郷土出身測量家 石黒信由の関連資料も
伊能忠敬ら江戸時代後期に活躍した三人の測量家を紹介する企画展「伊能忠敬と地域の測量家たち」が、射水市新湊博物館で開かれている。六月二十日まで。所蔵先の徳島県外では初めて、まとめて展示されるという忠敬の測量図「伊能図」などが出品されている。(中村真暁)
伊能忠敬と、現在の射水市の生まれで加賀藩に仕えた石黒信由(一七六〇〜一八三六年)、徳島藩の岡崎三蔵(さんぞう)(一七四二〜一八二二年)による測量図や器具類四十点を展示。
展示の目玉は、徳島大(徳島県)が所蔵している伊能図(全十枚)。同館によると、十枚すべてを同県以外で公開するのは初めて。
石黒信由が伊能忠敬の器具にヒントを得て考案した軸心磁石盤=いずれも射水市新湊博物館で
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伊能図は一枚約一〜二メートル四方。十枚のうち三枚は豊前(ぶぜん)や豊後(ぶんご)を拡大した地図。ほかの七枚は、つなぐと日本全図になる。測量したデータから地図を作るときに、忠敬は針で開けた穴を線でつないでいったといい、展示した伊能図にもこの穴が残っている。
このほか、石黒信由が考案した「軸心磁石盤」も目を引く。忠敬の器具にヒントを得て作り、傾斜地でも磁石盤を水平に保つことができる機具。
同館の野積正吉主任学芸員(49)は「五十五歳の時から十七年もかけて全国を歩き回り、すばらしい測量をした伊能忠敬のことを知ってほしい」と話している。
入館料は一般三百円、六十五歳以上百五十円、中学生以下無料。休館日は火曜(五月四日を除く)と同六日。問い合わせは同博物館=電0766(83)0800=へ。
伊能忠敬(いのう・ただたか) 1745〜1818年。現在の千葉県にあたる上総(かずさ)国生まれ。国内で初めて精度の高い日本地図を作った測量家。測量距離は4万キロにも及び、3753日かけて全国をくまなく歩き続けた。
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