤に51店営業しており、ユニオン・バンクは今回の買収で米国の太平洋側全体の営業網を強化できる。【日経新聞10:14

 

 

以前にも指摘したことがあるが、地銀買収は恐慌戦略であり、大きいものが小さきものを食い尽くし、肥大化していくことで、恐慌を乗り切るという戦略である。

三菱UFJがユニオン・バンクを利用し、M&Aを推進しているように思われるが、実際のところJPモルガン・チェースの後押しである。ユニオン・バンクがある程度食べ尽くしたところで、最後にJPモルガンがそのユニオン・バンクが喰うという弱肉強食の世界が待っている。

 

それ以前に危惧されるのは、FDICの財源問題である。以前からも指摘されているが、今後さらに地銀破綻が相次げば、もはやFDICも保証することはできず、FDIC自体が連邦政府により解散なり改革が行われる可能性がある。

そうなれば、FDICの保証の上にM&Aを進めていたユニオン・バンク=三菱UFJが一気に莫大な損失リスクをかぶることになる。

 

果たして、三菱UFJの戦略が功を奏するかどうか。

米国の経済と運命を共にすることは目に見えているが...。

 

【知っておきたい用語集・固有名の補足】
恐慌とは(きょうこう):深刻な景気後退と経済の混乱状態を指す。特に1929年10月24日にニューヨーク証券取引所での株価大暴落から始まった世界的な景気の後退のことを世界恐慌と呼ぶ。
当サイト内重要記事?恐慌時の対策 英ポンド暴落の真相 恐慌の仕掛け人が動き出した 丑年の日本株は十二支中で最悪、過去は多数の金融事変

豚インフルエンザ:A型インフルエンザウイルス(主にA型のうちのH1N1型)の感染による豚の呼吸器疾患。通常は人に感染しないが、豚を直接触った人の感染が散発的に発生、人から人への感染例もある。症状は通常のインフルエンザと似た発熱やせき、嘔吐(おうと)など。

パンデミック(pandemic):感染爆発。感染症や伝染病が世界的に大流行すること。

米ドル離れ:米ドルは今まで「有事のドル買い」と言われるほど世界の基軸通貨としての地位を確立していた。しかしサブプライムローン問題以降、主要通貨に対する下落が著しく、その信用力にかげりが見え始めている。産油国にもドル離れの動きが顕在化しており、世界中で使用される決済資金の中で、米ドルが占める割合は低下傾向にある。

金価格:金価格には世界金価格、ニューヨーク金価格、現物金価格、金相場価格、金塊価格などの種類がある。 これらの価格は世界中の様々な取引場所において1トロイオンス(約31.1グラム)における取引価格の指標となっている。日本の「国内小売価格」は1トロイオンスの価格をグラムあたりで円換算し、調達コストなどを加えたものが国内小売価格となる。

CDS(クレジットデフォルトスワップ):債権を保有したまま、信用リスクのみを移転することができるデリバティブ取引であり、ある企業が務不履行や破綻などの信用事由が起こった場合、お金が支払われる保険商品である。

グリーン・ニューディール:アメリカ・オバマ大統領の掲げる景気対策の一つ。風力など代替エネルギーを倍増させ、政府施設の75%を対象に省エネ効率を高める投資などを実施する「グリーン・ニューディール」で約50万人、橋や道路などインフラ(社会基盤)の整備で約40万人、医療、教育分野で、それぞれ数十万人の雇用創出を見込む。

HAARP:高周波活性オーロラ調査プログラム(High Frequency Active Auroral Research Program)。アメリカ合衆国アラスカ州ランゲル・セントエライアス国立公園の西にあるレーダー基地跡地の施設で行われている高層大気研究プロジェクトであるが、軍事転用した場合、電磁波で地下水を加熱することで熱膨張を起こし、地震を起こすことが可能であり、また海面に電磁波照射すると気象の変化を起こすこともできるとされている。原理的には電子レンジと同様のメカニズムで、地震兵器や気象兵器として使用されれば大きな脅威となりうる。

ロスチャイルド家 (Rothschild):ユダヤ系の財閥で、英国が金本位制を採用していた頃、当時の金取引市場を運営していた。イギリス・欧州を中心に金融業・石油・鉱業・マスコミ・軍需産業・製薬など多くの企業を傘下に持つ。ロンドンのロスチャイルド銀行の黄金の間では、ロスチャイルド家当主をはじめ5人で全世界の金価格の値決め(フィキシング)が行われている。

HSBCグループ:1865年に香港で創設された香港上海銀行(The Hongkong and Shanghai Banking Corporation Limited)から発展した、ロンドンに本社を置く金融グループ。事業法人や金融法人向け業務、プライベートバンキング業務を行っている。米経済誌フォーブスの 2008 年版世界有力企業 2000 社番付で1 位を獲得。

不景気に強い業種:一般的に不況に強い業種としては、食品などの日用必需品、医療・薬品、教育、電気やガスなどのインフラ、鉄道などがあります。また、修理・リペアサービス、中古品売買、レンタル等の節約ビジネスなどもあります
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