台湾  2010年5月4日(火曜日)
友達、LGDに全面勝訴[IT]

米国での液晶パネルの特許侵害をめぐる裁判で、友達光電(AUO)は2日、韓国のLGディスプレー(LGD)に全面勝訴したと発表した。台湾の大型パネルメーカーが海外企業を相手取った特許裁判で全面勝訴するのは初めて。友達は今後、LGDに対し、米国での対象製品の輸入・販売差し止めのほか、10億米ドル(約310億台湾元)に上る損害賠償とロイヤルティーの支払いを求めるもようだ。

LGDは2006年12月、自社が保有する特許を侵害しているとして米国で友達と旧・奇美電子(CMO)を提訴。うち友達に対し、損害賠償金として6億9,000万米ドル余りの支払いを求めた。しかし友達は07年3月、LGDが液晶ディスプレーの表示技術向上に関する特許4件を侵害しているとして、反訴していた。

米デラウェア州の連邦地方裁判所は今年2月、原告の主張を退け、LGDによる友達の特許侵害を認める判決を言い渡した。さらに先月30日には友達は特許を侵害していないとする判決を下し、友達の逆転勝訴が確定した。

これを受けて友達は2日、対象製品の米国への輸出・販売の差し止めを求める方針を示した。さらにLGDの顧客に対し、同社製品を使った商品の米国での販売を直ちに中止するよう求めるとしている。

また、LGDに数億米ドルの損害賠償とロイヤルティー支払いを求めるとみられる。証券筋は10億米ドル(310億台湾元)とみており、友達の今年の利益が当初予測の2倍となる600億元規模に増える可能性も出てきた。

■友達の特許申請、同業トップ

台湾の液晶パネルメーカーはかつては日本の同業他社から技術と特許を取得するなど、常に知的財産権を「輸入」してきた。しかし友達は近年、特許問題を重視し、02年に新竹科学工業園区(竹科)に台湾最大の光学産業研究開発センター「友達科技中心」を設置。1,700人以上のエンジニアを擁する。

昨年末時点の同社の世界での特許取得件数は約6,000件。さらに約5,500件を申請中で、件数は台湾業界でトップという。経済部智慧財産局の昨年の企業の特許申請件数でも4位にランクインした。同年11月には米オーシャン・トモが開発した知財戦略に優れる企業300社「OT300」にも選ばれた。

■瑞軒、「LGDとの提携影響ない」

一方、LGDと協力関係にあり、米国を中心に液晶テレビを出荷している瑞軒科技(アムトラン)への影響が懸念される。しかし呉春発董事長は「慎重に動向を見守っていく」としながらも、「LGDとの提携関係に影響はない」と強調した。

同社は液晶パネルの約8〜9割をLGDから、残る1〜2割を台湾メーカーから調達しているとされる。今年は液晶テレビ出荷先をこれまでの米国から中国やインドなど新興市場へ移していく方針で、米国向けの比重は従来の9割から7割に下がる見通し。通年の出荷台数を700万〜800万台とした場合、米国向けは500万台前後になる。3日付経済日報、工商時報、電子時報が伝えた。

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