勝間和代のニュースな仕事術

2010年4月21日

出生率を上げるために若年層の雇用問題を解決しよう!

第38回 子ども手当法成立

 現在、若年層の3分の1が非正規社員の仕事しか得られていません。そして、非正規社員は年収が正規社員に比べて低いうえ、その後の賃金上昇率も低いため、結婚がしづらいのです。

 従って、子ども手当以上に有効な政策は、「正規・非正規の均等待遇の確保」であり、「若年層にも十分な働き口が供給される名目経済成長率の確保」なのです。

 結婚して子供が産まれたカップルに手当を出す政策は評価しますが、そもそも、結婚すらできなくなった若者たちをどうやって支援するのか、国策レベルでは何ら明確な手は打たれていません。

 私が現政権に求めたいのは、子ども手当の成立と同時に、「正規・非正規の均等待遇の確保」を明文化して法案とすること、そして、名目成長率をプラス4%以上とし、そのために物価上昇の誘導を現在の年率0〜2%から、より高い2〜4%にすることです。

 若年層が安定的に雇用され、結婚して子どもが産まれる。それが消費の拡大につながり、そこから経済成長が生まれて税収が増える。そのような好循環を政府が数値目標を立てて作り出すことで、初めて子ども手当は生きてくると考えます。

 子ども手当を機会に、ぜひ日本が長期安定的に成長し続けるための労働政策やマクロ金融政策にも意識を向けてください。

より深く理解するための1冊
「婚活」時代
山田昌弘、白河桃子 著/ディスカヴァー携書/1050円

2009年度の流行語大賞にノミネートされた「婚活」。この言葉を生んだオリジナルの本です。なぜ「就活」ならぬ、「婚活」(結婚活動)が必要になってきたのか。昔なら大抵の人がある年齢になれば自然にできた結婚が、なぜ今はできなくなって、晩婚化・非婚化が進んでいるのか。結婚問題に詳しい社会学者の山田昌弘氏とジャーナリストの白河桃子氏が、社会的な環境変化を様々なデータに基づいて分かりやすく解説。結婚するには、従来の伝統的な結婚観から新しい結婚観へと意識を転換する必要があることを提言しています。現代の日本社会を知るのに必読の一冊です。

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皆様からお寄せいただいたご意見

今の企業は人件費は変動費と考えています。
コレだけの価格競争の中で利益を確保するのに、仕事を創設してまで若者を雇う奇特な企業がどれだけあるのかわかりません。
それに新入社員を育てるというのもコストをかけられないので止めている会社が多いですよね。
更に過酷な就職活動をくぐりぬけた割には思っていたような仕事がないので五月病のような状態に陥る人もいるようです。
大学に入ると同時に就職活動をし始めなければならないような環境では社会人になる前から守りに入ってしまうのは当然です。
今の世の中は子供もマイホームも「ぜいたく品」のように余裕のある人しか手に出来ないものになりつつあります。
逆説的ですが、収入が少なくても暮らしていけると思えるような価値観を持てるような世の中になれば本来の家庭を築きたい気持ちが蘇るのかもしれませんね。(エミ)(2010年04月27日 20:40)

 その通りなのですが、現政権は実際に新たな仕事作りをする気が無いようで、こんな分野で「誰か」雇用を創出してくださいと言うばかりです。
 「こんな仕事を創りました。さあここで働いてください。」と現実に歩を進めないと実現は難しいでしょうね。(山路 独)(2010年04月24日 06:49)

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著者プロフィール

勝間 和代(かつま・かずよ)
経済評論家、公認会計士。1968年東京都生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶応義塾大学商学部卒業。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得。以後、アーサー・アンダーセン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、JPモルガン証券を経て独立。3女の母。著書に『勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力』『効率が10倍アップする新・知的生産術 自分をグーグル化する方法』『お金は銀行に預けるな』『決算書の暗号を解け!』『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』など多数。印税寄付プログラム「Chabo!」参加著者。公式ブログ「私的なことがらを記録しよう!!

このコラムについて

勝間和代のニュースな仕事術

日経ビジネスアソシエで好評連載中の「勝間和代のニュースな仕事術」。経済評論家の勝間和代さんが、話題のニュースを題材に仕事力を高める方法をアドバイスします。

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