教会襲撃事件が相次いでいたため、併設する教会の牧師が昼間や夕方に見回りもしていた。園長は「防御壁を園の周りにつければ良いのか。そんな保育園にはしたくない」。緊急理事会を開いて対策を練っているが、「どうすれば防げるのか、結論は出ていない」と困惑している。
■「声明」5通、見えぬ目的
大阪・兵庫府県警などによると、被害は08年9月〜今年4月に少なくとも大阪府43件、兵庫県23件、京都府3件、滋賀県3件。大阪市内と大阪府北部、阪神間に被害が集中している。近畿の約500の教会が加盟する「近畿福音放送伝道協力会」(大阪市天王寺区)は「『罪を憎んで人を憎まず』の精神から、被害届を出していない教会もある」としており、実際の被害件数はもっと多い可能性もある。
昨年12月〜今年2月にはほとんど発生していなかったが、3月以降に再び被害が出始め、4月までに少なくとも15件に上った。事態を重くみた両府県警は4月、通常は殺人や強盗など凶悪犯罪を担当する捜査1課が、器物・建造物損壊事件として捜査に乗り出した。
府警によると、ほとんどが深夜から未明に発生している。栓を抜いた上で消火器を投げつけ、消火剤を散乱させる手口が多い。ミニバイクに乗った人物は複数の現場で目撃されたり、防犯カメラに写ったりしている。しかし、捜査関係者によると、被害は広範囲に広がっており、幹線道路近くや住宅地内など犯行場所の特徴や、時間帯に若干の食い違いもあることから、すべてが同一人物の犯行とは絞っていないという。
今年1月〜4月、「消火器を投げ込んでいる犯人です」などと名乗る封書が少なくとも三つの教会に計5通届いている。朝日新聞がコピーを入手した複数の文書はいずれもA4判の紙に書かれ、1〜7枚にワープロかパソコンで「関西の数多くの教会を燃やせと言われています」などとつづられていた。捜査関係者は「犯人が書いたものと断定できないが、全く意味が分からない文章が続いており、目的が見えない」と話す。